名古屋発どえりゃあ革命!

これを読んで、河村名古屋市長がどのような方向性を目指しているのか、何となくわかった気がしたのでメモ。

減税=小さな政府

なぜ減税か。ポピュリズムという批判もあるが、減税の根底にあるのは「小さな政府」。

お金というのはひとつの制約事項であるが、逆にこれが潤沢にあると制約は外れていく。そして、組織というのは大きくなればなるほど、コスト圧縮の制約は働きにくくなる。これは行政機関に限った話ではない。

コストを削減するためにどうするかといえば、トップが旗を振って制約をかけたり、予算制度でキャップを設けて制約を作ることで、末端までコスト圧縮の力が働くようにするのが通常だ。あとはその力が強いか弱いかだけ。

名古屋市政では減税の財源を行革などから捻出しようという計算のようだが、これもコストのキャップがあってこそ改革が本格的に実行に移される、という作用を考慮したものだ。シュンペーターの「不況なくして経済発展なし」ではないけれど、制約があってこそイノベーションが生まれる。その考えが根底にあるように思える。

権力の分散・縮小化

より住民に密着した自治を達成するため、国・県から基礎自治体へ、そこからさらに住民側へ権力を分散しようとしている。基礎自治体よりも小さい自治単位として委員会をつくり、そこで住民自治を行うようにして、住民自治の受け皿をつくったのが象徴的だ。

大きい組織では動きが硬直しやすく、細かいレベルでの決定ができなくなり、非効率になる。その流れを受けて地方分権が叫ばれているのだけれど、名古屋市のような人口200万人レベルになると、基礎自治体という単位では細かい自治が難しいのかもしれない。もっと行政区を細かくして、裁量を委ねていく。このあたりは大阪都構想とも思想が似ている。

それにしても、これだけ注目される人も珍しい。やり方に是非はあるとしても、注目され対立軸が生まれるのは政治にとって良いことだと思っている。対立軸を設け、その点を争うことで違いが明確になるし、投票する側も自分が望むのは何か、を具体的にイメージし、選択することができるようになる。

首長は議会から不信任案が出されて可決されない限り解散できないことや、減税すると起債が禁止されるなどの制度は、これを読んで初めて知った。こういう実態は、やはり多くの人が知らないものだ。大村愛知県知事との対談内容や、市議会との対立から辞職に至るまでのエピソードも含め、住民自治を再考するとともに、ひとつの読み物としても面白かった。

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