sap 2017 q2 presentation.pdf

ERP大手のSAPがなぜデザインシンキングを手掛けるのか

ERPパッケージを手掛ける大手企業のSAPが、デザインシンキングのワークショップをシリコンバレーで開いているという記事を見て驚きました。なぜSAPでデザインシンキングなんでしょう?

デザインシンキングで刷新された顧客と共創する企業体質 [SAP] | ISSUES | WORKSIGHT

デザインシンキングを取り入れている事は、公式サイトでもアピールされています。

Design Thinking with SAP | SAP

さらにYouTubeには、日本製紙を対象にしたデザインシンキングワークショップの様子が掲載されています。

SAPが何を目指しているのか、決算内容やIR資料も含めて、企業戦略を考えてみたいと思います。

SAPの業績

業績は、通期で見ると、劇的とは言わないまでも伸びています。

SAP

ではIR資料も見てみましょう。2017Q2のプレゼンテーション資料をみると、クラウドサブスクリプションの成長を強調しているのがわかります。Key Performance metricsのひとつにCloud Subscription & Support Revenueが記載されています。

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念のため数字を見ておくと、クラウドサブスクリプションは全体の売り上げの中でまだ小さなものです。それでもその領域が確実に伸びているとアピールをするのは、企業戦略上重要な意味が持っており、投資家も興味関心が高いからだと考えられます。

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逆に、デザインシンキングなどの取り組みはIR資料には特に見られませんでした。長期的な取り組みであり、このような業績に直接寄与するかは測りづらいという面もあるのかもしれません。

SAPの戦略シフト

では、デザインシンキングをなぜ取り入れているかということを考えてみたいと思います。

SAPなどのERPパッケージは、様々な業種業界にいる企業のベストプラクティスをパッケージに取り込むことで、生産性が向上することを売りにしてきました。

しかし、それだけでは新しい付加価値を追求することが難しくなってきており、ビジネスプロセス時代を見直したり、UIなどのフロントエンドに価値を見いだすなど、新しいアプローチが求められているのだと推測します。

また、YouTubeに出てきた日本製紙のように、長い顧客のビジネス自体を成長させることが、SAPの成長にもつながるケースになる、という点もあるのかもしれません。

 

最近読んだ「9プリンシプルズ」でも書かれていましたが、現代は複雑性が高まっていて、不確実性に対応したり、新しいチャレンジをするなどよりクリエイティブな要素が求められている時代です。

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SAPは、そのような新しい時代に合わせた戦略シフトを行っているように感じました。