ブックオフの業績はこれまで苦戦していました。売上と利益が落ち込み、2017年期は赤字になっていたんです。
ちなみにこちらは2015年に書いた記事です。その時点で売上は頭打ちになっていました。
そこで、久々に業績を確認してみたら、黒字に復活していました。
ブックオフの業績確認したら、赤字から脱却してた。減収増益。主に人件費を削った効果。 pic.twitter.com/ed9Z10dy2G
内訳をみると、売上は前年比で下がっており、利益は増えています。減収増益です。このパターンの場合、コストを削った結果です。
具体的には、販管費のうち人件費を削っています。それ以外にも減価償却費(投資の抑制)、消耗品費などコストを大きく見直しており、売上の減少でも利益を増やすことに成功しています。
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ブックオフの事業モデル
ブックオフは、IR資料によると4つのセグメントが定義されています。「リユース店舗」「ブックオフオンライン」「ハグール」「その他」です。
以下がセグメントごとの売上です。
凡例がなくてすみませんが、青かリユース事業です。圧倒的に「リユース店舗」が稼いでいます。
営業利益でみるとこんな感じです。
こちらでも、リユース店舗が利益の大半を創出しており、赤のブックオフオンラインが黒字ですが、それ以外は赤字です。
ここから、店舗での事業は未だ強い存在感があるものの、それ以外の成長事業が明確に見えていない印象を持ちました。
ちなみに、ブックオフオンラインとハグオールは統合されました。
ブランド買取のハグオールが消滅、ブックオフオンラインに吸収合併
この統合によって、将来的にはオンライン事業の売上を100億円規模まで拡大したい、としています。
リユース市場の成長はどこにある?
ブックオフのIRにも書いてありましたが、リユース市場は成長しています。ブックオフはどの分野を取り込めば、市場全体の成長に乗れるんでしょうか。
経産省に、リユース市場を分析したレポートがあるので確認してみました。ツイッターでも書きましたが、
経産省のレポートみると、リユース市場は店舗とネットは同じくらいの規模。ネットでは特にフリマの成長が著しい。 pic.twitter.com/ngLrls0gvb
成長領域は明らかにネットであり、店舗販売とネット販売は同程度の規模にまでなっています。
ネットはさらに細分化されており、大きな成長領域はフリマです。
ブックオフオンラインはB2Cの分野であり、今後もある程度の成長が見込めるとは思いますが、逆に成熟もしつつあります。競合が多数いる状況であることを考えると、今の延長線上で大きな市場の成長を取り込める、というのは少々考えづらいのではないでしょうか。
分かれる小売業の戦略
ずっと小売のEC化が注目されてきましたが、その動きも最近は変わってきている印象です。
ユニクロはECをガンガン伸ばしていますし、ヨドバシも売上の15パーセントはネットからです。
EC売上1000億円突破のヨドバシカメラなど通販売上ランキング2017【ジャンル別】 | 通販新聞ダイジェスト | ネットショップ担当者フォーラム
一方で、ツタヤは店舗開発に注力しており、ヴィレッジバンガードはECサイトがうまくいっていません。
新規事業として目立ったものが資料からは読み取れなかったけど、どうなんだろう。ネットショップも今のところあまり利益出せていない。 pic.twitter.com/t051YDHxUY
— Synapse Diary (@reiji) July 19, 2018
ドンキホーテも、デジタル戦略としてECではなく店舗の魅力や利便性を高めることに注力しています。
ドンキの戦略はこのスライドがなるほど感。個店主義が中心にあるが、業態開発やPB商品開発も積極的。 pic.twitter.com/HhBegiLbzN
— Synapse Diary (@reiji) August 26, 2018
これらの動きをみると、業態や商品ラインナップ、企業のカラーなどが相まって、とりあえずECではなく、店舗に注力した方が勝てる、というタイプの企業が出てきている気がします。
とはいえ、ブックオフはヤフーと提携して、オンライン事業を拡大する方針ですし、今後の動きが注目です。