H&Mが地方都市に出店するのはなぜか

珍しく岐阜ローカルネタを。

岐阜県の本巣市にあるモレラ岐阜というショピングモールは、9月にH&Mが出店することになる。中部圏では名古屋の松坂屋に続いて2店目なのだそうな。
モレラ岐阜にH&M 大規模リニューアルで9月出店 - 岐阜新聞 Web
H&M to open second outlet in Gifu | The Japan Times Online

 

H&Mはなぜ岐阜の郊外に出店するのか

このニュースを目にしたときに、一瞬違和感というか、驚きがあったんだよね。H&Mが最初東京に出店したときは、結構メディアでも話題になった。ファストファッションの波がきたと。ファッションブランドとして先行したイメージのあるH&Mが、なぜ岐阜の郊外に出店するんだろうか。

日本のアパレル市場自体は縮小傾向か

衣料品の市場規模は年々減少を続けている。

日本アパレル工業技術研究会 -アパレル統計データベース-より作成。)

こんな市場の状況ではあるものの、絶対額としての市場規模は世界第二位であり、ここを攻めない理由はない。

衣料品市場
日本アパレル工業技術研究会 -アパレル統計データベース-より作成。)

しかも、この記事によれば金額としては縮小しているものの、衣料の量でみれば増加しており、かつ輸入割合が増えているということだ。これは、明らかに低価格路線が浸透している、ということになる。

 

国内アパレル衣料消費市場規模の縮小と業界のイノベーション(革新): ファッション流通ブログde業界関心事

 

これは、H&Mの低価格路線と合致するし、日本市場の中でデザイン性としても受け入れられるという感触があるのだろう。そういう意味では、H&Mにとって今の日本市場はシェアを拡大する良い機会となる。

 

H&Mが郊外に出店するメリットは何か

すごい簡単に言ってしまえば、規模の経済を拡大することにある。小売のような資本集約型の産業は、規模の経済によって低価格を実現して、規模を拡大して、さらに低価格にして、という良いループ構造を築く。

しかも、郊外は競合が少ない。正直岐阜に住んでいると、ショッピングモールの衣料品店は名前が知らない店が多い。そういう場所で、H&Mが入ってくれば、多くの客を勝ち取ることができるだろう。H&Mの知名度で、新たな潜在需要を掘り起こすこともあるかもしれない。

ファストファッションと他の衣料品のブランド店と違う点は、郊外に出店できることだ。ユニクロも郊外店が多い(むしろ郊外から始まっている)。規模の経済で、郊外でも低価格で勝負できるからね。

 

資本集約の波は必ずくるし、逆行はしない

それにしても、小売業界をみると、トイザらスでもイオンでも、資本集約型で低価格を実現する流れには逆らうことはできないんだな、と思う。最初は個人店などの小規模型がメインだったとしても、市場が成長するにつれて業態が変わり、資本集約によって大型化していく。いろんな参入障壁をつくっても、いずれは破壊されてしまう。資本の論理というのは、本当に正直だ。
(そういう意味では、ウォルマートが未だ日本市場を席巻できていないのは、不思議。)

 

というわけで、H&Mの出店戦略は間違っていないと思う。デザイン性が高く、低価格の服が郊外で購入できるなんて、良い時代だね。

 

おまけ。
この記事を書くために調べてたときに知ったのだけど、H&Mとフォーエバー21は、微妙に業態が違うんだね。どっちもSPAだと勝手に思ってました。

H&MとZARAとFOREVER21の違い – そこそこ日記(元創造力コーディネータの日記)

中小企業白書2011年版

中小企業庁¥ 2,400

だいぶ遅くなったけど、中小企業白書2011年版を読んだ。日本の中小企業を取り巻く現状が毎年纏められてるんだが、それなりに情報が詰まっていて面白い。

中小企業の従業員数は、全体の7割。企業数でいけば、中小企業は全体の99.9%になる。だけど中小企業の求人倍率は4.4倍。大企業は0.47倍とかなのに。どれだけ不均衡なんだよ。。。雇用のミスマッチが激しい。
www.recruit.jp/news_data/data/job/20110524_1.pdf

