Twitter、Facebookなどソーシャルメディアの価値はどこにある

少し前になりますが、Facebookが上場しましたね。Facebookの価値がどの程度あるのか、というところが話題になるんだけど、本当のところ、TwitterやFacebookなどのソーシャルメディアは、社会的にどのような役に立っているんだろうか。

単なるコミュニケーションツールであり、飽きられれば衰退する、という繰り返しのひとつなんじゃないか、という意見も聞いたりするわけで(僕は知らないけど、ニフティサーブとかよく引き合いに出されたり)。TwitterやFacebookがなくなっても別に困らない、という人もいるし。(あまり使わない人ほど、「TwitterとかFacebookの社会的価値やビジネス価値がわからない」という言葉を聞いたりする、というのは偏見だろうか。)

っていうわけで、ソーシャルメディアのビジネスモデルを考えてみますよ。

 

まずはTwitterの収益構造

Twitterはやっと最近収益化に成功してきている。ここらへんの記事を読めばわかる。

Twitterの収益源 | rionaoki.net
ぽんぬれぽーと: 収益から見るTwitter
調査: Twitterの収益は2013年には4億ドルに達する | ブログヘラルド

大きく3つの柱があって、広告ツイート、データコネクト、有料アカウント。この3つの割合はよくわからないけど、記事から推測するに、広告収入のインパクトが大きいようだ。

 

次はFacebookの収益構造

Facebookの2011年の売り上げの85%を広告収入から、15%を手数料収入から得ていることが分かった。
上場申請書で明らかになったFacebookの収益構造 上場後の戦略はどうなる?【湯川】 : TechWave

Facebookは広告が大半。個人に紐付く情報を持っているので、それと広告をマッチングさせるというところだろう。

 

クックパッドだって同じなんじゃないの?

TwitterやFacebookを考えてみたけど、例えばクックパッドだって同じような位置づけになるんじゃないの?なんでTwitterやFacebookと比較されないんだろ。というわけで、軽く調べてみた。

営業利益率50%! クックパッドの「七つの秘密」 : プレジデント(プレジデント社)
クックパッドの“儲ける仕組み”をピクト図解してみると…|「ピクト図解」で有望株を見抜け!|ダイヤモンド・オンライン

収益構造は広告配信、企業コンサルティング、有料会員の3つ。

 

面白いのは、企業コンサルティングと有料会員の比率が結構高いこと。つまり、TwitterやFacebookのような広告モデルに高く依存する体質でもないってことだね。

 

ソーシャルメディアの収益モデルとは

TwitterとFacebookとクックパッドを取り上げたけど、これらから収益モデルを大きく分類すると、

  • プラットフォームに広告を配信する
  • 利便性を向上させた有料アカウントを設ける
  • 蓄積したデータ、あるいはデータから導かれる分析結果を売る

というところだろうか。これを実現するためには、

  • 特徴を持った大量のデータを獲得する
  • プラットフォームに対する高いエンゲージメントを実現する

という2点が必要になる。1点目のデータ確保だけでいえば、日経とかシンクタンクのように取材や研究で蓄積したデータを売ることが商売のメインになる。

けれど、ソーシャルメディアの場合、2点目の特徴も合わせ持っているので、広告メディアとしても見ることができる。で、こういうビジネスが廃れるのか、といえば、この2点が失われるとあっという間に廃れることになると思う。

Twitterでいえば、Twitterよりリアルタイム性が高く、操作性などの面でより高いエンゲージメントを実現するようなサービスが現れればTwitterに広告を出稿する理由はなくなる。mixiがFacebookの登場によって存在感が小さくなっていったのも、獲得する情報が似通っていて、かつFacebookの方がエンゲージメントが高かったからだろうと思う。

あるいは、他にもっと面白い情報が登場して、Twitterの緩いソーシャル性とリアルタイム性に価値が感じられなくなると、危うくなるだろう。ここらへんは、マスメディアがその存在意義を相対的に低下させたように、他のメディア・サービスが登場し、そのサービスが持っている情報の優位性が失われると、あっという間に衰退することになる。

