久々にブックオフコープレーションの最近の状況について、調べてみました。
きっかけは、この記事です。
ブックオフは連結子会社であるB&Hの締結するハードオフとのフランチャイズ加盟契約を、3月31日をもって円満に解約。3億円の違約金をハードオフに支払うことで、競業禁止義務を負わず、ブックオフで独自に家電を扱えるようになった経緯がある。同社の2015年3月期 決算説明会資料では、「『本』のBOOKOFFから『何でもリユース』のBOOKOFFへ」と掲げている。
最初、この記事の意味がよくわかりませんでした。てっきり、ブックオフとハードオフってグループ会社だと思っていたので。「ハードオフという店舗があるのに、わざわざブックオフで家電売るの?」と。でも違ったんですね。
そしてブックオフが業態を変えるということは、置かれている状況や今後の戦略に変化が生じているはずです。ということで、そのあたりを調べてみました。
ブックオフの業績は頭打ちの状況
まず、最近の業績を見てみましょう。5年間の売上高と営業利益率です。正直、頭打ちになっているようにみえます。
いろいろこの状況が起こっている要因を想像することはできますが、そのひとつは本自体の出版減少です。詳しくは以下リンクを見てもらえばと思うのですが、出版物の売上はどんどん低下しています。
出版物の分類別売上推移をグラフ化してみる(2015年)(最新) – ガベージニュース
そもそも本が売れなくなっているので、新古書を扱うブックオフも苦戦していると推察します。
それ以外にも、店舗閉鎖したり、ツタヤのフランチャイズ契約を解消して譲渡したりと、事業整理していることが、売上低下している影響もあるようですね。
ブックオフ/TSUTAYA運営子会社を20億円で譲渡 | 流通ニュース
ブックオフの戦略転換
これまでは本を中心に展開してきたブックオフですが、それを「リユース全般」を取り扱う方針に転換するようです。
本だけでなく様々なリユース商材を取扱うことで、売上を上げていくことが狙いです。そのために、冒頭の記事のように、ハードオフとのFC契約を解約して障害を取り除きました。
そして、ヤフーとの資本提携。これは、買取・販売のチャネルの拡大が狙いになります。ブックオフオンラインでネット事業を頑張っていますが、ヤフーの持つプラットフォームとしての強さは魅力的なので、それを利用して既存店とネットを融合した買取・販売の拡大や在庫の軽減を図ることになります。
その流れの中で、まず注力しているのが家電です。
思えば、ブックオフはいくつか特徴的な新しいビジネスモデルで成長してきました。
- 新古書市場の成長 → 本がたくさん売れる中、捨てるのに持て余す人がたくさん
- 従来と違う店舗形態 → 明るくて大きな店舗
- 目利きに頼らない簡易な値付け → わかりやすく、効率的なオペレーション
リユース市場は今後も成長すると見られており、圧倒的なプレイヤーが存在していません。そういう状況で、中古家電に目をつけたのは、値付けが比較的しやすいからではないかと推測します。
上記資料の3番目に「(価格データベース)」と書いてあるのは、値付けを行うときの参考となる情報をヤフーが持っているからではないでしょうか。
まとめ
- 現在は売上が頭打ち。営業利益も低下傾向。
- FC契約等の事業を整理し、本以外の商材も含めたリユース市場に拡大
- ヤフーとの資本・業務提携でリアル・ネットの融合による販売向上を狙う
- 中古家電を先駆けて実施しているのは、値付けが行い易いからではないかと思われる
一旦売上を下げて身を切る改革をしていますし、これで再度浮上してくるか、今後の動向が気になりますね。