FC岐阜が経営ピンチなんだそうです。運転資金が1億円不足しているとか。
県庁であった意見交換会で、FC岐阜の今西和男社長は、毎月2000万円の赤字で今季の運転資金は約1億円不足すると説明。7月にも手元資金が不足する可能性に触れ、「こういう事態を招いたのは私の不徳の致すところ」と陳謝し、資金支援を求めた。
FC岐阜に経営改善要求 県と財界、存続支援で一致 - 岐阜新聞 Web
FC岐阜は、県内の市町村が出資している珍しいチーム。
県内全市町村が出資するチームは他に例がないといい、経済界は存続に力を貸すことを決断した。会合後、県商工会議所連合会の堀江博海会長(十六銀行頭取)は「問題点はある程度把握できた。今後、官民一体となって対応する」と表明。会合でも勝利の重要性を説いた田口義嘉壽県体育協会会長(セイノーホールディングス会長)は取材に「県全体のチームであることをより印象付けることも必要」とし、「これまでを白紙とするつもりで再建しなければならない」と強調した。
県と財界「再建へ覚悟示して」 FC岐阜に注文突き付け - 岐阜新聞 Web
なんで切羽詰まっているかと言えば、クラブライセンス制度が始まるから。2014年12月までに債務超過を解消する必要があることになっている。これはドイツサッカー協会から始まった、クラブの経営基盤をチェックするための基準。これのA基準に債務超過に関する規定があり、債務超過になっているとA基準を満たせない=Jリーグのクラブチームとして認められない、という事態になる。
Jリーグクラブライセンス制度 – Wikipedia Jリーグクラブライセンス制度 – Wikipedia |
さて、Jリーグのクラブ経営の状況はちゃんと公開されているのでちょっと確認してみる。
www.j-league.or.jp/aboutj/document/jclub/2010-11/pdf/club2011.pdf www.j-league.or.jp/aboutj/document/jclub/2010-11/pdf/club2011.pdf |
J2の営業収入をグラフ化したのが以下。2010年の成績だけど。トップ2チームが抜き出ている。
営業利益をみると、半分ぐらいは赤字です。まあ、これはJ1でも変わらないんだけど。
クラブチームの収益構造をみてみると、観客収入の比率はあまり多くないんだよね。4分の1とか。どちらかというと、広告収入とその他として移籍金なんかが多い傾向にある。ただ、これらの収入もサポーターなどから注目を集めているチームが広告スポンサーの獲得や有望な選手の獲得につながるので、やはり一番ベーシックなところとしてどうやったら観客が増えるか、ということを考えるのだろう。セレッソはそのアプローチでいまの勢いを取り戻したらしいし、若くて有望な選手を多く輩出する好循環を生み出している。
一時期経営的に成功した大分トリニータは、地元外に広告スポンサーを求めたことで、チームが勝っているときは良かったが、負け始めるとすぐにスポンサーに撤退されたりして、経営が急降下した。やはりこういうスポーツチームでは、地元でお金が還流する仕組みにしないと、長い間成立させるのは難しい。
海外市場からすればまだ日本人の価格は低いけど、秋冬制を導入が検討されたりして、少しずつ海外移籍へのハードルが低くなれば、Jリーグ全体の価値も認められて、移籍金やらでクラブへの資金還流も起こりやすくなるのかもなあ。
中日スポーツ:2015年に秋春制へ完全移行案 J1&J2合同実行委で提示:サッカー(CHUNICHI Web)
今の経営状態を見る限り、Jリーグ全体としてクラブ経営は結構難しい状況だってことでして。とりあえず、FC岐阜には頑張ってもらいたいものです。