 

誰のためのソーシャルメディアか

これは卵が先か鶏が先か、ということなんだろうけど、ソーシャルメディアにとってはデータを蓄積することと、人が高い頻度で訪問してくれることが重要なわけで、ビジネス上の価値の源泉もそこにある。(そこからどう収益化していくのか、というのは別の問題として大きいのだろうけど。)

 

僕は、ソーシャルメディアが革命のきっかけになったり、新しい情報取得の媒体になったり、社会的なコミュニケーションコストを劇的に下げている、という価値も認めているけれど、それはやはりビジネス上の価値で考えれば二番目に来る話なのだと思う。

ビジネスとして最も初めに来るのは、「特徴あるデータをどう集めるか」であり、その次に「どうやっていろんな人に使ってもらえるサービスにするか」だと思うのだ。

 

というわけで、僕はTwitterもFacebookも使うし楽しいけれど、ビジネス上の価値でいえば、情報の種類が限定的で、かつほとんど劣化しないことを活かして、コンサルティングサービスにまで結びつけているクックパッドの方が、ライバルに対しての競争力も強いし、長く生き残るんじゃないかと魅力的に映るわけです。

2011年度の国内PCサーバー出荷概況

PCサーバの国内出荷状況が発表されてましたよ。昨年度は台数でも金額でもその前年より増加傾向にあったそうな。震災以降の防災対策の高まりや、スペック向上によってこれまでUNIX系の牙城だった基幹系サーバも席巻しているのが要因のようだ。

 

2011年度 国内PCサーバー出荷概況 – 株式会社 MM総研

2011年度 国内PCサーバー出荷概況 – 株式会社 MM総研

 出荷金額は前年度比6.7%増の2,113億円となり、成長率は出荷台数を若干上回る結果となった。出荷単価は40.9万円と前年度から2万1,000円の上昇となった。仮想化集約などの広がりにより1台あたりに搭載するCPU、メモリ、HDD、SDD等の増加が出荷単価を押し上げていること、また、Linuxなどのオープンソースの活用拡大が大規模システム、基幹系領域にも広がりつつあることもサーバーの単価上昇に寄与している。

あとは、仮想化によって機器集約することから、1台あたりの単価も上がっている。この傾向は今年度も続くとみられている。

 

面白いのはシェア争いで富士通がポジションを上げていることかな。中堅市場以下を狙ったモデルやデータセンターへの対応を強化しているんだとか。

随分前から中堅企業以下の規模の市場をどう崩すかが叫ばれていたけれど、中堅企業からIT関連投資を引き出せるようになっているということかな。実際、企業規模が小さいと、機器スペックの向上や仮想化などによるITリソースの集約ができなかったり、選択肢が多くないため、どうしても現状のITのコストを維持しやすい傾向にある。

 年商が30億円以上50億円未満、50億円以上100億円未満、100億円以上300億円未満の3つの年商帯についてはCAGR2.4〜4.3%の間で、比較的高い伸び率を示している。これらの年商帯では、会計、販売・購買、生産、人事・給与などといった基幹系業務システムを中心に、自社業務への適合などを課題とする試行錯誤がまだ続いているという。

 また、クラウドの活用についても既存システムの現状把握が十分でなく、大企業のように全社規模でITコストを大幅に削減するためのクラウド活用には踏み出しにくいと分析。こうした状況から、既存システムの改善・刷新においては自社内運用とクラウド活用が混在し、年商300億円以上500億円未満のようなITリソースの集約がスムーズに進まないとみている。
Weekly Memo:最新調査にみる中堅・中小企業のIT投資予測 – ITmedia エンタープライズ

 

機器スペックが年々向上しているし、長寿命化しているし、ITサービスも多様化している中で、PCサーバはどこまで拡大できるんだろう。

IT戦略作成に向けた7つのアイデア

IT戦略作成に向けた7つのアイデアっていうのがあったので、メモしておく。

7 Ideas for Next-Generation Strategic IT Planning

具体的なアイデアというよりは、概念的なもの。

1. Responsive and anticipatory — indicators of improved service delivery and greater citizen engagement.

2. Trustworthy — measures of transparency, privacy and security.

3. Available — government services through all channels — mobile, social, Web, physical — all supported by IT systems and networks.

