FixMyStreetに必要なのはサービス運営の設計

FixMyStreet Japan – 地域の問題を共有する
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FixMyStreetがちょっとした話題になっている。まず、FixMyStreetについての説明はこの記事に詳しい。
FixMyStreetを使ってみよう! | Open Knowledge Foundation Japan

道路の状況など、市民の生活に関する情報が可視化され、共有されることは良いと思う。新しい気づきや対応が生まれてくるんだろうと期待したい。

それと同時に、このサービスが有効に使われるためには、使う側のサービス運営の設計が重要だと感じた。

 

サービスプロセスをどう設計するか

上記の記事でも書いている通り、市民側からすると「このサイトにアップして報告すれば行政が対応してくれる」という過剰なエスカレートと、行政側では「苦情処理」が増えるというネガティブ情報の可視化につながり、全体最適に向かって運営するには結構高度なスキルが求められる。

情報を可視化するための簡易なプラットフォームが構築されることは良いとは思うけれど、こういう類のサービスを運営するのは結構高度な運用スキル(端的にいえば、どうやって苦情を裁くのかというプロセスの部分)が必要になり、それに失敗すると、住民側・行政側双方が不満・不信をため込む結果になるんじゃなかろうか、という余計な心配を考えてしまったりする。

 

利用するための目的とプロセスを誰が決めるのか

そういうプロセス設計を行えれば良いのだけれど、じゃあそのプロセスを誰が決めることができるのか、というとサービス主体は札幌のダッピスタジオという会社が運営しているので、簡単に修正することができないし、行政側と住民側の誰と誰が交渉すれば納得のいくプロセスづくりができるのか、というのは難しい気がするわけですよ。

また、まったく関係ない画像や文章がアップされた場合やプライバシーに抵触する可能性がある場合に、それを誰が排除するのか、アップされた情報はどういう取扱いが合法的なのか(著作権はどこにあるのか)など主体がはっきりしないことで宙に浮いてしまう問題は多々あると思われる。

そういう点を考慮すると、千葉市が試しに使ったみたいに、イベントの際に、人数を限定的にした状態で利用することは、目的が明確であり、コントロールしやすいので良い使い方だと思う。

 

これらはオープンガバメント共通の課題

プロセス設計が重要になることや、ステークホルダー間の調整によって主体を決めておくことは、オープンガバメント共通の課題ともいえる。そのサービスを提供することで何が生まれるのか、誰が調整・コントロールしていくのか、というのは自然に任せていて勝手に決まるものではないし、誰かが実施していくことになる。それを行政が担うのであれば、それは人件費やサービス運営費としてコスト増にもつながる可能性がある。

もうひとつは、ITリテラシーやインセンティブという面で、登録件数がどこまで伸びるんだろう、ということも気になる。これはプロセス設計と強い関係がある。サービス利用に必然性があれば、ITリテラシーやインセンティブの面は解消できる可能性が高い。しかし、それが弱いと「わざわざIT使わなくても役所に電話すればいいか」ということになる。

 

すでに長く運用されている英国では、週間で2500件ぐらいの報告があり、月間で5500件ぐらいの対応があったとなっている。これだけみると、比較的使われているのだろう。そういう可能性を秘めたサービスではあるので、今後こういうサービスがどう発展していくのかは興味深い。