1on1ミーティングとは、シリコンバレーを中心に、最近定着してきている上司と部下のコミニケーション手法です。そしてその手法を詳しく書いたのがこの本です。
なぜこの手法が注目されているのかを理解したくて読んでみましたが、たしかに今の時代に合ったものだと思えました。
特に本書を読んで、なぜ1on1が注目されているかを理解するのが重要だと思いました。人事評価制度や、上司と部下の関わり方は大幅に見直さなければいけない時代に突入してきています。
1on1ミーティングとは?
1on1ミーティングというのは、次のように表現されます。
「1on1」とは、上司と部下が1対1で定期的に行うミーティングのこと。米国シリコンバレーでも“1on1 meeting”は文化として根付いており、人材育成の手法として今、世界的に注目を集めています。部下は上司に仕事で経験したことや悩みなどを伝えて内省し、上司は部下が成長するようにアドバイスを与え、気づきを促します。会議や査定といったかしこまった場とは異なり、お互いに自然体で話す場を定期的に設けることで、部下の内省による成長や、社内のコミュニケーション活性化が期待されています。
特徴なのは、1週間から1ケ月という短い頻度で実施することと、できるだけオープンな雰囲気で話すことです。
これがなぜ、新しい方法として注目されているのでしょうか。
ビジネス環境の変化がスピードを増している
ビジネス環境の変化は大きく、人々の役割は流動的になっています。多くの企業が、一年目標決めて振り返って評価する、というのはサイクルを採用していると思いますが、いざ評価しようと思ったら状況も役割も一年前に目標決めたときから乖離していた、ということはないでしょうか。
最近上場したメルカリは、素早い戦略の変更に対応するため、組織構造をファジーにして、3ヶ月ごとの成果サイクルにしています。
ー他にメルカリの組織の特徴はありますか
組織構造をあえてファジーにしているのが特徴であり、良さだと思っています。
戦略や目標も3ヶ月ごとに変わるので、それに応じて組織も変えることができるようにしています。同時に、そのような組織変更をスピーディに行えるような人事制度をとっています。具体的には、3ヶ月ごとに成果を評価できるように人事評価のサイクルを回しています。そうしておけば、3ヶ月毎に組織が変わっても対応できます。
素早く変化に対応するためには、組織もそれに合わせて変更できるようにしておかなければいけません。
これだけ見ても、一年目標決めて振り返って評価する、というのはサイクルとしては長すぎるのではないでしょうか。
また上司と部下が評価について話すのも一年に数回で、自分のフィードバックを得る機会が限られています。これでは、役割や意識をこまめに見直すことも難しいでしょう。
組織よりも個人のほうに力がシフトしている
もう一つ重要だと思ったのは、総じて組織よりも個人の方に力がシフトしてるんじゃないかということ。
今は日本も世界も人材の流動性が高まっています。なので、企業は優秀な人材をつなぎとめていく力を高めないといけません。
それは報酬や福利厚生もそうですが、働きやすい環境という点でも同じです。入社した人材を育成し、繋ぎ止めておくためにも、個人との密なコミュニケーションはメリットがあります。突然辞職宣言されるケースが未だにあると思いますが、そういうのをできる減らす効果も期待できます。
また、特定の個人によるイノベーションやブレイクスルーが重要になってきており、タレントをつなぎとめることが企業の肝になっています。
これまでも、新しいビジネス環境に合わせて企業の人事制度は進化してきました。1on1ミーティングはこれからの新しい人事制度を考えるきっかけになると思います。本書を読んで新しい潮流を感じてください。