管理職は必読。インテル経営者の組織管理ノウハウ「HIGHOUTPUT MANAGEMENT」

「高いアウトプットを管理する」という、すごいタイトルですが、インテル3番目の社員であり、社長にもなったアンディ・グローブの著書で、組織管理に関する本です。

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もともとは、「インテル経営の秘密」として、初版は30年前、改訂版は20年前に発売されたものです。ベン・ホロヴィッツの「HARD THINGS」の中で紹介されていた本で、僕も読みたくなって当時探していたのですが、絶版になっていたようです。しかし、HARD THINGSをきっかけに再度注目されて、復刊したのが本書です。(本書の序文もベン・ホロヴィッツが書いてます。)

 

管理職に必要な考え方と作業を深く理解したい人におすすめ

インテルの例が出てくるものの、汎用的にいろんな業種や組織において、ミドルマネジメントに求められる考え方やアプローチについて語っているのが特徴で、正直そこまで深く期待せず読みました。しかし、内容は本質的なエッセンスと非常に具体的な内容が満載で、読んでいて新しい視点がたくさんありました。アンディ・グローブがここまで細かく組織マネジメントについて書いていると思いませんでした。結構びっくりです。

例えば、最初は朝食工事という例えから始まります。朝食を作る工場の生産をどう捉えるか。アンディローブはこう書いています。

この仕事には、実は生産に関する基本的要件が含まれている。その要件とは、顧客の要求に応じて、あらかじめ決められた〝一定の〟時間に、客に、納得してもらえる品質水準の製品を、できるだけ〝安い〟コストで、つくり上げて提供するということである。生産の基本原理や約束事とは、顧客が要求するものならなんでも、要求するときはいつでも、すぐに提供するということではない。

こんな感じで、具体例を交えながら、端的かつ本質を突いた表現がどんどん出てきます。

 

対象範囲の広さも魅力的

経営者が書いたビジネス書だと、経験談が中心だったり、領域が偏っていたりしますが、本書は違います。

目次を見てもらえばわかるのですが、対象範囲も広いです。ミーティングの仕方、上司へのレポートの書き方、組織形態のあり方、人事考課の伝え方など、管理者が考えるべき、担うべき業務が広くカバーされています。

HIGH OUTPUT MANAGEMENT(ハイアウトプット マネジメント) 人を育て、成果を最大にするマネジメント | アンドリュー・S・グローブ, ベン・ホロウィッツ, 小林 薫 |本 | 通販 | Amazon

レポーティングがどういう観点で重要なのか、というのも示唆が含みまくりです。

だが、レポートにはもうひとつまったく別の機能がある。レポートが公式化されて記録されるときに、それを書く人は口頭でいうときよりも、厳密にならざるをえない。レポートの作成者はその説明の中で、トラブル個所を確認し処理せざるをえない。つまり、そういう規律と思考を自らに課さざるをえないところから、レポートの価値が生じてくるのである。レポートは情報を伝える方法というよりは、〝自己規律訓練〟の〝手段〟なのである。レポートを〝書くこと〟は重要だが、読むことは重要でないことが多い。

書くことが重要なのであり、読むことはあまり重要でないとバッサリです。

 

人事考課などは、マネージャーになると深く考えざるをえませんが、具体的な伝え方や人事考課が組織にどういう効果をもたらすのかを教えてくれる機会は少ないように思います。この本では人事考課の目的や会社への影響、本人への伝え方など詳細に書いてあるので、実践的で明日からでも取り入れることができるレベルです。こんな本は今まで読んだことがありません。

 

あるいは組織の形を述べる箇所では、組織にベストな解はないと書いています。この箇所の表現が、個人的にはとても好きです。

アルフレッド・スローンは、数十年間のゼネラルモーターズ社での経験を、こう語っている。「経営管理の成否は、集権化と分権化との調和にかかっている」と。つまり、即応性とテコ作用の最善の組合わせを求めてバランスを取る行為がカギだともいえる。

 

チームリーダーなど管理職を始めたばかりの人や、なかなか組織のパフォーマンスが上がらないと悩んでる方は、ぜひこれを読むとよいでしょう。逆にあまり組織管理に携わってない人、若手人材等はまだ読んでもあまりピンとこない部分が多いかもしれません。

20年も前の本なのに、なぜ話題になっているのかよく理解できました。経営管理の原則というのは、あまり陳腐化しないんだなと再認識した次第です。超おすすめです。

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