 

随分言われていることだけれど、中小企業は大企業と比べて労働生産性が低い。大企業では4000円~6000円/時間ぐらいなのに対して、中小企業では2000円~3000円/時間になっている。

で、いくつか労働生産性を向上させるための課題が分析されてるんだけど、個人的に気になるのはIT投資の低さ。

実施状況では、「パソコンの導入」が9割弱、「ネットワークへの接続」が7割強を占めている。一方で、「電子商取引の活用」の実施割合は2割強であり、「クラウドコンピューティングの活用」は1割にも満たない。P.248

 

だいぶ前から大企業だけでなく中小企業にもIT投資の裾野を広げようと、IT会社は頑張って営業していると思うんだが、いまいちうまくいってないんだろうか。ただ、スマートフォンの導入とか、Googleの「みんなのビジネスオンライン」みたいな、導入しやすいソリューションが出てきているし、「電子商取引」とか「クラウドコンピューティング」以外のアプローチもいろいろありそうだ。

個人的には、EC Studioみたいにいろんな生産性向上ツールの導入を支援していく方が、中小企業にはアプローチとして合ってる気がしてます。中小企業の業種や規模にもよるんだろうが。

 

きっとIT投資を行えば生産性は上がると思ってるんだけど、如何せんそこまでうまく入り込めるソリューションがない、というか、導入する側にしてみてもリテラシーが追いついていない、というか。そういう状況なのかな。NTT西日本のCMみたいに、リテラシーがほとんどない中小企業経営者が多い、というのが実態なんだろか。

そういえば、中小企業向けのクラウドサービス導入支援の目的で経産省がつくった「J-SaaS」は、最近みたら富士通に移管されていたな。

 

ちなみに、中小企業白書はWebでは無料公開されてます。

中小企業庁:中小企業白書(2011年版)全文

文教堂が古本買取りしてた

昨日初めて知ったけど、書店の文教堂が中古本の買取りを店頭でやってた。新刊や人気本に限定して、定価の30%で買い取るらしい。

 

 

文教堂の買取サービスは対象商品を店舗に持ち込んでその場で査定し、買い取ってくれるサービス。(店舗持込のみ)

対象の本は限定されていて主に売れ筋の新商品ばかりです。しかしながら持ち込んだ本を税抜定価の3割の金額で買取をしてくれるので、対象商品ならブックオフに持っていくよりも高値で買い取ってくれる嬉しいサービスです。

文教堂で本を売った – 流されず逆らわず

 

これ、買い取った本はどこで売ってるんだろう、と思ったらネット書店だった。

中古の書籍をお安く!eco-book エコブック:JBOOK:書籍

 

ぱっと見た感じだと、品揃えはとてもじゃないけど多いとはいえない。価格は基本定価の半額のようだ。中古品の対象を絞ることで在庫管理コストとか売れ残りリスクとかを最小限にしているんだろうけど、どうなんだろうね。書店って既存のビジネスモデルでは通用しづらくなっているから、こういう工夫が必要なんだろうなあ。

 

カルコスの不思議

岐阜に来て、本の購入には絶対困ると思っていた。都心型の書店とは品揃えが絶対違うから。だけど、良い意味で裏切られたのがカルコスの存在。

 

 

確かに郊外型なので、店舗レイアウトや書棚の並べ方も普通というか新鮮味に欠ける部分はあるかもしれないし、いろんな点で都心と同等とはいえない。だけど、専門書なども含めて、バランスよく揃えられている。少しマニアックな専門書やビジネス書でも、欲しい本はそれなりに見つかる。

 

 

 

 

書店でアルバイトしてたので、郊外型書店の経営の厳しさみたいなのは垣間見た。配本は卸業者に管理されていて、返品率が高い店には売れる本も含めて全体的に配本されない。逆に、売れどきを逃したときに配本されてきたりして、また返品率が上がるという悪循環を形成したりする。

