若者がFacebookを使わなくなっている、ということを聞いたことがありますか?
最近また、若者のFacebook離れがすごい勢いで進んでいるという調査結果が発表され、いろんなところでニュースになっています。10代のFacebook利用率が半減した、という内容です。
10代のFacebook利用率は、2015年4月度の45.0%から27.0%へと大幅に低下していることが分かった。
これを見て思ったのは、「1年という短期間で半分というのは、急激に下がり過ぎじゃないか?」ということでした。もう少し調べてみると、この調査結果は、単純に「Facebookが若者に劇的に使われなくなっている」という解釈ではダメだとわかりました。
他の調査結果を見てみよう!
こういう時は、他の調査データも見てみましょう。まずは総務省のデータです。総務省は「情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」という調査を行っています。その中で、年代別のソーシャルメディアの利用傾向も調査されているんですね。その結果がこちらです。
総務省のデータは平成24年から平成26年までなので、冒頭のジャストシステムの調査結果よりも古いのですが、平成24年から平成26年の3年間でみると、10代のFacebook利用が増えています(LINEやTwitterと比べると増えてないですけどね)。
この結果を見ると、過去は増えていて、最近急激に減っているってこと?でも、ジャストシステムだと減る前は45%あるのですが、総務省の結果だと25%です。ちょっと数字が開きすぎてる気がしますね。
もう一つ別の調査データを見てみましょう。日経MJが行っている「ネットライフ1万人調査」です。その調査結果を紹介した記事では、以下のように結果が説明されています。
日経MJが実施し、昨年10月に発表された「第4回ネットライフ1万人調査」でも、フェイスブックの利用率減が目立つ世代があった。20代と30代が、それぞれ前年比7.5%、4.9%の減少となっている。そして意外にも、60代以上の利用率は63.6%と年代別では最も高い。どうやらついに「若者のフェイスブック離れ」まで始まっているようだ。
こちらの記事だと、20ー30代は減っているが、10代は増えていることになっています。
総務省も日経MJも、10代ではFacebookはそれほど減ってないんですね。
結局、増えてるの?減ってるの?
いろんな調査結果がありますが、それをどう理解すれば良いんでしょうか?増えているの?減っているの?
ヒントは、それぞれの調査方法によります。
ジャストシステム「モバイル&ソーシャルメディア月次定点調査」
ジャストシステムの調査手法はこうなっています。
株式会社ジャストシステムは18日、「モバイル&ソーシャルメディア月次定点調査(2016年4月度)」の結果を発表した。同社が運営するネットリサーチサービス「Fastask」で4月26日~5月3日、15~69歳の1100人を対象に調査したもの。
Fastaskというのは、ネット上のアンケートサービスです。アンケートに答える人は自分で登録して、アンケートに答えるとポイントがもらえるようです。
総務省「情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」
総務省は、ランダムで選んだ1500人に書面調査を行っています。
- 対象者:13歳から69歳までの男女1,500人(全国125地点にてランダムロケーションクォータサンプリングにより抽出)
- 調査方法:訪問留置調査
- 平成26年調査の調査対象期間:平成26年(2014年)11月15日(土)~11月21日(金)
- 日記式調査とアンケート調査を併行実施
日経MJ「ネットライフ1万人調査」
日経MJの調査は、正直よくわかりませんでした。ネットで調べる限りは、全国の男女約1万700人を対象にした、としか書いてないんですよね。
ということで、ジャストシステムの調査結果は、おそらくユーザー層として「アーリーアダプター」に分類されるような層なんじゃないかと推測します。ネットのアンケート調査のモニターに自分で登録する人たちなので、ネットリテラシーは比較的高めでしょう。
それを踏まえると、もともとFacebook利用率が総務省の調査結果よりも高いのも、なんとなく納得感があります。
また、アーリーアダプターがすごい勢いでFacebookを利用しなくなっているのだとすると、全体としては今後10代のFacebookの利用率減少は、もう少し後から数字に表れてくるんじゃないでしょうか。
以上です。今回言いたかったのは、調査結果を単純に信じるのではなく、いろんな観点で比較したり検証することが必要だということです。データを正しく理解する視点を持ちましょう!