「売れない時代」の新・集客戦略

この本では、サービス業における販売マーケティングに関して大きく3つのフェーズに分けており、マスマーケティングを中心とした新規顧客獲得、CRMなどダイレクトマーケティングを中心としたリピート顧客獲得、そして顧客が減少する状況の中でどうやって経営していくのか、というテーマで書かれており、これまでのリピート顧客重視から発送を変える必要があることをうたっている。

具体的には、顧客のモチベーションを捉え、それに応じたサービス提供を行っていくことと、サービス業の問題である「業務量の平準化」を行うことで、売上が減ったとしてもコストを低下させ、利益を創出していくことを目指している。

 

リピート顧客の獲得は、理論的には正しいが実践するのは難しい

確かに、リピート顧客を獲得して新規獲得コストを下げ、利益率を向上させていくことは理論的に正しいのだけれど、実際にやろうとすると2つの問題がある。 ひとつは、顧客情報を取得するのが大変、ということ。小売りだとふらっと店に入って来た人の情報は捕捉することはできないし、取得しようと思うとポイントカード発行して割引する代わりに取得する、というのは今の大手企業がやっていること。

もうひとつは、必ずしも顧客が段階的に満足し、リピート客になるわけではない、ということ。それは、個人の事情によってサービスを利用する目的は異なるので、顧客の動機次第で変わる。

 

では、どうやって売っていけば良いのかといえば、「顧客の目的を明確化して、それに合致したサービスを提供する」という、ある意味マーケティング論でいうところの至極まっとうな回答になる。

 

事業を「サービス化」する

商品を売るのだとしても、商品そのものの価値は下がり続けている。なので、中小企業がこれで勝負しようとすると勝つのが難しい。なので、商品の周辺にある「不満」を解消するようなサービスを提供することで、高付加価値化を行うことが、「サービス化」のヒントになる。

本書の中で出てくるし、それなりに有名な「でんかのヤマグチ」もそう。家電量販店に押された地域の電気屋さんだけど、価格競争は行わずに、ターゲットを地元の優良顧客に絞り直して、配送から電球1個の交換まで行うようにした。これで付加価値分高い価格を維持できるので、顧客数は減ったものの、利益率は向上した。こうして、商品の周辺にあるニーズを掘り起こして、商品に付随する形で「サービス化」している。

どんな業態であっても、商品そのものだけで勝負していると、価格勝負で負けてしまう。その周辺にあるニーズをどうサービスとして取り込んでいくかが重要だ。

そういう意味では、家電量販店がAmazonなどのネットに押されてしまっているのも、ほとんど価格勝負になっているからだろう。感情面で「実店舗をショーケース代わりにしやがって」とかあるかもしれないけど、顧客側からすると「そういう事情じゃなくて、同じ商品でサービスも変わらなければ、安い方から買うよね」ということだからなあ。

 

サービス化した後に必要なのは平準化

サービスというのは、要は商品在庫のようにストックできないので、供給コントロールが難しい。そこで必要になるのが平準化だ。言葉で言うのは簡単だけど、とりあえずアプローチとしては需要側をコントロールする。平日半額とか夜間割引とか、そういう価格調整によって顧客の流れをコントロールする必要がある。

 

そして、この本では顧客のモチベーションに注目して、目的を多様化することで顧客ニーズを分散させる考えを示している。正直、実例の部分ではインパクトに欠ける印象だが、考えとしては賛同する。

 

この本に書かれていることが、今後の集客戦略のスタンダードになるのかはさておき、リピート顧客を狙えっていう端的なメッセージから脱却する上では、重要なひとつの観点を提示していると思う。特に、顧客管理を十分にする余力がない中小企業には有益だろうと思う。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です