 

 

 

 

カルコスは、どうやってこういう部分を解消したのだろう。すごい興味ある。従業員160名かー。6店舗しかないのに、従業員多い気がするけど、どういうビジネスモデルで回してるんだろうか。。。。。
 株式会社ナレッジ・デザイン

 

新聞のビジネスモデルの今後

Dig – TBS RADIO 954kHzによる無料 Podcast

これで、新聞のビジネスモデルについて語られていたのでメモ。

 

新聞発行費用の65%は、印刷、インク、販売代。電子化すれば、これらは不要になる。ただ、日本の新聞業界は長い期間競争にさらされることがなかったので、販売店網をいきなり壊すことができず、紙媒体を前提としたサービスにしてしまう。日経や朝日の電子版の料金体系が象徴的。

 

この記事を読むと、新聞の発行部数はどんどん少なくなっているのがわかる。

しかし、若い人は新聞を読まなくなっている。学生なら新聞の購読者は2~3割しかおりません。彼らは紙でなく、インターネットの電子媒体でニュースを見ているんですね。ネットがあるから新聞はいらないという若い人が増えています。4年に1度ずつ、新聞協会は調査をしているのですが、じりじりと購読率は下がっており、2012年には1世帯当たり0.8部になると推計されています。

実はいろいろな水増し部数を差っ引いた日本の新聞の本当の実力は1.0部程度なんです。これが0.6部や0.7部に落ちると、販売網を維持できなくなります。

『ネットは新聞を殺すのか?』&『新聞のなくなる日』(その1) / SAFETY JAPAN [インタビュー] / 日経BP社

 

あと、アメリカに比べて、日本は販売収入に頼っているようだ。電子版にスムーズに移行できない理由はこの辺にもありそう。まあ、日本語圏という限られたマーケットで勝負している、というのもあるのかもしれないけど。

日本の新聞の広告収入が35~40%程度に対して、アメリカでは80%以上が広告収入。ニューヨーク・タイムスにいたっては95%も広告です。広告収入が維持できれば、思い切って電子に移れる。ところが日本は販売収入に大きく依存しており、決断できないのです。

『ネットは新聞を殺すのか?』&『新聞のなくなる日』(その1) / SAFETY JAPAN [インタビュー] / 日経BP社

 

 

今後、全国紙が淘汰されたりとか、地方新聞がもっとローカライズしてコンテンツを磨いていくのか、とか、新聞のビジネスモデルがどう変わっていくのかは非常に興味がある。

ローカルフリーペーパーの生きる道

岐阜に来てから驚いたことのひとつに、ローカルのフリーペーパーがとても多い、ということ。ポストに定期的に入っているフリーペーパーだけでも、3つか4つぐらいある。

 

そして、先日地元の大学生が作ったフリーペーパーが入っていたので、何となく読んでみた。いろんな意味で考えたので、ここに書いてみる。

 

 

フリーペーパーは供給過多状態

まず現状認識から。最初に述べた通り、既にフリーペーパーは供給過多な状態。そして、どれも明確な差別化はできていないと思われる。地元の店を、飲食を中心に紹介し、クーポンを付ける。

 

ここに一覧がある。どれだけ多いかわかるよね。本当、供給過多といって良い状況。
岐阜県 | フリーペーパー・タウン誌ネットワーク Unyo!