4. Fast — the speed of connections via a robust broadband infrastructure that lets people live, work and interact with their government online.

5. Strong and flexible — demonstration that IT has increased government’s capacity to meet growing demand for service at less cost.

6. Affordable — demonstration that IT has been used to cut cost structures and deliver services cheaper than conventional means.

7. Catalytic and collaborative — demonstration of how technology is being used to foster collaboration across boundaries and with private and nonprofit sectors.

 

個人的に興味があるのは7かな。日本でも行政コストは削減されていて、民間リソースの活用が叫ばれている。Gov2.0でも同じ概念だけれど、民間同士の触媒的な役割や、民間と行政の協働が重要な位置を占める気がしてるんだよね。

鯖江市が最近オープンガバメントで熱い感じになっているけど、こういう民間と行政の動きが多様化してくれば良いと思うし、そのために必要な基盤となる形ってなんだろうって思う。

 

自治体がよりよりIT戦略を作るようになれば良いと思うけれど、どちらかというとこういう考えの方が最近は解決が早くなるんじゃないかと思うこの頃です。

自治体クラウドに新潮流ってなんだろう

自治体クラウドに新潮流、ということで読んだ。

記者の眼 – 自治体クラウドに新潮流、復興対策が後押し:ITpro

記者の眼 – 自治体クラウドに新潮流、復興対策が後押し:ITpro

簡単に言えば、震災で被害を受けた自治体を中心に、災害対策の一環としてシステムを移行していて、それが複数自治体による共同化ではなくて、単独だということ。

これまでの自治体クラウドでは、複数自治体が共同化することによる「割り勘効果」を享受することがメインだった。それに合わせて業務を合理化したり、法改正対応などのメンテナンスコストを下げる効用も期待されていた。

 総務省が共同化を推進してきた経緯もあって、従来の自治体クラウドは複数の市町村の参加による共同化を前提とした取り組みが一般的だった。一自治体単独でのクラウド移行は、東京都島しょ部など一部に限られていた。共同化では、参加する自治体の数が多いほど“割り勘効果”が働いて、一自治体当たりの運用コストなどを抑えられる利点があるからである。

 ただ、今回の震災復興対策では、事業経費の3分の1の補助を得られることから、多くの自治体が単独でのクラウド移行を決断したようだ。複数の市町村で共同化を進める場合は、業務プロセスの標準化やコストの分担をめぐって自治体間で調整が必要になるが、単独での移行ならそうした手間も省ける。

しかし、今回の記事では共同化による割り勘効果は含まれない。これは本当に費用対効果として十分検討されているのかな。確かに被災してデータの紛失や情報システムの長期利用不可を経験すれば、すぐにでもクラウドへ移行する方が安全という判断になるのかもしれない。だけど、これまでの「割り勘効果」をアピールする流れはどこへ行ってしまうんだろうと、ふと思った。新しい潮流というか、単純に補助金があるから単独移行でも成立してますよってことなんだろう。

それにしても、クラウドへ移行したあとはどうするんだろう。単独発注だと、またクラウドの状態でロックインされるって状況も起こりそうな気もするんだけど。

Amazonがなぜクラウドストレージを手がけるのか

少しタイムリーじゃなくなったけど、ふと疑問に思ったので書いてみる。Google DriveとかAmazon Cloud Driveなど、どうやら最近はクラウドストレージサービスが話題になっている。個人的にはDropboxで20GBを超えた容量があるし、それ以上大きな容量を使うことはないので、他のストレージサービスを使うつもりはないのだが、Amazonがクラウドストレージサービスを展開する意味については興味を持ったので、少し考えてみた。

