「モビリティと人の未来」という本を読んでいるのですが、その中で電気自動車の普及は、過疎地のガソリンスタンドの減少に伴っても必要になる、という記載がありました。
確かにガソリンスタンドの数は減っている印象があるのですが、実際どの程度かを調べてみました。
ガソリンスタンドの数は大きく減少している
全体の推移
経産省のデータをみると、ガソリンスタンドは確かに減少しています。
平成30年度末揮発油販売業者数及び給油所数を取りまとめました|石油製品の品質確保|資源エネルギー庁
1993年をピークに、この30年で半分近くも減少しており、驚異的な減り具合です。
都道府県別のガソリンスタンドの数
都道府県別でみると、北海道が全国で一番多くなっていて、次が愛知県です。人口と比例しているのではなく、場所によって車の必要性が異なるからだと思われます。
実際、都道府県で車の保有率は異なります。当然ながら、都市部では保有率が低く、郊外に行くほど保有率は高くなっています。
自動車の所有率が高いのは「長野」と「群馬」、圧倒的に低い「東京」 – シニアガイド
これをみると、全体で減っていくトレンドはあるものの、地域によって違いが生まれそうです。
車両の保有台数と関係があるのではないか
ガソリンスタンドの特性から、車の流通されている台数と関係があるのではないかと思ったので、車の保有台数を調べてみることにします。データはこちらを参照しました。
全体の推移
こちらが車両台数の全体推移です。
車両が減っているから、ガソリンスタンドも減っているのかと思って調べてみたら、車は減っていないんですよね。どういうことなんでしょう。
この内訳をみてみると、貨物車両は減っているのですが、個人所有が増えています。さらに詳しくみてみると、個人だと高齢者や女性の免許保有比率が増えており、これらの層の車保有が増えていったことが、全体の車両台数の増加を押し上げているようです。
この数字をみると、車の台数は全体で増えているのに、ガソリンスタンドは減っているという事実が見えてきました。
ガソリンスタンドの経営環境
ガソリンスタンドは、どうやら複合要因で経営体力が弱っているようです。
5年ぶりの倒産増「瀕死」のガソリンスタンドを救う方法とは? – M&A Online
車の低燃費化、法律改正による設備投資の重荷、セルフスタンドの隆盛などですね。つまり、単純な車の台数や人口の影響だけでなく、利益確保が難しくなっていることも、数が減っている要因もありそうですね。もちろん過疎化によって、局所的にニーズが減少してるところもあると思います。
冒頭の「モビリティと人の未来」では、過疎地域ではガソリンスタンドの数が減っていくことで、電気自動車の必要性が増加する、という論点が出ていました。電気自動車に転換していくには、ガソリンスタンドなどの社会インフラの転換が重荷だと思っていましたが、こうやってガソリンスタンドが減少している状況をみると、逆に促進していかないと交通手段がどんどん限定された地域が増えていくのかもしれません。