グローバル展開も進んでおり、最近では売上が200億ドルを超えています。
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様々なイノベーティブな転換を図りながら躍進しているネットフリックスの、人事がどのように運営されているかが示されたのが本書です。
すごい評判になってるな、と思っていましたが、ようやく読めました。結論、評判通りというかすごい刺激的な内容でした。
イノベーションは「人材密度の濃さ」から生まれる
本の内容は、ネットフリックスの創業時から振り返り、文化や人事制度をどのように考え、施策を展開してきたのかが詳細に書かれています。その始まりは、「凡庸なメンバーが増えることでイノベーティブな活動が減る」という経験・考えから来ています。会社が拡大するにつれ、メンバーが増えていく。その中で、人材の質が会社の求めるレベルから少しずつ下がっていく。そうすることで、様々な問題が起こったと書いてあります。
するとふたつのことが起きた。まず会社は迅速にイノベーションを生み出せなくなった。業務の効率は高まったが、クリエイティビティは低下していったのだ。成長するためにはイノベーティブな製品を生み出している会社を買収しなければならなくなった。それによって会社はますます複雑になり、ルールや手続きがますます増えていった。
しかし新しい発想や速く変化することより、プロセスに従うことが得意な人材を選び、そのような職場環境を整えてきたために、変化に適応することができなかった。こういう問題を解消するため、ネットフリックスが純粋に求める人、市場でトップクラスの人を採用・確保することがベースになっているそうです。これは思うのは簡単だけれど、実現するのはとても難しい。それを実現するためのルールや施策が書かれているのも、本書のすごい魅力的なところです。
基本はルールを極力撤廃し、自由と責任を与えるということなのですが、結構驚くようなルールが撤廃されています。「そういうルールがないと、こういう不正が行われたりしませんか?」という想定問答に対して、答えが用意されているのもすごいです。
”自由と責任”というのはよくいわれるけれども、組織のカルチャーや制度としてここまで浸透しているのは、純粋にすごいなと思いました。
フィートバックの重要さ
もうひとつ印象に残ったのは、組織内でのフィードバックがとても重視されていることでした。イノベーティブな活動を支えるひとつとして、様々な意見が適切な方向に取り入れられていくのが、とても重要になるということですね。ここまでは簡単な話なのですが、特筆すべきは「フィードバックというのは受け手にとってネガティブに受け止められて、人間関係や組織の雰囲気を悪くする恐れがある」という問題に、真正面から向き合っていることです。
日本だと顕著である、と書かれていますが、誰かが誰かに意見をする、改善を促すようなコメントをすると、聞いた相手はいやな気持ちになり、空気を悪くする恐れがあります。あるいは、それを見越して意見を言わないようにする、というのも大いにあるでしょう。
昔、360度評価を行っている企業で、部下が気を使って当たり障りのない意見しか出てこなかったり、本質的でない不満などの本音が出すぎたりと、企業が狙った形に制度が浸透せず、廃止してしまったという話を聞いたことがあります。
一方で、多面的で多様な意見を受け入れるというのは、変化しながら生存していくためには有効な手段であったりします。政治における民主主義というのは、独裁より効率が悪いとわかりつつ、今でも使われているのは、ある人や考えに固執することのリスクをヘッジする意味がある、という考えも聞いたことがあります。企業においても、変化を起こしていくためには、様々な意見を適切に取り入れることが重要になるのだと思います。
ネットフリックスでも、自分に否定的ともとれる意見を受け入れることで、企業や個人が成長していくという共通認識を持って、適切なフィードバックを立場にかかわらずお互いに出し合う文化を育てているとのことでした。
ディナーの席で自分の「要改善」の部分を全員の前でさらされるのはどんな気分か、と尋ねると、だいたいこのような回答が返ってくる。恥ずかしさを感じることもあるし、たいていとても居心地が悪い思いをする。だが最終的には、自分のパフォーマンスを大幅に高めるのに役立つ。ネットフリックスの躍進は、こういう人事の取り組みが下支えされているのだと、すごい納得感がありました。上記以外にも様々な施策が、根拠などとともに描かれているので、人事やこういうカルチャー醸成に興味ある方はご一読の価値ありです。