Amazon Cloud Drive: Learn More

Amazonの経営戦略

Amazonは、方針がぶれないということで有名である。そして、Amazonの本業はAmazonというネット上の「市場」での売上を向上させることである。Amazonは既にネット書店ではなく(もちろん書籍の販売は重要な位置づけであることには変わらないが)、Amazonというネット上の市場で、販売店とユーザを結びつける「場」を提供することで儲けている。

 

これについて、いくつか紛らわしそうなものを挙げてみる。

Amazon Web Servicesという会社がある。これは、ITインフラストラクチャを主に企業に対して提供する企業なのだが、これはAmazonの本業であるネットリテールで培った技術を転用することで、本業を助ける儲けにしようとしたと聞いたことがある。ちなみに、AWSの売上はAmazonグループの売上では「その他」に分類されており、5億ドル程度らしい。
雲になったコンピュータ: Amazonのクラウド売上げは$500~600M?           -ついにAWS Tokyoセンターがオープン-

次に電子書籍端末であるKindle。特にAndroidを搭載したKindle Fireは、端末代は採算割れしていると言われている。そうまでして展開するのは、KindleをAmazonのWeb市場へダイレクトにつながる入り口とすることで、Amazon市場での売上を向上させようとしている。ここでも、電子書籍という売り物を売るための仕組むと考えられる。

最近だと、BtoB向けの市場も開始したようだ。これも、これまでのAmazonの市場を拡張するものであり、経営戦略としてはぶれていない。
Amazon Supply to Compete for B-to-B Bucks

Amazon Cloud Driveはどれぐらい儲けるのか

まず、Amazon全体の売上を調べる。年々売上高は増加しているのだが、最近だと2011年10~12月期の売上高は174億3100万ドル。純利益は1億7700万ドルらしい。大体の規模感を把握したいだけなのでこれで十分。この数値を4倍したのがほぼ年間の数値になる。
ネット通販のアマゾン、売上高は過去最高ながら純利益は前年同期比58%減益 : はちま起稿

これに対して、Amazon Cloud Driveがどの程度儲かるのかを考えてみる。いくつか仮定をおいてみよう。 参考として、Dropboxの登録ユーザ数が5000万人。有料ユーザはその4%だそうな。そうなると200万人になる。例えばAmazon Cloud Driveのユーザが同程度であり、かつ平均してみな50GBを購入したと仮定すると、200万人☓50ドル/年となるので、年間1億ドル。本業の売上高と比べた場合、年間の1%にも満たない。これを大きい売上として期待している、という見方は難しいだろう。
Dropboxの成功に学ぶビジネスにおける6つの教訓 | SEO Japan

AWSで培ったクラウド技術なら、Amazon Cloud Driveを提供することは技術的には難しいハードルではないはずだ。そして、AWSと同様に、本業をサポートするための「副業」と捉えることもできるかもしれない。

Amazon Cloud Driveの狙い

最初に述べたとおり、Amazonはネット上の「市場」でどれだけ売るかが至上命題だと思われる。だとすると、Amazon Cloud Driveはどういう位置づけになるのだろうか。僕は「Amazonが提供する電子コンテンツを管理するサービス」の延長と考えている。

今回のサービスでも、Amazonで購入したMP3は容量に含まれないことになっている。これは、Appleも同じ方針をとっているが、自社のマーケットから購入されたコンテンツが容量に含まれない、他デバイスで同期する、といった利便性をシームレスに提供することで、自社のマーケットとPC等のデバイスを結びつけようとしている。Amazonの場合、Kindleを除いて、携帯やPCを直接販売するわけではないので、各プラットフォームで電子コンテンツを管理するような機能を提供する必要がある。

