吉野家が業績苦戦しているようです。今期は赤字予想になっています。
吉野家が「6期ぶりの赤字」に陥る根本理由 | 外食 | 東洋経済オンライン | 経済ニュースの新基準
いくつか苦戦の要因は挙げられていますが、打開先のひとつとして、セルフサービス方式への転換が挙げられています。
吉野家 店舗の4割をセルフ方式に | NHKニュース
セルフサービス方式にするぐらいなら、まずは券売機にすれば?と思うわけですが、それはそれでこだわりというかポリシーがあり、券売機設置はしないようです。
端的にいえば「接客ポイントをちゃんと設ける」「声による注文の方が客の負担が少なくて速い」ということのようですね。
吉野家の利益率は低いのか?
人件費による利益圧迫がひとつの要因になっているわけで、それを解消するためにセルフサービス方式に転換する吉野家。ただ、それは他社も同じ状況が生まれていると思われるのですが、吉野家の利益率は競合他社と比べてどうなっているのでしょうか。
というわけで、松屋フーズ、ゼンショーホールディングスと比べてみました。
前提として、どの企業も複数の事業を手掛けており、単純に損益計算書だけを比べても正確な比較にはならないかもしれませんが、主事業の数値への影響がそれなりに大きいだろうという、本当にざっくりした割り切りのもと、ホールディングス全社で数値を比較しています。
まずは売上高から。これはゼンショーホールディングスが一番多くなっています。
さて、営業利益率をみてみるとこんな感じです。
吉野家HDが一番低いんですよね。なので、一番収益性が低くなっているというのが、昔から吉野家の特徴であるともいえます。松屋フーズは営業利益率高いですね。
では、念のため売上総利益率もみてみます。
こちらだと、吉野家HDは2番目にきます。つまり、原価は吉野家の方が低いのに、販管費の割合が高くて営業利益率が低くなっているということですね。
吉野家の営業利益率が低くなる理由
もう少し詳細を見るために、人件費関係の指標を確認してみました。
まず売上高販管費比率をみると、ゼンショーが非常に販管費を抑制しているのがわかります。松屋フーズと吉野家は売上高に対する人件費の割合がほぼ同じ程度ですが、正社員給与の比率が吉野家の方が高いのがわかります。
吉野家の正社員比率の高さは、こちらにも同じようなことが書かれていますので、参考にどうぞ。
すき家の給与が吉野家より100万低い理由 | プレジデントオンライン
つまり、吉野家と松屋は販管費はほぼ同じ程度ですが、売上原価を低く抑えた松屋は利益を確保し、原価が高いゼンショーは人件費を抑制することで利益を確保しています。
恐らく原価をあまり変えられないのだとすると、販管費を抑制するしかなく、販管費で占める割合の高いオペレーションの生産性を向上させて、人件費を抑制するという方向でしょう。
調べながら、同じような業態でも、コスト構造が結構違うもんだなと再認識しました。今日はこのへんで。