日経BP社
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情報は第4の経営資源と言われており、どの組織でも情報を集約・共有するナレッジマネジメントが叫ばれている。で、いざ実際組織でどういう風にナレッジマネジメントを導入すれば良いか、と考え、参考にならないかと読んでみた。
読んでみて、やはりリクルートっぽいというか。あまりテクニックというものではなく、ナレッジマネジメントを構築するまでの組織の葛藤などが中心い描かれているので、具体的なノウハウなどを期待する人は読まない方が良いと思う。
いくつか参考になったことをメモ。
現場の求める情報を提供するためには
知識というのは不思議なもので、漠然とした日々の生活では、気づかず通り過ぎることがたくさんある。「こういう情報が欲しかったんだ」「こういう点が困っているんだ」というのも、「さあ、何かあるでしょう?出してください」では、出てこないものだ。
リクルートでは、業務内容を熟知した人間が、集めた情報を加工し、提供する形式をとる。そうでないと、現場が求めている情報を、求めている形で提供できない、という結論になるからだ。そういう意味で、ナレッジマネジメントというのは、現場の働き方などを正確に把握する必要がある。そういう人間がナレッジマネジメントの担当になることで、現場にフィットした仕組みができあがるのだろう。
集めた知識は再度組織に浸透することを考える
ナレッジマネジメントは、よく「暗黙知」を「形式知」にして、それをグループウェアなどのツールで共有できるようにする、というイメージがあるが、それだけでは不十分。具体化した知識は、もう一度組織の中に浸透するような仕組みがなければならない。
本の中では、次の4つのステップをループして回すと言っていた。
共同化(暗黙知) → 表出化(現場)
↑ ↓
内面化(セミナー) ← 統合化(形式知)
現場で出てきた知識や課題は、集約され、ポータルなどのツールで統合・整理される。
その後、整理・体系化された知識を基にセミナーなどを開催し、それをさらに現場に浸透させる。
リクルートでは、この4つのステップが、社内の仕組みとして構築されていた。実際のナレッジ・マネジメントでは、せいぜいが形式知化するまでじゃないかと推測する。肝心なのは、後半の「内面化」「共同化」なのだろう。このステップを、どういう組織の仕組みで創り上げていくかは、大きなポイントになると思われる。
普遍的なナレッジマネジメントはない
本の中では度々、組織の目的や活動内容によって、最適なナレッジマネジメントの内容は異なると書いてあった。最後のあたりに書いてあったのだが、リクルートは営業を行う組織だから、リスクに対する感度が低いのだそうだ。まあ、言われてみれば確かに。
一方で、自分が属するIT業界などは、失敗すると自分たちも吹き飛ぶが、お客さんにも増大な損失を被らせることになる。つまり、リスクヘッジするための管理色の濃いナレッジが求められるはずだ。そういう自分たちの組織の特色や、求める知識、業務分析などを基に、ナレッジマネジメントの仕組みを構築することが肝要なんだと思う。
リクルートの勢いみたいなのが感じられる一冊。あまりテクニックとかはないけど、組織としてどう立ち上げていくか、という空気感を知る意味では良いかも。