広報担当者が様々なコミュニケーションツールを使いこなせなければいけない理由

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現在「USERS」という本を読んでいるのですが、これを読んで、コミュニケーションの在り方というものがまた大きく変わっているんだなーと思いました。この記事では、いかに変化していて、企業はどういう対応が必要かという点を考えたいと思います。

コミュニケーションツールの発展

コミュニケーションという観点でいえば、昔は伝令などを通じた手紙から始まり、1876年に電話が開発されました。その後、IT革命が起こってメールがコミュニケーションの主要な手段になりました。

IT革命では、音声も含めて全ての情報はIT機器上のアプリケーションとして取り扱われることになりました。これによって、コミュニケーションツールは機器などの物理的な制約から解放されて、多様化していきます。メール以外にもチャットやSNSなど、新しいコミュニケーションの形が登場し、普及していきました。

 

Facebookの存在

SNSでみると、勃興期にはいくつかのSNSが注目されては消えていきました。世界的に広く普及したのは後発組のFacebookでした。Facebookは、ユーザーが書き込みや写真のアップロードなどを行いやすく、かつ友人の状況を効果的に確認できるものとして、汎用的なコミュニケーションツールの存在を獲得していきます。進化の過程で、メッセージ機能やタイムラインなど様々なコミュニケーション方法を吸収・統合していきました。

ちなみに、Facebookは2004年にサービスが開始され、2013年8月時点のFacebookのアクティブユーザー数は、全世界で11.1億人、日本では2200万人です。

ニュース – アジア各国のFacebook推定ユーザー数を発表、日本は2000万人を突破し5位:ITpro

Facebookは、劇的に人々のコミュニケーションコストを低下させた、という意味で非常に大きな存在だと思います。

 

新しいコミュニケーションの台頭

Facebookの普及から後を追うように、日本では2011年にLINEが登場しました。そして、日本をはじめアジアで急速に拡大しています。つい最近登録ユーザーが3億人を超えました。

【LINE】LINE、登録ユーザー数が世界3億人を突破

LINEの普及には目を見張るものがあります。Facebookとの関係にも興味がありますが、共存できるものなのでしょうか。

最近、元TechWave編集長・湯川鶴章氏のメルマガで、興味深い考察を読みました。一部引用させていただくと、

もし本当に10代のFacebook離れが進んでいるのであれば、世界の10代は今、どのようなサービスを利用し始めたのだろうか。globalwebindexによると、1-3月期から7-9月期までで中国を除く世界各地で最も10代のアクティブユーザーが増えたのはWeChatだった。同期間中に1021%も伸びている。中国以外の地域のユーザーに対する質問にもかかわらず、中国のメッセージングアプリWeChatが伸びていることろが興味深い。 あとは、Twitter社の写真アプリVineが639%の伸び、Flickr、Skype、Facebookメッセンジャーなどのモバイルアプリもユーザー数を伸ばしている。

ついに若者がFacebook離れ?時代が再び動き始めたか – 湯川鶴章メルマガ ITの次に見える未来 – BLOGOS(ブロゴス)メルマガ

というように、様々なコミュニケーションに関するサービスが登場してきています。全てがFacebookに置き換わるもの、というわけではありませんが、Facebookという巨大で汎用的な存在以外にも、コミュニケーションに多様性が生まれ続けているということです。

 

企業と顧客のコミュニケーションの変化

これまで、企業と顧客(あるいは顧客見込み)とのコミュニケーションは、広告などほとんどが一方的でした。しかし、上記でみてきたように、IT革命によって様々なコミュニケーション方法が生まれ、そして広く普及してきています。企業からみれば、これらの手段を駆使して、もっと顧客とコミュニケーションをとりたいと思うでしょうし、ユーザー側も便利なツールによって企業に言うことを聞いて欲しいとか、企業から効果的に情報を引き出したいと思うようになっています。

企業によるFacebookページなどが流行っているのは、そういう流れから来ているんですね。ただ、うまく運用できるとは限りませんが。

 

これからの企業と顧客のコミュニケーションの在り方

「USERS」のメインテーマでもありますが、顧客だけでなく、その周辺にいる「ユーザー」とコミュニケーションを円滑にとることが必要になってきています。

「USERS」で書かれているのは、「デジタル・コア」という考え方です。これは、コミュニケーションプラットフォームを社内に構築することで、例えば社員がユーザーとコミュニケーションを簡単に取れるようにするためのものです。企業のFacebookページのように、企業と一般ユーザーと広くコミュニケーションできるものが該当します。

そして、今も昔も変わらない原始的なルールとして「顧客の問題を解決する」という点が重要です。つまり、ユーザーは問題を抱えていて、新しいコミュニケーション方法によって企業に解決を求めてきます。それを、情報提供やユーザーの手間削減など、いくつかのアプローチから、ユーザーの問題を解決する必要がある、ということです。

 

まとめ

  • コミュニケーションコストは一層低下しているし、コミュニケーション方法は多様化している
  • ユーザーは新しく登場するコミュニケーションツールを使いこなしている
  • 企業は、ユーザーが利用しているコミュニケーション方法を駆使して、ユーザーの問題を解決する必要がある
  • 企業は、複数のコミュニケーションツールを統合して、統一したコミュニケーションを行う必要がある

今であれば、学生にアプローチしたければLINEは必須でしょうし、少し年齢が高ければFacebook、Twitterなど、いろんなツールに合わせてコミュニケーションを図ったり、ブログなどで積極的にユーザーが役立つ情報を提供することが重要です。

 

書いてみると至極当たり前な結論になってしまいました。ただ、こういうツールが流行るばかりで、企業はうまく使いこなせていないと言われています。その理由は結構シンプルだと思っていて、「ユーザーの問題を解決していない」からだと思います。なので、こういう話になるんじゃないか、と。

発信するのがソーシャルと思ってるダメダメ運用が多すぎる | More Access! More Fun!

想定したユーザーがいないのであれば、無理して流行りのサービスを使う必要もないと思うんですが。

いくつかのアプローチと事例が「USERS」には書いてありますので、興味があればぜひ手に取って読んでみてください。