2015年1月から番号制度が開始される。今のところ発表されているスケジュールはこんな感じ。
2011年4月までに「社会保障・税番号要綱」の取りまとめ。
2011年6月中に「社会保障・税番号大綱」(法案)の取りまとめ。
2011年秋に番号法成立の想定。
2014年6月に番号とICカードを配布。
2015年1月に番号制度開始。
番号制度は、財源不足で悩みつつ、捕捉率を上げるために人員を増やすことも難しい行政が税収を上げる手段としの面と、来るべき消費税増税のときに生活用品の税率控除だったり低所得者の給付を正確に行えるようにする仕組みの面があると思っている。具体的なメリットは、次の点だろう。
税金の捕捉率があがる
消費税は、仕入れ・流通の過程でどんどん流れていくので、どの業者がいくら消費税を預けたかを把握する必要がある。それにインボイスを使えば、正確に税金を補足することができるようになる。これは、現在税務の事務負担軽減のために簡易課税を認めていたりすることも関係する。
ちなみに捕捉率が上がると、いわゆる「クロヨン問題」が解消され、2兆だとか10兆だとかの税収向上が見込めるとの試算がある。
インボイス方式
東京新聞:共通番号制 深めたい税の公平論議:社説・コラム(TOKYO Web)
給付や税額控除に複雑で柔軟な制度を導入できる
共通番号制によって、個人がかけた医療費の把握も一元化される。また、税と社会福祉がシステム上連携するので、所得額や納税額、支払った医療に応じて正確な給付を行うことが可能になる。また、減税のメリットを得られにくい人に対する「給付付き減税控除」なども正確に行うことができるようになると言われている。
あと、個人や企業の所得を正確に把握できるようになると、複雑な税率設定も行えるようになる。これによって、細かく設定された条件に応じた税額控除が行える。
行政CRMが実現できる
市民が受けられる行政サービスというのはいくつもあるのだけれど、実際はシステムが縦割りの状態で充分に横の連携をしていないことから、個人が受けられるサービスを正確に把握できていない。しかし、共通番号によって横の連携が実現すれば、行政側から、受けられる給付制度や行政サービスについてプッシュ通知することができるようになる。
民間でCRMが流行った頃から行政CRMの考え方自体はあるのだけれど、共通番号制度をきっかけに再燃するかもしれない。
ちなみに、システムの構築には企画・構想を含めると4年ぐらいかかるから、2015年1月に間に合わせるのは難しそうだなあ。というわけで、全ての自治体が一斉に使えるようになるわけではないと思う。