電子書籍はアメリカでは広く普及しており、音楽の電子化は当たり前になった。今後も電子コンテンツは増えていくだろうし、Amazonでの販売比率も増えていくはずだ。今回は音楽だけだが、いずれは電子書籍も範囲に含まれることになるのかもしれない。

今後のストレージサービスはどうなる

個人的には、複数のストレージサービスを併用するのは面倒臭い。そして、容量は個人利用では数GBで十分な気がする。となると、ここはあまり差別化要因にはならない。逆に、AppleやAmazonがやっているように、自社のサービスで購入したコンテンツを管理する仕組みで囲い込む方が、差別化になる。購入したコンテンツは、買えば買うほど大容量になるし、それを無料でWeb上で管理できるようになれば、魅力に感じるよ。その意味で、Dropboxの今後はやや難しい展開になるんじゃないかなあ。

というわけで、Apple、Amazonあたりは、自社で展開しているマーケットとの関連を売りにしていくと思う。GoogleはいまいちGoogle Playが弱いもんなあ。どちらかというと、Google DocumentとのシームレスなつながりでGoogle依存度を上げていく方向性かな。

 

とはいえ、今のところこの分野ではDropboxが先行者としてリードしてると思うし、使い勝手も良い。上に書いたようなものとは全く違う、今後の新しい付加価値に期待しているけどね。

Googleが低価格タブレットの発売を検討しているらしいけど

Googleが低価格タブレットを販売することを検討している、というニュースが出ていたので、少し調べてみた。果たしてこれは正しい戦略なのだろうか?

ペイジ氏がローエンドのGoogleタブレットへの取り組みを認めたことで、「Googleが200ドルを切る独自のタブレットを今夏にリリースしようとしている」という先ごろ浮上した観測が現実味を帯びる。このタブレットは7インチ型で、クアッドコア・プロセッサを搭載、OSはAndroid 4.0で、通信機能はWi-Fiのみとされている。

グーグル、低価格タブレット市場を狙う方針を鮮明に (Computerworld) – Yahoo!ニュース

 

今のタブレット市場の伸び

タブレット市場は急速に伸びている。2010年は1700万台だったのが、2011年には6100万台との見込み。2015年までに年平均成長率81%で伸びる。そうなると、2015年までには約20倍になる計算になるので、3億台を超えることになる。ちなみに、2010年のPC出荷台数が3億台を超えていたぐらいなので、2015年までにはPCとほぼ同じぐらい普及する、という計算になる。
ビジネスニュース 市場動向:破竹の勢いで成長するタブレット市場、ネットブックをのみ込む – EE Times Japan

 

タブレット出荷台数
(上記数字のイメージをグラフ化したもの。途中の成長率など、数値でよくわからないところは推測で埋めているので注意。)

この予測を見る限りは、製品ライフサイクルでいえば今が成長期にあたる。ここでは差別化とブランド化が重要なポイントになる。(ちなみに携帯電話は世界で4億台ぐらい。参考:Kindle Fireが2011年第4四半期のAndroidタブレット市場で台数シェア首位に、IHS iSuppliの調査から – 家電・PC – Tech-On!

 

シェアとしては、iPad対その他大勢

そして、2011年時点でのシェアは、iPadの一人勝ちの状態。

2011年通期(1~12月)で見ると、タブレット端末の出荷台数ベースのシェアで、Kindle Fireが6%と第3位となった。iPadシリーズのシェア62%(4049万3000台)、Galaxy Tabシリーズの同9%(同611万台)に続く数字である。
Kindle Fireが2011年第4四半期のAndroidタブレット市場で台数シェア首位に、IHS iSuppliの調査から – 家電・PC – Tech-On!

 

他にも販売価格なども比較すると、こんな感じ。

タブレットの販売価格比較

 

製品ライフサイクルが成長期で、普及を迎えているときにこのシェアの偏りはGoogleとしては面白くない。Androidを広く使ってもらうのが目的だから。

 

そもそもGoogleはなぜ自社で端末を発売するのか?

