MSはなぜ無償でWindowsを提供するのか

マイクロソフトが、9インチより小さいのデバイスに対して、Windows OSを無償で提供すると発表しました。

マイクロソフト捨て身の反撃 ウィンドウズ一部無償化  :日本経済新聞

また、つい先日はOffice for iPadが無償で提供されましたしね。MSの中で急速に方針転換が図られている印象があります。

MS、「Office for iPad」発表~「Office Mobile」の個人利用は無料に -INTERNET Watch

今日は、マイクロソフトがなぜWindowsやOfficeを無償化するのか。マイクロソフトの置かれている環境や微ビジネスモデルから考えてみたいと思います。

 

世界的にPCからスマートフォン・タブレットへシフト

PCは出荷台数が年々減少しており、2015年にはタブレットに抜かれると予想されています。スマーフォンもどんどん普及しており、台数でいえばPCの比じゃありません。

タブレット年間出荷台数、2015年までにPCを上回る–IDCが予測 – CNET Japan

つまり、世界的にインターネットへの接続機器はPCからスマートフォン・タブレットへ移行しています。その中で、マイクロソフトはAppleやGoogleに出遅れる形になりました。Windowsの落ち込み振りは、このグラフをみれば一目瞭然です。

Microsoft’s Biggest Problem In One Chart – Business Insider

 

ソフトウェア・ライセンスで稼ぐビジネスモデルの弱体化

マイクロソフトの収益構造は、ソフトウェア・ライセンスがメインです。WindowsやOfficeですね。特にビジネス向けが強いです。これが、スマートフォン・タブレットへの移行に伴い、他社からビジネスモデルを弱体化させられています。

Appleはハード・ソフトを完全に垂直統合することで、OSの無料アップデートなどを提供しても利益が出る構造になっています。GoogleはAndroid OSから検索などで生み出される広告収益が基盤になっています。3社の収益構造を比較した記事をみると、そのあたりが顕著に表れていて面白いです。

ハイテク業界を支配するアップル、グーグル、マイクロソフト–収益源で見る各社の違い – ZDNet Japan

つまり、Apple、GoogleともOSを無償にしても懐が傷みにくい構造になっているんですね。そこがマイクロソフトの弱点として表れています。

 

今後どうなるか

マイクロソフトのWordやExcelなどのOffice製品の強みはまだ継続されています。ただ、このあたりもAppleはiWorkを無償で提供したり、GoogleもDocsサービスなどを強化しており、せっせと囲い込みを各者画策している状況です。AppleのプラットフォームであるOffice for iPadが無償で提供されたのも、そういう流れを受けての判断だと思います。

マイクロソフトとしては、PCにおけるOffice製品の強み(ライセンス収入)をいかに確保しつつ、それ以外の囲い込みを防ぐかが当面のポイントじゃないでしょうか。

それ以外にも、Bingのシェア拡大などを狙っているようですが、このあたりは正直未知数かな、と。

ASCII.jp:米マイクロソフトのBingはグーグルの脅威となるか

 

一般ユーザーとしては、Windowsを搭載した格安のタブレットなどが発売されて、入手しやすくなるでしょう。ビジネス向けでは、Officeとの親和性を重視して、Windows搭載のスマートフォンやタブレットが勢いを増すかもしれません。

また、iPhoneやAndroidなど、いろんなプラットフォームでOfficeが利用しやすい状況が出来ていきます。AppleやGoogleも頑張ってはいますが、Officeに関してはまだ盤石な状況がしばらく続きそうです。無料でOSを提供しハードウェアは他社が作る、というモデルとしてはAndroidの方とぶつかりそうなので、スマートフォンやタブレットの使い勝手で、AndroidとWindowsとどちらが選ばれるかが勝負のポイントになるんじゃないでしょうか。