【書評】なぜ今ローソンが「とにかく面白い」のか?

ビッグデータ分析、健康志向、他業種侵食。様々なことがダイナミックに行われているのがコンビニ業界です。以前、ファミリーマートがサークルKサンクスを買収すると発表されたときに、こんな記事を書きました。

ファミリーマートとユニーが合併。今後のコンビニ業界は楽しくなるはず

記事のポイントとしては、次の2点になります。

  • 日本におけるコンビニは飽和している
  • 総合スーパーが小売のフォーマットとして苦戦している

今後、コンビニがどういう方向に向かうのかをその後も考えていたのですが、この本を読んで、さらに「ああ、コンビニって今後もすごいことになるかも」と思いました。

 

コンビニは消費トレンドの先端

ローソンが取り組んでいる流れというのは、まさに消費トレンドの先端だと思っています。だから、コンビニというビジネスモデルはずっと成長してきているし、他業種にも侵食しているのです。

 

健康志向

どんどん世の中全体が健康志向になっていますよね。コーラはずいぶん前からダイエットコーラを発売していますし、インスタントコーヒーでもカフェラテのノンシュガーとか増えてますよね。

だが、明らかに健康志向、減塩志向には向かっているという。 「実際、日本人がお醤油をあまり使わなくなってきているんです。お醤油の消費量は、大きく下がっています。これは、醤油メーカーさんも認識されています。そのかわり、麺つゆのようなおつゆが売れています。

 

野菜などの生鮮食品を取り扱ったり、ローソンだと低糖質・低カロリーのブランパンを発売したりと、健康志向に対応した商品がどんどん登場してきています。今後もそれは続くでしょうし、消費者がそれを望む限り、コンビニは適応した新商品がどんどん増えていくでしょう。

 

ローカライズ化

以前からあるもう一つの流れが、ローカライズ化です。地域の名産や、あまり知られていない食品をフォーカスしたメニューを投入することが増えています。

もうひとつ、ローソンらしい商品としてご紹介しておきたいのが、地域の名産品や食材を使ったシリーズだ。 「ローソンはもう何十年も前から、各地域に商品部を置いて、商品開発をしています。全国発売する商品の他に、地域限定商品も開発しています。ここからつながりが広がって、多くの自治体と包括協定を結んでいます」 その結果として生まれたアイディアが、地産地消、地産外消の商品だった。例えば、すべて国産食材で作ったお弁当。「郷土のうまい!」のお弁当シリーズ。『桜島どりのごっそ弁当』『紀州ええ塩梅ごっつぉさん弁当』などが人気を博した。

 

これまではトレンドの発信拠点として全国チェーンが画一的な品揃えをしてきましたが、ニーズが多様化し、コンビニ市場が成熟期を迎える中で、地域ごとのニーズをきめ細かく拾うこと、そして、地域の眠った資源を全国展開することの両面から、ローカライズ化が進められてきました。

そのためには、より一層商品開発やマーケティングの力が必要になります。コンビニという巨大組織だからこそ、ローカライズ化と全国チェーン展開を両立できるのだろうと思います。

 

プラットフォーム化

ローソンは、「介護ローソン」という介護事業者がフランチャイズオーナーを務める店舗が埼玉県にあります。

「介護ローソン1号店」を見学してきた:介護:日経デジタルヘルス

 

これは、介護相談窓口が併設されているのですが、コンビニの中にそれを設ける理由が、本書の中でこう示されています。

「介護事業者さんによっては、オフィスビルの二階や三階に事務所を持っているところもあるようです。しかし、そうなると、オフィス街に、わざわざ介護の相談に出向かないといけないわけですね。もしローソンで相談できるなら、日常的な買い物の中でつながることができる。コミュニケーションの場をたくさん作れるということです」

つまり、日常的に通う場所であり、コミュニケーションしやすいところとして、コンビニが使われているわけです。これは、コンビニがあらゆる物事の拠点であり、プラットフォームとして、今後もいろんな事業を飲み込んでいく可能性があることを示しています。

 

ローソンチケットも、すごい拡大してるんですよね。

もうひとつ、グループ戦略として注目したいのは、すでにローソンチケットがプレイガイドでトップクラスになっているなど、エンターテインメントの事業が広がりを見せていることだ。 「ご近所のお店にとって、大きな武器となります。エンタメのサービスが充実しているということは、差別化につながりブランドとしても強くなります。この分野をM&Aでさらに強化していくことも重要になってくると考えています」

 

ローソンは、セブンに遅れながら銀行業務に参入するというニュースが流れていましたし、コンビニ自体は今後も町のプラットフォームとして、拡大していくのでしょう。どういう分野を飲み込んでいくかが、注目ですね。

コンビニエンスストア2位のローソンは銀行業に参入する方針を固めた。 金融庁から銀行免許を取得した上で、2016年夏にも三菱東京UFJ銀行と共同出資し、新銀行を設立する方向だ。コンビニ業界首位のセブン―イレブン・ジャパンを中心に運営するセブン銀行や、流通大手イオンが展開するイオン銀行を追撃する。

ローソン、銀行業参入へ…三菱UFJと共同で (読売新聞) – Yahoo!ニュース

 

 

ということで、コンビニは今後もしばらく革新的なビジネスモデルとして、小売やそれ以外も業種を席巻し続けていくでしょう。面白いですね。