そもそも、なんでGoogleは自社で端末を発売するのだろう。Kindle FireでもGalaxy TabでもAndroidを提供しているので、検索広告やGoogle Playを目的とするのであれば、達成しているんじゃないだろうか。

しかしこれにはひとつの理由があるようだ。iPadに対抗するには、高い顧客体験を提供する必要がある。それが他社任せのままでは、いつまでもシェアNo.1のiPadの牙城を崩せないのだ。Androidのバージョンはメーカーによって違うしね。だから、Googleが参戦してAndroidのシェアを広げていきたいということなんだろう。

そして、Galaxy TabやKindle Fireの値段とその売れ行きを見ると、タブレットは価格感応度が高いんじゃないかと。

 

Googleの低価格戦略は正しいのか?

Googleがこのシェア争いに参戦するなら、低価格で入り込むのは正解なようにみえる。だけど、iPadもKindle Fireも自分たちのプラットフォームへの入り口としてタブレットを展開しているし、AmazonなんてKindle Fireが売れるほど赤字になるという構造になっている。このタイミングでGoogleがこの2社にくらべて魅力的なプラットフォームを築いているかといえば、Google Playもまだいまいちピンとこない感じだもんね。

Googleからすれば、Amazonのようにシームレスに自社のプラットフォームと接続したり、楽にコンテンツを管理するのではなくて、端末の操作性と価格で勝負することになるんだろう。そうなると、Kindle Fireより低くないとダメかもねえ。だけど、Kindle Fireも端末だけでいえば赤字らしいからな。

とはいえ、このままの状態を放置することもできないから、何か手を打たないといけないからね。そして、Samsungがどう出てくるかも興味深いところ。

 

個人的には同じ値段ならKindle Fireを買うな。ただ、200ドルを切るというのは確かに魅力的ではある。電子書籍が日本で開始されたら、買っちゃうかもなあ。

 

参考:
新型iPad 対 Androidタブレット――タブレット競争を勝ち抜くのは?|Appleウォッチ|トピックス|Computerworld

行政機関で普及が広まっているコンテンツ管理オープンソース「Drupal」

アメリカの行政機関で、Drupalなるコンテンツ管理のオープンソースが広まっているという記事を目にした。恥ずかしながら、初めて知ったよ。

More federal websites adopting Drupal for content management — Federal Computer Week

Wikipediaによれば、

Drupalは、プログラム言語PHPで記述されたフリーでオープンソースのモジュラー式フレームワークであり、コンテンツ管理システム(CMS)である。昨今の多くのCMSと同様に、Drupalはシステム管理者にコンテンツの作成と整理、提示方法のカスタマイズ、管理作業の自動化、サイトへの訪問者や寄稿者の管理を可能にする。 その性能がコンテンツ管理から、幅広いサービスや商取引を可能にするにまで及ぶことから、Drupalは時々「ウェブアプリケーションフレームワーク」であると評される。Drupalは洗練されたプログラミング・インターフェースを提供するものの、基本的なウェブサイトの設置と管理はプログラミングなしに成し遂げることができる。Drupalは一般に、最も優れたWeb 2.0フレームワークの一つであると考えられている。
Drupal – Wikipedia

というわけで、優れたデザインと双方向性の実現、管理の容易さなどが優れたポイントのようだ。

 

そして、Drupalのページでは世界でDrupalを採用している行政機関のリストも公開されている。

List of Drupal sites in government (state, provincial, or national) | Drupal Groups

アメリカはホワイトハウスを始め、多数が使われている。

The White House
The White House

 

日本は4つ。国立国会図書館のカレントアウェアネスとか。

カレントアウェアネス・ポータル | 国立国会図書館
カレントアウェアネス・ポータル | 国立国会図書館

 

