BTC chart

ビットコインなど仮想通貨の価格が急騰。仮想通貨は今後どうなる

最近、ビットコインなどの仮想通貨が話題になっています。簡単に言えば非常に価格が急騰しており、様々な点で注目を浴びるようになっています。最近のビットコインの価格は、以下のように推移しています。

BTC chart

Bitcoin (BTC) | CryptoCurrency Market Capitalizations

今年に入ってからの上昇ぶりは目を見張るものがあります。

 

この状況をうけて、Techrunchは「バブルが発生しているのではないか」と観測する記事を書いています。

仮想通貨市場で今何が起きているのか?――時価総額1000億ドルはバブルを意味するのか | TechCrunch Japan

 

Googleトレンドで見ると、ビットコインの検索ボリュームもどんどん増えています。

(ちなみに、上記グラフでは2015年頃から表示していますが、2014年の方が「ビットコイン」の検索ボリュームが多くなっています。それは、マウントゴックス事件のためです。紛らわしいので上記グラフでは含めないようにしました。)

というわけで、ビットコインは価格が急騰し、認知度も高まっている状況です。今の状況が、仮想通貨やその1つであるビットコインのバブルかどうかは、僕も知りません。ただ、今の状況がどういう背景をベースに起こっていて、これからどういう変化を起こしそうなのかということを、ここに書いておきたいと思います。

この記事を読むことで、ビットコインを始めとする仮想通貨の取り巻く環境が理解できるとともに、明日から、どういうことを考えたら良いのかヒントになると幸いです。

 

仮想通貨はビットコインだけじゃない

もう知ってる人も多いと思いますが、いわゆる「仮想通貨」というのはビットコインが有名ではありますが、種類としてはそれだけじゃありません。

CryptoCurrency Market Capitalizations」を見ると、仮想通貨の種類は800近く存在するようです。そして、ビットコインの価格が上がっているのですが、他の仮想通貨も軒並み上昇しており、相対的に仮想通貨におけるビットコインのシェアは低下しています。

これまで仮想通貨の市場規模の大半を占めていたのはビットコインです。2016年末までは全体の8割~9割をビットコインが占める状況でした。しかし、2017年に入ってからビットコインの存在感は低下しています。5月17日時点では、シェアが48.5%まで低下しているのです。冷静に考えれば、特定の業界で半分のシェアを握っていることは凄いことですが、仮想通貨=ビットコインとは必ずしも言えない状況になってきています。

引用:仮想通貨の市場規模。2017年から急拡大。

 

実際、ビットコインの次に取引額が多くなっている仮想通貨として、イーサリアムとリップルが挙げられます。

なんでこんなにたくさん通貨の種類が存在しているかといえば、それぞれ「ブロックチェーン」という技術を使っているという点では共通していますが、各通貨ごとに違う特徴を備えているのです。

例えば、イーサリアムは、

イーサリアムもビットコイン同様ブロックチェーンの暗号技術を利用していますが、ビットコインよりもさらに機能を拡張させているのが特徴です。ビットコインとイーサリアムの違いはいくつかありますが、大きな違いとして「スマートコントラクト」という技術を利用している点が挙げられます。

引用:イーサリアムの特徴とは?ビットコインにはない優れた機能 | イーサリアムのことなら仮想通貨の取引所「ビットポイント」へ

 

と、ビットコインの機能を拡張させています。別の本で「ブロックチェーン・レボリューション」からも引用してみます。

ビットコインと違うのは、通貨の取引だけでなく、どんな取引でも実行できる点だ。イーサリアムには、ブロックチェーンを使ってアプリケーションを開発するための便利な道具が組み込まれている。これを使えば分散型のゲームアプリから証券取引所まで、実に幅広いサービスが実現できる。

 

つまり、通貨以外の契約に関する情報を取り込んで取引できる点に特徴があります。

 

