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2015年にアップデートした記事を書きました。よろしければ、そちらもお読み下さい。 →野村総合研究所とNTTデータの戦略の違いは、数字に表れている | Synapse Diary[/aside]
NRIは営業利益が他社より高いことをひとつの強みとして挙げている。
NRIは業界でも高い収益力を継続的に維持しています。
大手コンピュータメーカー各社と比較して売上規模は劣りますが、売上高営業利益率は他社を圧倒しており、2012年3月期は、12.9%でした。
NRIの強み:業界トップクラスの収益力 | 野村総合研究所
というので、実際に本当か調べてみた。NTTデータと比較してみると、確かに営業利益では一定してNRIの方が大きい。
(有価証券報告書 | 野村総合研究所を元に作成)
一方で、売上高総利益率をみてみると、やや違う傾向がみえる。こちらでは、両社とも下落傾向であることは変わらないが、ほとんど一環してNRIの方が値が低い。これをみると、やっぱりこの業界の収益性は下がってきてるんですねってことになってしまうなあ。
総利益率が低く、営業利益率が高いのはどういう理由か?
総利益率が低く、営業利益率が高いのは、原価が高く、販管費が低いということになる。
これが原価の割合を示したもの。NTTデータは材料費があるのは、恐らくハードウェアを販売しているからだろう。これは想像になるけど、NRIの方が労務費の割合が高いので、外注が少ない分本体の人件費が高く、その分原価率として上がってしまっているのだろう。
販管費が低いのはなぜ?
販管費については、主に営業活動に必要な人件費や拠点などの費用だと思われる。
販売管理費については、グループ全体の効率化を妨げる、重複した営業体制、個別の開発サポート(拠点)体制などを改善するため、2008年秋以降に富士通やNEC、日立製作所、NTTデータなど、大規模な事業構造改革を実行するベンダーが非常に多くなっているという。一方、IBMやNRI、伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)、新日鉄ソリューションズ、大塚商会は大規模な改革を予定しておらず、すでに一定の効率化を果たしたものとみている。
ITベンダー収益分析:売上原価や販管費の削減が課題、規模拡大より収益性向上 – ZDNet Japan
原価や販管費を抑制しよう、というのはここ数年のSIerの中では叫ばれていたことで、生産性を上げて、無駄な経費を削減しようという流れというのは、業界自体が拡大していない、というところの裏返しなのかもしれないな、と思うところです。
というわけで、NRIの利益率の高さについて確認したけれど、結局NRI自体も売上は横ばいになっているし、業界自体に元気がないのは周知のところ。SIerの本質的な宿命はどこにあるのかといえば、IT技術を使って企業の業務課題を解消していくことであって、これまではIT技術の発展=ソリューションになれたのかもしれないけれど、今はIT技術の発展はコスト削減に振り向けられており、縮小していくパイを自ら縮小させることで奪い合いを加速させている印象です。
本質的に違うソリューションを生み出していかないと、SIerとして今後生きる道はとても険しいんじゃないかと思う今日この頃。エンジニア不要説とか、冗談に聞こえない。
話は変わるけど、就職活動のときに、こういう財務諸表の読み方を知っていれば、売上規模が違ったり、利益が安定しているかとか、今後の事業見通しとか、イメージだけじゃなくてもう少し事実に沿って深く考えて企業を選ぶこともできたかもしれないなあと思う。時間だけは無限にあった気がするのになあ。
参考:
金融危機で株価低迷 業績浮上のタイミングがカギを握る [野村総合研究所(証券コード 4307)] | IT Leaders 金融危機で株価低迷 業績浮上のタイミングがカギを握る [野村総合研究所(証券コード 4307)] | IT Leaders |
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