行政機関の「中立的な立場」という性質上、オープンソースとは相性が良い気がするんだけどね。OpenOffice(今はLibreOffice)の導入とか、鳥取県が地場企業と共同で開発したオープンソース「Joruri」とか、いろいろオープンソースの導入を進める流れもあるにはあるんだけど。

やっぱりこういうトップダウンが必要になるんだろうか。

「ロシア政府はLinuxを導入せよ」プーチン首相が命令書にサイン – DNA

e-ガバメント論-従来型電子政府・電子自治体はなぜ進まないのか-

こういう、電子政府・電子自治体に関する内容がきれいに整理された本ってなかったな。大学講義の教科書なんだそう。

電子政府・電子自治体に関するこれまでの流れがよくわかる。内容や現時点での課題についても、主要なトピックはほとんど網羅されている印象。逆に、これほど幅広いトピックを体系的に整理された本は、このジャンルではないだろう。

 

電子政府・電子自治体の潮流としては、効率化やコストカットの役割はほぼ終わり、本当の意味で利便性とコストのバランスをとって費用対効果を高めていくフェーズに入っている感じがする。情報公開やモバイル利用の実現、申請主義からプッシュ型行政への転換など、利便性や民主化を進める流れというのが、今後本格的になっていくのだろうか。

そして、人材不足については未だにちゃんと解決する方向性が見えない。どこもICTの実績や経験を積んだ人材が不足していて、どんどん変化していく技術動向についていけず、民間をコントロールするのが難しくなているんじゃないんだろうか。これは、行政機関内でICT人材に対するキャリアパスがうまく描けていない部分もあるだろうし、そもそも行政機関の人材はそれを目的に職場に入ってきていないという問題もある。さらにいえば、行政機関の人材をうまく集められないのであれば、県や市町村からICT部門を独立して、外部機関として、周辺自治体のシステムを一手に担うという考えもあるのかもしれない。
(そもそも、IT業界が知識集約型ではなく労働集約型のビジネスモデルになっていることや、大学などの教育機関が高度なIT人材を育成できていない、というもっと根本の問題も存在するけど。)

 

それにしても、これほど行政業務に直結していながら、電子政府・電子自治体については情報が少ない。とりあえず、基本的な知識についてはこの本でカバーできそうだ。

地方行政に対してITができる5つのこと

電子行政なんていう単語が出てきてから、だいぶ行政の電子化は進んだんだろうか。地方行政は効率化され、多様なサービスが生まれ、活性化されたんだろうか。それでも、まだITには行政に対してできることがあるんじゃないかと思う。何ができるかを考えてみる。

 

行政CRM(Customer Relationship Management)

民間が顧客と長期的視点に立って関係を築くことを目指すのと同じように、行政が市民を顧客とみなして、効果的に情報やサービスを提供するための仕組み。結構昔からある概念なんだけど、如何せん横断的な情報連携がうまくできていなくて、所得が低い人に社会保障を手厚く、みたいな特定だったり、イベントに合わせてプッシュ型で情報を通知することがうまくできていない。今議論されている国民IDや番号制度が、現状打破のきっかけになると期待されている。

 

オープンガバメント

行政が積極的に情報を公開し、Webサービスなどで市民との双方向性を実現する。これによって、市民の声を政策に反映したりできるし、何より行政の透明性が向上する。日本だけの問題ではないけど、行政に対する漠然とした不信感みたいなのが募っている。それを打開するために、ITを駆使して行政の透明度を向上させることで、信頼性を高めることになる。

なにもCSVとかでデータ提供するだけがオープンガバメントじゃなくて、予算編成過程を詳細に公開するなど情報の公開度を高めたり、UstreamやYouTube、Twitter、Facebookなどのソーシャルメディアを活用して、マルチ・メディアで多様な情報を公開していくことが、オープンガバメントなんじゃないだろうか。

 