 

こういう状態の中で、資力も経験もない学生がどうするか。ポジショニングだけでいえば、「参入しない」が正解なんだと思うけど、あえて飛び込むとして、どうやって差別化して生き残るか。ポーターさんの言う事を踏まえると、「コストリーダーシップ」「差別化」「集中(ニッチ)」のどれかになると思うんだけど。
コスト・リーダーシップ、差異化、集中 「ポーターの基本戦略」 || INVENIO LEADERSHIP INSIGHT

 

調べてみると結構面白くて、いろんなタイプが発刊されている。

 

 

店舗紹介型

一番多いのがこれ。よくあるパターン。店舗の広告とクーポンを紙面に配置して、収益を得る方法。
店舗数や店舗展開が少ない郊外で、どうやってコンテンツを継続してつくるか。これは結構大きな問題。都市部では、そもそも店舗数も多いし、店舗も入れ替わりも激しい。しかし、郊外だと店の数も限られているし、そんなに毎週新規出店が続くわけでもない。こういう状況では、毎回読んでいくと情報が陳腐化していくのがわかる。目新しさがなくなり、あまり読まないまま捨てるのがオチ。

 

あと、商圏の定義の仕方によって棲み分けも進んでいるのがわかる。

 

 

ジャンル特定型

学生の就職に特化したり、というのもあるみたいだけど、あんまりうまくジャンルを特化できているフリーペーパーをみかけないな。地域的な切り分けではなく、属性なんかで切ると、新しいジャンルが開ける気がするんだけど。

 

こういうのとかね。
フリーペーパー[岐阜美少女図鑑]

 

 

ニュース型

R25がさきがけ。対象を絞り込んだ情報を詰め込み、広告とマッチするというのは、本当見事だと思う。こういうタイプは結構人の手間がかかる、というのと、R25自体は広告業界の理由から余り利益率を上げられていないのが実状らしいけれど、大衆メディアとは異なる色を出すことで、ブランディングに成功した稀有な例だと思うわ。

 

ローカルでも、特有の切り口でニュース情報を詰め込むこともできるのかね。

 

 

 

いろいろ調べてみたけど、学生が始めたフリーペーパーは、結構途中で終わってしまったりしている。手がけたメンバーが卒業したりするので、事業として継続するのが難しいのかもな。あと、学生がフリーペーパーやる、という事例が探してみると結構あり、珍しくないんだな、ということにある種驚き。まあ、事業としてわかりやすいし、やってみたいという気持ちにさせるのかも。
でも、ビジネスモデル的には成長期を過ぎていて、マーケティングセンスを駆使してジャンルや収益モデルを変えないと、目新しくて広がるものは作れないだろうなあ、とポストに入っていた学生のフリーペーパーを見て思ったりする。

ブックオフとAmazonマーケットプレイスの違いについて考える

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定期的に本棚がいっぱいになるので、そのたびに古本屋で本を売っている。今回も近所のブックオフに売りにいったら、一冊値段がつけられないと言われた。その本はビジネス書としては結構珍しい方なので、もったいないから引き取って返ってきた。で、試しに、初めてAmazonマーケットプレイスに出品。

マーケットプレイスへの登録は簡単

マーケットプレイスに登録するには、通常お買い物するときとは別に登録が必要。といっても、本人確認と銀行口座情報の登録ぐらいなので、大した手間ではなかった。

手数料としてAmazonに払うのは430円。配送料としてもらえるのは250円。なので、実際の売った金額から180円引かれた値段が、実際の売上になる。

ブックオフで売れなかった本がAmazonで売れた

ブックオフでは全く値段がつかなった本だけど、数日放置してたら売れました。驚き。しかも、定価がそこそこ高く、競争率も低い本だったので結構強気の値段つけたけど売れました。

本そのものが売れたことよりも、同じ本なのにブックオフとAmazonでどうして値段が変わるのか、不思議に思ったので考えてみた。

儲けるポイントが違う

ブックオフは、ブックオフ自身が売主と交渉して買取り、店頭で売る。基本的にはこのときの利ざやで稼ぐ。一方で、Amazonはプラットフォームを提供しているだけなので、その「場所代」で稼いでいる。

考えなくても当然ですね。ただ、このビジネスモデルの違いから、本の値段が変わってくる、という点についてもうちょっと考えてみる。

中古本を売るための費用構造から考える

中古本を売るまでに、いくつか費用構造が存在する。

・本そのものの価値(貴重性、本の状態)

・在庫費用

・人件費

・サーチコスト(機会ロス)

