静岡県富士市にある起業支援の本。こういう人が一人でも増えれば、きっと地域経済は楽しくなるんだろうな。
本の中では、いくつも中小企業の例が出てくる。これらの事例について、自分だったらどうコンサルするか想像しながら読むと面白い。
足らないのは技術力ではなくマーケティング力
相談者の話をよくよく聞いてみると、思うようにいっていない原因はたいてい共通している。それは、この山喜旅館のように、自分の「売り」を的確に掴めていないため、どこに付加価値をつけて消費者にアピールすればいいか、コンセプトが定まっていないことにある。P.86
これを読んで思うのは、他にはない技術があるのに、自分たちの強みや差別化要因がわからず、売上が伸び悩む中小企業がたくさんいるということ。中小企業には「差別化の要因」を明確にして、それをパッケージとして売り出すマーケティング能力が一番求められているんだろう。
別の表現として、以下のような記述もある。
いま、新しいビジネスを生み出す、あるいは地域を活性化するためにとても重要なのは、人と人を結びつけることである。つまり、支援対象者の真のニーズをしっかりとくみとったうえで、問題解決につながったり、新たな可能性を拡げたりすることのできる最適な人材や機関を見出し、相談者と「つなげる」こと。この、コーディネートの技量が大変重要なのだ。P.126
地方では公的機関や金融機関が中小企業に対して経営支援を行うのだろうけど、それだけでは拾えないところがたくさんあるんだろうな。企業の強みや特徴を的確に捉え、マーケティングにつなげていく。そういう機能が必要とされてるんだな。
あと、国や地方で企業支援制度が設けられているけど、これはこれで活用が難しいと思うんだよね。診断士で勉強したけど、種類がたくさんあるし、それに応じた条件もそれぞれあるし、中小企業がそれを自分で調べたりして活用するのはとても難しい。そのために中小診断士がいるのかもしれないけど、お金かかるしね。
直接支援することも必要だけど、こういう人材や機関をどうやって作るかを考えるのも良いアプローチかもしれない。こんなロールモデルが少ないよね。きっと。