細谷功¥ 1,680 |
何となく硬いイメージの表紙だったんだが、予想以上に面白く、一気読みしたよ。アナロジーの重要性について理解していたつもりだったけど、この本を読んだら甘いことに気づいた。ここまで分析してこそ、アナロジーの活用に道が拓けるのかもしれない。
具体的にどういう点を意識して、アナロジーを活用するかは、本を読んでもらえれば。どちらかというと、なぜそれが重要か、という点を書いておきたい。
それは、画期的な技術を開発するのと同じくらい、「コンセプト」を開発する・発見することが重要になっているから。情報化社会で、情報を伝播するコストがとても下がっている。だけど、やはり「形がない情報」というのは伝達しづらいし、限られた情報しか伝えられない。
そこで幾つかの事象を束ね、普遍性を抽出し、名前をつける行為が必要になる。Web2.0とか、オープンガバメントとか、モチベーション3.0とか。プラットフォーム思考みたいなビジネスモデルもそうだ。
端的にサービスの違いとか将来を見据える観点をひねり出すというのは、それなりにニーズがあるというわけです。「言われてみればそうだよね」と思ったりするんだけど、そういう新しい観点を切り口として提供することは、とても大切になっている。
というわけで、アナロジー思考。どういう観点で類似性や普遍性を捉えるか。そういうことに興味を持つ人であれば、存分に楽しめると思う。
最後に。
同様に、例えば会社の資料でも抽象化能力の高い人はこうした「構造レベルでの美しさ」にこだわる。例えば資料の個々のページのデザインや色彩などではなく、全体の構成の単純さや整合性といったものである。P.138
これを読んで、これまでの上司が走馬灯のように駆け巡りました。