最近はますます、私の周囲でも、ネットで販売を広げようと考えている事業者が多いのを実感しています。既存のビジネスを拡大させたい、あるいは副業や趣味など小規模な事業として、ネット販売を活用したいなど、ケースは様々です。
ネット販売を中心としたEコマースは、売る側のチャネルの選択肢として、当たり前のように考えるようになっています。今後もますますネットで販売されるようになるんでしょうか。
そこで、今の日本市場におけるEコマースの実態を、国の統計資料から読み解いてみたいと思います。
調査レポートは、経産省の「平成28年度 我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備(電子商取引に関する市場調査)」を参照します。
平成28年度 我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備(電子商取引に関する市場調査)(PDF)
全体のEC化率(B2C)
先ほど挙げたレポートでは、様々な商材のEコマースの市場規模が掲載されていますが、EC化率(全体の販売におけるネット販売の比率)は物販のみとなっています。
物販のEC化率は、全体のトレンドで見ると以下のように推移してきています。
全体的に上昇しており、Eコマースで購入する割合は増えていることがわかります。
ちなみにアメリカのEC化率は日本より進んでいると言われており、日本でも将来的にはもっとEC市場全体は拡大していくと予想されています。
さらに、スマートフォン経由の市場規模も拡大しており、相対的にスマートフォン比率が上がってきています。
若者中心にパソコンを持たない人が増えてきていることもあり、スマートフォンの存在感はどんどん高まっているのが実態です。
カテゴリーごとのEC化率
物販系のECは、各カテゴリーごとで見ると以下の規模になっています。
また、各ジャンルのEC化率と市場規模との関係図がこちら。
市場規模に対して、どの程度EC化が進んでいるのかがわかります。市場規模が大きいものの、EC化率が低いジャンルとして「食品、飲料、酒類」や「衣類・服装雑貨等」が挙げられます。
食品系については、やはり鮮度が重要になることが多く、直接買うことが多くなるのではないかと推測します。報告書でも、以下のように考察されています。
EC化率は 2.25 と相対的に他のカテゴリーより低いが、これは一部の生鮮食品等、ECに不向きな商品が含まれること、食品をECで買う文化が根付いていないことが原因と考えられる。
ただ、ネットスーパーが普及してきていますし、Amazonも「Amazonフレッシュ」の提供を始めており、この領域のEC化率は各社力を入れているのがわかります。
Amazonフレッシュ | 生鮮食品、日用品・雑貨、専門店グルメ – アマゾン
あと、衣類系もサイズを確認して買いたいニーズがあったり、品数が多く比べづらいなどの特性が影響しているかもしれません。しかし、こちらもZOZOTOWNが売上を伸ばしていたり、ユニクロがECに力を入れるなど、アパレルのEC化は今後も上昇していくでしょう。
このように、ジャンルによって動向が違うものの、例えばEC化率が低く市場規模が大きいところは、今後大きく伸びる可能性があるなどの参考になるのではないでしょうか。
EC市場全体は、まだ市場全体が伸びる可能性がある、とも言えますし、ライバルが増えたり、大手が寡占化しはじめているため、楽に勝つのは難しいともいえます。中小・零細はジャンルを絞らないといけないでしょう。
実店舗の売場面積
次に、ネット販売ではなく、実店舗としての小売業の動向もみてましょう。こちらは商業統計(経済産業省)からデータを取得します。
以下は、事業規模ごとの売り場面積の推移です。
戦後の歴史でみれば、全体として小売業の売り場面積は伸びてきています。しかし、事業規模ごとでみると、大企業の売り場面積は伸びている一方で、小規模な企業ほど売り場面積は減少しています。実店舗の販売は体力勝負な面が出ており、小規模な小売業は苦戦している姿が浮かび上がってきます。
まとめ
以上、ざっくりまとめると次のようになります。