一方で、またGoogleトレンドをみてみると、また別の視界が見えてきます。関連するキーワードを世界全体を対象に見た場合が以下です。

ビットコイン、イーサリアム、リップルの順になっており、取引規模と同じような傾向になっているといえそうです(それでも、ビットコインが突出していますが)。

しかし、日本に限定するとまた違った傾向になっています。

知名度という点ではビットコインが圧倒的で、「仮想通貨」よりも多くなっています。「仮想通貨=ビットコイン」と思っている人も多そうです。また、イーサリアムとリップルでは、取引規模ではイーサリアムの方が多いのですが、知名度という点ではリップルが上回っています。これは、別の要因が絡んでいると思われます(後述)。

ここで言いたいのは、時価総額と知名度は、日本においては必ずしもリンクしていないということです。

 

仮想通貨が注目される理由

日本で仮想通貨が注目されてきているのは、改正資金決裁法が平成29年4月から施行され、消費者保護を含めて法整備が整ってきたことがひとつ挙げられるでしょう。

また、ビットコイン決裁に対応する店舗がどんどん増えており、2017年内には2万店舗に達するという観測もあります。

ビットコイン対応店舗、国内2万カ所へ急拡大 17年中にも  :日本経済新聞

さらに、リップルは国際的な送金サービスに利用されようとしています。

三菱UFJ、送金効率化へ世界連合 米欧豪6行と18年  :日本経済新聞

リップルは通貨交換機能を備えており、そのネットワークを送金に利用することで効率化するというのが、狙いのようです。この発表によって、リップルの価格は高騰しました。前述のGoogleトレンドでリップルの検索ボリュームが多くなっているのも、この報道とリンクしています。

現在、お金の移動に様々な業者が介在していて、時間と手数料が多く必要になっています。それを、仮想通貨で効率化しようというのが狙いです。

というわけで、知名度が上がり、店舗でも決済機能として使いやすくなってきています。また、金融機関などでも、既存の課題を解消する新しい解決法としてのブロックチェーンが、真剣に導入されようとしている、というのが現状です。

 

仮想通貨が抱える技術的な問題

仮想通貨は、認知度が上がり、法整備を含め利用しやすい状況が作られてきており、店舗や金融システムなどの実世界で利用される場面が増えてきています。

しかし、仮想通貨自体には全く問題がないわけではありません。例えばビットコインでは「スケーラビリティ問題」が有名です。

簡単にいうと、技術的な仕様の制約によって、膨大な取引量をさばくことが難しくなると言われています(取引を完結するために非常に時間がかかるようになる)。VISAなどの決済インフラと比べると、可能な処理量は100分の1以下と言われており、現在のビットコインの処理量はそろそろ限界とも言われています。なので、これ以上ビットコインの取引が増えていくのは懸念がある、という問題です。

仮想通貨ビットコインの最大取引量の問題|ブロックサイズ、スケーラビリティ問題“初心者さん向け”  | 仮想通貨まとめ

ややこしいのは、解決法を関係者で議論しているのですが、政治的な対立も引き起こしており、現在のビットコインからフォーク(=枝分かれ)して、別の通貨を作ろうという動きもあるようです。

ビットコイン分裂阻止へ、「Bitcoin Unlimitedは新通貨」と取引所18社 | TechCrunch Japan

仮想通貨の存在が大きくなってきたからこそ、様々なステークホルダーが絡み合っており、また当初は想定していなかった問題も浮上しています。

今後も、違う問題が浮上してくる可能性はないとも言えないでしょう。

 

まとめ

ビットコインをはじめとする仮想通貨は、現在の経済構造の問題を解決する要素を含んでいるので、今後も世界で使われていく流れは進んでいくと思います。

ただ、それはビットコインではないのかもしれません。技術的な制約であったり、仮想通貨が備える機能のどこに着目されるかによって、他の仮想通貨がスタンダードになるかもしれないのです。

というわけで、投資としての仮想通貨に興味があるなら、少額で始められるので投資してみると面白いんじゃないかと思います。そのときに、ビットコイン以外の仮想通貨もあるので、どれに投資するかはいろいろ調べてみると良いでしょう。

 

今後のビジネスにどういうインパクトを及ぼしそうかを知りたければ、こちらの本がおすすです。仮想通貨に限らず、「ブロックチェーン」という技術がどういう革新的なインパクトを与えるかが語られていて、非常に刺激的です。