「つながり」を突き止めろ

 

人とのつながりを科学することは、本当に面白い。「つながり」を科学した入門書なので、単純な雑学として読んでも面白いが、社会や組織で生きていくことを考察する上でも、非常に興味深い。

 

組織は階層構造によって権威を保つが、ネットワークではメンバーの持つ知識や技能が権威の源泉となる。

僕は、今の社員の優遇化は瓦解され、人材の流動化が活発になると思っているが、その場合は組織に属する意味が薄れていく。副業や兼業ももっと増えてゆくと思う。

 

企業の枠を取り除いたとき、いかに自分が弱い存在であるかに気づく。激しい就職難の時代で、既に就職して企業に属している自分が言うのもなんだが、企業に過剰に期待してはいけない。労働者は労働力を供給する代わりに、賃金と経験と知識と人脈を得るのが健全だと思う。組織の中ではなく、組織の外に目を向けるべきなのだ。

 

ハイ・パフォーマーは、組織内部に広い信頼・協調関係を張りめぐらしており、人々の関係のブローカー(仲介者)となっていたのである。

ある組織で結果を残す人は、いろんな人と信頼関係を築き、ネットワーク間のハブの役割を担っていることが研究結果として示されている。これは妙に納得した。

 

勇気を持っていろんなネットワークに飛び込み、情報を交わし、刺激を受け、自らの仕事に還元してゆける人が「仕事ができる人」になるのだろう。組織で生き残ることだけを考えている人は、こういう部分で限界を迎えるのかもな。

 

そして最後に。

良き人間関係には、抑止力があるのだ。そして良き人間関係の欠如は、暴走を生みやすい。

孤独に耐える精神力も必要だが、時に人の精神は脆い。つながりが支えてくれる部分は大きいことを、本書を読んで再確認する。

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