少し前にメディアの話題をさらった「はやぶさ」。そのプロジェクトマネージャーの思考ポイントを列挙。大切なポイントを多く語っていて、技術者でありリーダーである、というそのバランスには脱帽。
リスクをとることの大切さと、安定化装置としての組織の役割
宇宙事業というのは基本的に挑戦の連続なのだから、リスクを恐れていては仕事にならないだろう。企業でも個人でも、失敗を恐れ、挑戦をしないことはいずれ衰退を招く。だから、致命的にならない範囲で必ずリスクをとらなければならない。
けれど、組織が失敗を続けたり、安定した状態が続くと、リスクテイクする空気が薄れていく。これはどうしても仕方がない。この空気を変えて、意図的な変化を起こし、組織内でリスクをとること、新しいことに挑戦していくことが非常に重要だ。
そして、部下が多少無理をしても、本当にやばいときは上司が止めてくれるような、安定化装置が組織内に組み込まれていることも非常に大切だ。組織的に何か事を起こすときに審査プロセスを通す、などの組織的な仕組みも考えられるし、日頃の作業内容を把握し、培った知識と経験を基に上司が直接制御する場合もあるだろう。少なからず、そういうチェックする仕組みが、挑戦者の存在と同じだけ大切だと思っている。
それにしても、読んでいて宇宙に想いを馳せて気分が高揚するし、宇宙旅行に行きたくなるし、気持ち良い一冊だった。