本そのものの価値(貴重性、本の状態)

これについては、両者で大きく違う。ブックオフは、買取り価格に明確な基準を設けており、定価と本の状態なんだそうだ。本そのものの稀少価値などは、組み込まないとされている。ブックオフのすごいところはこの仕組みを作ったところなんだと思うんだが、値段のつけ方という意味では正直微妙なところ。

逆にAmazonでは、他の出品者の数や値段などを踏まえながら値付けを行うので、(ある程度)市場競争にさらされた値段が付けられる。高くても、状態が悪くても、ニーズがあれば売れる。だから、主に需要と供給のバランスで値段が決まりやすいメカニズムになっていると推測される。

在庫費用

在庫費用というのは、結構ばかにならない。ブックオフの場合は、買い取った本を店舗に並べるので、そのための店舗スペースが必ず必要になる。

一方Amazonは、本そのものはユーザが抱えているので、在庫費用はゼロになる。

人件費

ブックオフはアルバイトなどの人件費が必要。Amazonは基本いらないよね。一応、コールセンターとか構えているけど。

サーチコスト(機会ロス)

市場というのは、参加者が多ければ多いほど「適正な」値段がつくもの。ブックオフの場合は店舗内に限られており、品揃えも店によって異なる。ここで欲しいものを探そうと思うときの労力はとても大きい。つまり、店側からすれば機会ロスがあるわけなので、その分売れたときの利ざやを大きくしなきゃいけない。

Amazonはインターネットの中で、検索キーワードで簡単に探せる。あとは、欲しい商品が欲しい値段であれば、購入することができる。サーチコストはとても小さい。だから、手数料という形で薄く広くとることで十分なのだろう。

考えてみてわかったこと

まあ、結構乱暴な仮定もおいているので、厳密な比較はできないものの、お金が動き、品物が動き、かつ市場価格が形成されてやすいという意味で、Amazonマーケットプレイスの方が良いエコシステムだと個人的には思う。本当は、双方が取り扱っている本の数とか、動いている金額の規模が統計の数字なんかであれば、確認できるんだろうけど。

ちなみに、ブックオフもオンラインで中古本を販売している。

 

ブックオフオンライン 新品中古まとめて購入&まとめて配送

 

これはこれで良いと思う。中古本を収集する仕組みを持つ強みもあるだろうし。漫画のまとめ買いは、便利だしお得なのでオススメです。

 

漫画本を大人買いするなら、ブックオフオンラインが便利だと思う | Synapse Diary

 

自動車の未来

少し前から自動車産業が熱い。新しいパラダイムが来ている感覚だ。例えば、この動画をみるとそれを感じることができる。

 

蓄電池のコストと充電時間が問題になっているけれど、この動画をみれば、それも解消されるんじゃないかと思える。蓄電池は車の大きさで200万円ぐらいはするそうなので、所有と利用を切り離して、距離などに応じて利用料金を払う形態に変化するのかもしれない。

 

そして、電気自動車に含まれる蓄電池は、スマートグリッドでも重要な要素になっている。電力ピークを抑制するために、つ蓄電装置の効率性、コストの両面で発展が望まれている。

 

あと、Googleが自動車を開発しているのも、最近話題になっている。主にITを活用した自動運転技術なのだけれど、その概要はこの動画がわかりやすい。

 

すごいよね。実際にアメリカの公道を走っているようだ。

正直、車の運転で加害者になるリスクは、いつも不安に思っている。年間の交通事故による死亡者は5000人弱程度らしいけれど、原因をみると人間の誤認や操作誤りが起因しているものが多い。

 

自動車はどんどん社会的ステータスではなくなってきているし、車を所有しなくてもいつでも近くに乗れる電気自動車があって、目的地を設定すれば、勝手に運転してくれる未来が来るかもしれない。すごい期待。

