【書評】モチベーション革命

今や「ブラック企業」という言葉が当たり前になったように、人々が企業に求める内容も変わってきています。もうお金の為だけに働く時代ではなくなりました。働き方改革、ワークライフバランスなど、個人のニーズ変化に合わせて、企業も変わろうとしている状況です。

「物欲なき世界」でも書きましたが、物質が豊富になるにつれて、人々のニーズは確実に変化してきています。所有欲はなくなり、経験やふれあいなどが新しい価値観として重要視されてきています。

【書評】物欲なき世界

人々の価値観が変わってきて、もちろんそのモチベーションの源泉も変わってくるはずです。本書は、そのモチベーションの変化について考察した一冊です。

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著者の以前の本を読んだんですよね。ITビジネスの原理。

経営を志す人なら読むべき。「ITビジネスの原理」

 

その時も端的にITビジネスが整理されていて、わかりやすい内容になっていました。著者の尾原さんは、わかりやすく本質をえぐり出す内容を書いているんですよね。

さてその尾原さんの最新作が、この「モチベーション革命」です。

 

モチベーションはどう変化したのか?

本書の中で象徴的なフレーズは以下でしょう。

生まれたときから十分なモノに囲まれて育った彼らは、「ないものを勝ち得るために我慢する」という上の世代の心理は理解できないのです。さらに言えば、彼らは上の世代に対し、「達成」にこだわることのアンバランスさを感じてもいます。

「確かに、何か大きなことを『達成』して飲む極上のワインは美味しいかもしれない。でも、『達成』する前に飲んでもよくない……? てか、友達とサイゼリヤのワイン(マグナム)で気楽に乾杯するほうが楽しいんだけど」というのが本音です。

本書でも書かれていますが、ものがない時代に生きていた人たちは、給料を稼ぎ、達成することに意欲を燃やしてきました。しかし、今の人たちはすでにものが溢れており新しいライフスタイルを探しているのです。

これも、物欲が低下し、経験や信頼感を醸成することに重きを置く価値観からきていると言えるでしょう。

 

組織内で発生するギャップ

この世代間による価値観のギャップは、いろんな組織で起こりえます。最近の「若いもんは・・・」的な話は昔からあるのですが、どこにギャップのポイントがあるのかはちゃんと理解しておく必要があるんじゃないかと思います。

特に年齢を重ねるほど、自分の価値観が固まってしまうものです。組織を変革するためには、自分から歩み寄り、理解し、自分を変えていく必要があります。組織間でのギャップを感じる方は本書を読んでみると良いでしょう。

 

自分を知り互いが助け合う組織づくりが必要になる

本書を読みながら、「もうすでに、ある程度画一的なキャリアモデル」と言うのはもう通じなくなってるのかもしれないなぁと思いました。自分が持つパーソナリティーやそこから発生する強みをどこまでフォーカスできるか、そしてそれをビジネスに転換できるかが求められています。

そんな仕事をするうえで最もハッピーなことは、「自分にとっては好きで楽にできることと、相手にはできないこととが嚙み合うこと」です。「こんなに楽で楽しくできることで、相手にお金ももらって、感謝をされるなんて!」と思えることです。仕事をしていて、これほど幸せな瞬間があるでしょうか? ということは、これからの仕事で大事なのは、自分にとって得意なことで、いかに相手にとって「有ることが難しいこと」を探し当て続けるか、ということなのです。

年齢にかかわらず、地域や職業にかかわらず、自分が得意で、やるべきことを深く考えるべきかな思います。

本書は、最近読んだ「オリジナルズ」や「残酷すぎる成功法則」などと同じ系統ではありますが、「オリジナルズ」や「残酷な成功法則」は非常に科学的なアプローチをとっています。論文等の実績を参考に検証されたものが多いです。

それに比べれば本書は科学的アプローチは少ないけれど、考察としては注目に値します。ライトで読みやすいのも特徴です。

さらっと、世の中のモチベーションに対する変化を理解するのに良い一冊です。

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