民間が利用できるプラットフォーム構築

震災でも、公共機関として、情報を集約したり信頼性を高める役割が求められた。Gov2.0のように、プラットフォーム化することで、民間の重複投資を避けたり、情報探索のコストを下げることができるようになる。

武雄市が最近始めた、Fun & Buyの取り組みも、ある種行政がプラットフォーム化することで、産業の初期投資を下げている。しかもこの場合、技術的にはフェイスブックに乗っかっているだけなんだから、技術ごとプラットフォーム化しなくても手段はたくさんあるんじゃないだろうか。

 

情報提供・データ分析

ビッグデータの波は、行政にも訪れるんじゃないか。行政が発表する統計情報などは、社会的に結構重要だったりすると思うわけで。市民の生活実態を正しく把握したり、それを民間が活用して新しいイノベーションを起こしたり、データが果たす役割というのはとても大きい。だけど、なかなか情報を取得するだけでも労力やコストがかかったりする。

道路にセンサーを取り付けて、センサーから送られてくるデータをサーバで分析して、効果的に劣化予測するとか、既に実現の域に達している。そうやって、いろんなところから情報を集めて、整理して公開したり、分析することに対してITが果たす役割は大きい。

 

電子投票

なかなか普及が進まない電子投票。少し前に導入する自治体が現れたんだけど、システムエラーで投票できなかったり、集計が行えないとかで、だいぶ空気が後退してしまった。しかし、iPadですぐに投票用紙を印刷するなど、いろんな工夫で投票の電子化・効率化は前進している。

iPads in Oregon Election a Success, Official Says

電子投票は、低迷が続く投票率向上の切り札として考える人もいるし、電子投票はIT技術の進展とともに、普及を迎えるタイミングが来ると信じている。

 

 

他にもネタあるかなー。まだまだ僕らの社会は変われる余地があるんじゃないだろうか。

「ビッグデータ社会の到来」とオープンガバメント

こういう内容が無料で読めるようになったんだから、本当良い時代だ。AMN新書として電子書籍が出た。そのうちのひとつである「ビッグデータ社会の到来」を読んだよ。

ビッグデータ社会の到来 – akihitok | ブクログのパブー

 

最近ビッグデータに関するトピックが増えてきている。データ量が基本的に増えていること、ハードウェアやソフトウェアの進歩によって大容量データを分析できるようになっていることが要因となっている。映画「マネーボール」も公開されて、一層データ分析に対する注目度が上がってるんじゃなかろうか。

この本は25ページと短いものの、ビッグデータの現状を読みやすく纏めている。個人的にビッグデータに対して気になっていることを書く。

 

スマートグリッドとかInternet Thingsとかで、物理世界の情報がどんどん電子化されて、分析されようとしている現状で、データの源泉をどうするかということは、ビッグデータ分析をしようと思っている企業にとってはとても重要な課題になる。

TwitterなどAPIを公開しているソーシャルサービスから取得しても動向は分析できるし、自社サイトだけではなくいろんなところからデータは取得できる。

オープンガバメントも、ビッグデータと関連していて、公共データをどれだけ活用してもらえるかは今後の大きなテーマになると思うんだよね。「電子行政推進に関する基本方針」でもオープンガバメントが5つの重要施策のうちの1つになっているし。
www.kantei.go.jp/jp/singi/it2/dai55/siryou2_1.pdf

 

個人的には、まだビッグデータ分析は大企業と一部のネット新興企業を中心に利用が進むだろうし、公共機関自体がデータ分析したり、中小企業がデータ活用するというのはハードルが大きいと思っている。その一番の理由は初期投資とリターンの因果関係が特定しづらいからだ。

何かのついでに分析を進める、とか少しずつ分析用途を広げていく、というのが現時点での現実解だと思うけど、IT投資がおぼつかない中小企業や、事前の費用対効果を厳しく求められる公共機関では、なかなか活用は難しいだろう。むしろ、オープンガバメントをもっと推進して、利用される立場としてデータ提供機会を増やして欲しい。