戦略の本質を理解する良書 – 【書評】ストーリーとしての競争戦略

経営戦略系の本では、久々にヒット。重厚で面白かったです。

最終的には、ひとつのストーリーとして動的な流れで戦略を考える、という主旨の本なのですが、金融日記でも書いてある通り、戦略の基本的な考え方みたいなものが一通り紐解かれていて、それだけでも頭が整理されます。

目次
第1章 戦略は「ストーリー」
第2章 競争戦略の基本論理
第3章 静止画から動画へ
第4章 始まりはコンセプト
第5章 「キラーパス」を組み込む
第6章 戦略ストーリーを読解する
第7章 戦略ストーリーの「骨法10カ条」

ファイブフォースとか、欧米型と日本型の経営スタンスの違いとか。企業のスタンスはポジションと組織力のバランスで構成されている、とか。ビジネスにおける競争戦略の様々な要素が紐解かれつつ、「ストーリー」の重要さを説いていきます。

この本は、基本的な知識ということではなく、戦略とはどういうもので、用語として言われていることはどういうことを示しているのか、という点を教えてくれます。部分的な捉え方ではないし、用語の解説でもない。目立った切り出し方はないのかもしれないけれど、骨太な論理を語ってくれる本です。

そして基本的な論理から発展して語られる、ストーリーとしての戦略というコンセプトは、非常にうならされました。

経営戦略なんて絵に書いた餅で、役に立たないと思う人も多いかもしれないけれど、自分は違うと思っています。こういう戦略論理に触れるとき、自分の周りに置き換えながら、いろんなことに思いを巡らせます。あれを試してみよう、とかアプローチを変えてみよう、とか。次の一歩を踏み出すときのアイデアの素となってくれます。そういう本こそが良書なんだと思うのです。

失敗した企業が山ほどいて、その中で輝く企業がいる。その要素をこの本は示しているように思えました。自分が戦略を考えるときは、この本をまた開きたいと思います。

そして、しばらく軽い戦略本なんかは読まないでしょう。

地方で生き抜く経営戦略とは-【書評】コアラ社長の経営戦略

地方ならでは、という意味で独特。経営理論としては物珍しさはないけれど、実際に岐阜県多治見市で業績を上げていることを踏まえると、説得力は違うな、と。
 

目次

起業戦略編
トレンド戦略編
広告戦略編
IT戦略編
営業戦略編
人材戦略編
事業戦略編

出店する立地の見え方を気にしたり、説明するときにわかりやすい場所に店を構える、など、理論というよりは手に届く具体的な方法が、地方で起業を考えるなら、イメージがわきやすい。いろいろ気になることはあるけれども、個人的に注目したのは「タイムマシーン効果」。
 
自分の営業エリアとのギャップを埋めるモノはどこにあるのか
 
東京から地方に移り住んでわかるのは、東京の方が圧倒的に触れる情報量が多く、また新鮮であること。これは住んでみないとわからないのかもしれない。それを逆手に取ると、東京で流行っているものは、いずれ地方に波及する、ということ。タイムマシーン効果というのはその時差を活用しよう、という主張。
 
タイムマシーン効果は、市場でトレーダーが行うことと似てるのかもしれない。価格と価値に差異が生じているところを狙って、安く買って高く売る。この移動が行われることで、市場は限りなく平衡状態を保つ。
 
そういうモノや情報が「移動する」ときにお金が生み出されるのであれば、積極的にモノや情報を仕入れることが、業績に直結してくる。タイムマシーン効果というのは、自分の営業エリアとのギャップをどこかから拾ってきて、それをフィットするアイデアを得ることなんだな。
 
 
積極的に、いろんなところへ繰りだそう。ビジネスヒントが転がってると思えば、楽しくなりそうだ。

それにしても、地方における経営戦略本を読むと、ほぼ必ずといっていいほどランチェスター戦略が登場するな。この本もそう。ランチェスター戦略は、全般的に使えるだろうけれど、特に中小起業が経営戦略を考えるときに有用だな。ランチェスター戦略を学ぶなら、この本が読みやすくてわかりやすい。