ウェブで政治を動かす!

ウェブによって政局ではなく政策で選ぶ政治へ。それがこの本のテーマになっている。単なるTwitterとかFacebook使おうぜって話じゃなくて、ウェブメディアと既存メディアの対比や、ネットと選挙の関係など、ウェブと政治との関係を多角的に整理されている。

 

メディアとしてのウェブの役割は既存メディアと違う方向にある

読んでいてなるほどと思ったのは、既存メディアとウェブは情報を発信するとしても違う特徴を持っているということ。例えば、Wikileaksのジュリアン・アサンジのコメントが紹介されている部分。

注目すべきは、アサンジが定義した多メディア時代におけるソーシャルメディアの3つの役割だ。
1つめは、プロがつくった記事について、多様な視点を提供する役割。2つめは、埋もれているものを拡散して社会的問題にできる、拡声器としての役割。3つめが、プロの記者が取材する、調査するときのネタ元、情報源としての役割。

これを読むと、テレビなどのマスメディアと位置づけが異なる要素を含んでいるのがわかる。あるいは、考えてみれば当然のような「情報の正確さと速さはトレードオフの関係にある」ことを示している。

ツイッターのようなリアルタイムの媒体においては、情報の速度を重視するか、それともその信憑性を重視するかというトレードオフを常に抱えざるを得ないのである。

既存のマスメディアだって重要なのは間違いない。震災でも一番いろんな人にリーチして、確かな情報を発信したのはテレビでありラジオだったのだから。ただ、ウェブを政治など第4の権力として組み入れていくためには、その特性を理解して、使いこなす必要があるのだろう。

 

変わらなければいけないのは誰か

まあ、紹介だけ。

そのためには「失言」をありがたがるメディアの意識も変わらなければならない。議員の「失言」ばかりメディアで注目されるような政治状況が変わらないようなら、「ウェブで政治を動かす」ということは夢のまた夢で終わるだろう。

選挙への向き合い方に関しても日本人は、「自ら政治に働きかけたい」という意思よりも、そこに問題が生じて、「政治家にお灸を据えるために」投票する傾向があるという。

とりあえず、面白かったです。この本。すらすら読めたし。

あと、「You Choose」というサイトが紹介されていて、これを実際触ってみて感動した。こういう発想こそがウェブの力のひとつだと思うな。施策と予算が並んでいて、どれかを実施すると予算が増えて、何かを見直すと予算が減る、ということが視覚的に、わかりやすく検証できる。

普通の人が行政データを元に政策の対案を作って公開するインターネットサービス「You Choose」: ITジャーナリスト星暁雄の”情報論”ノート

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You Choose – Home
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アメリカやイギリスでは、公共機関でもベンチャーの仕組みやサービスを取り入れる事例が存在するけど、日本はどうなんだろうか。

 

というわけで、このあたりに興味がある人は一読して損はないんじゃないかと。

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