会社に自分の人生を預ける恐怖
クックパッドの社長佐野さんは、就職するときに、自分の人生というか金銭的バックアップを両親に依存していることに気づく。そして、どこかの企業に就職することが、自分の人生を会社に預けることになる、ということに恐怖を感じた、という言う。それが起業に踏み切る一因になったというのだ。
いずれは、自分も今の会社を離れると思うと、こういう考え方は、背中を押してもらえる。そう。自分の人生は自分でコントロールするべきだ。
説明が不要なまでに追求した「分かりやすさ」
社長佐野さんの顧客思考が徹底している。600万人というユーザに利用されていることははったりでもはりぼででもない。「料理を楽しむ」ことを助けることが目的、という分かりやすいビジョンを定め、そのビジョンに従いながら、試行錯誤して今のサイトを築いてきたことが、この本を読むことでよくわかる。
サイト構成やユーザのレシピの見やすさ、レシピのアップ方法の全てが、ユーザが直感的に理解でき、楽しめるよう工夫されているらしい。また、サイトのレスポンスも非常にこだわっており、実際に表示してみたが、実際に速い!これぐらいスピードがあれば、ストレスは感じないだろう。
説明を要している時点では、提供する側のエゴが入っているのかもしれない、というのも名言。説明不要なまでにシンプルに、分かりやすく、を追求する。
自分は、どこまでわかりやすく、相手に伝えているだろう。システムを提供するときも、それを追求することが、顧客の満足につながるのだ。
やることにはちゃんと意味づけをする
この間「決断力はなぜ鈍るのか」で、ビジョンの重要性について書いたが、やはり重要なのだと、この本を読んで改めて考えさせられた。この本では結構あっさり書かれているが、クックパッドは、ユーザが料理を楽しむことを目的として事業を行っており、それを追求してきたことで、今の状況があるように思える。
つい最近、小宮一慶さんの「一流になる力 ビジネスで勝ち残るための教科書」を読んだが、そこでも「経営者はビジョンを持たなければならない」ことを強く言っていた。だから、なんかやたら最近そういうことを考える機会が多い。
「で、その目的って何?」とか、やることの意味、意義みたいなことを、ひとつひとつ追求していかないと、組織は惰性で動いて、「過去のやったから」「他もやってるから」「何となく必要かなって」みたいな発言が平気で出てきたりする。それを戒めるためにも、ちゃんと意味づけしないといけない。
クックパッドは、何事に対しても、そういう姿勢を貫いているのだろう。意味づけをすることで、方向性がぶれず、着実に進めるのだ。過去に自分の上司が、「Why?は結構考える人が多いけど、So what?も同じぐらい重要で、これができてる人が少ない」と言っていたのを思い出した。
というわけで、自分は料理をしないけれど、クックパッドは素敵なサービスだろうし、その経営マインドを好きになりました。