このブログでたびたびワタミのことを取り上げてきました。
ワタミは最近、新たに出資を受け入れ、業態転換を図るようです。
ワタミが保有する自社の発行済み株式約10%のうち、数%程度を売却する見通し。神明ホールディングは回転ずしチェーンの元気寿司を傘下に持っており、ワタミの事業立て直しにノウハウを生かす。
ワタミはいろんな意味で象徴的存在なので注目されていると思うわけですが、そもそも居酒屋業界全体がどうなっているのか?というところを見ておきたいと思います。
外食産業全体の動向
まずは外食産業全体の市場規模を確認します。
(出所:公益財団法人 食の安全・安心財団 外食産業規模推計値)
外食産業全体でみれば、長期的には平成9年頃のピークから低下しているものの、直近は下げ止まり、回復傾向にあることがわかります。
次に居酒屋業界の動向をみたいわけですが、統計資料がちょっとわかりづらくなっています。
同じ統計資料の中に、食べ物主体(給食主体)と食べ物・飲み物両方が主体(料飲主体)とに分かれていますので、料飲主体部門だけの市場規模をみてみたいと思います。ちなみに「料飲主体」には、喫茶店、居酒屋・ビアホール、料亭、バーなどが挙げられています。
上の外食産業全体のグラフと見比べて欲しいのですが、明らかに下がり幅がこちらの方が大きいんですよね。みんな酒なんか飲まなくなってるんでしょうか?
もうひとつ統計データを見てみましょう。外食産業の中で、ファミレス・ファーストフード・居酒屋の業態が、どのような売上状況になっているかを見てみます。日本フードサービス協会に、前年同期比として売上高の推移がありますので、その数字を拾いました。
(出所:一般社団法人日本フードサービス協会)
これを見ると、ファミレスは好調、ファーストフードは盛り返し、居酒屋は前年割れの不調という状況がわかります。
居酒屋業界の競争環境
次に居酒屋業界のプレイヤーを確認します。以下は、主要な会社の売上高を並べたものです。データは「会社四季報業界地図2016年版」から引用しました。
こうやってみると、ワタミは業界3位です。
また、各企業の営業利益率の推移も見てみます。モンテローザは業界としては1位ですが、上場していないので未掲載で、ワタミは他の業態も含んでいるので注意が必要ですが、
それでもワタミの利益率がすごい落ち込んでいるのがわかります。
市場が縮小していく中で、競争が激しくなっており、他にも様々な異業種が乗り込んできています。業界の動向を象徴する、ホリエモンの発言を記事にしたものがあったので引用しておきます。
コンビニエンスストアが、自炊をしない、主に単身層のマーケットに力を入れていることが大きな理由だろう。さらに激安ファミレスでのファミレス飲みが流行っているのも、理由の一つにあげられる。コンビニは、全国にチェーン展開をして、大手の資本力でメニュー開発も大規模に資本を投下して行うことができる。もちろん和民も大手だが規模が違う。さらに激安のファミレスも居酒屋チェーンに比べると値段が安い。コンビニで売られているようなレベルの値段で、お酒を頼めばまるで居酒屋のように楽しむことが可能だ。
コンビニやファミレス、ファーストフードが競合として市場に参入していることが、居酒屋業界の競争を激しくしています。鳥貴族など専門店は勢いがありますが、「総合居酒屋」は特徴を出しづらくなっているのが、総合スーパーの衰退とつながる感じです。
今後の居酒屋業界はどうなるのか
そんな中で、こんなツイートがありました。
何回も書いてるけど、このオッサン、居酒屋業態の戦略だけはまだ衰えてない。文末に答えのようなものきちんと入れてる。
ワタミ渡辺氏 「私は戻らない。つぶれるなら別だが」 :日本経済新聞 https://t.co/PvzGpkTUeP
元記事をみると、確かにこう述べられています。
「地方と都市部との位置づけも違います。東京のど真ん中では、(幅広いメニューをそろえた)総合居酒屋の時代は終わったと思っている。でも、地方では総合居酒屋が必要な地域はいっぱいある。そうしたところでは、和民だから行く、という声をたくさん聞く。だから、全体の数字というよりも個々の事実を確認しながら、個々に対策を打つべきだと思っています。きめ細かいマーケティングができるかできないかが、これからの勝負だと思います」
東京では既に総合居酒屋という業態は役目を終えており、地方はまだあるということでしょうか。飲食店は常に業態を変えて、時代のニーズに合わせた業態を開発していく必要があります。今は専門店の方が受け入れやすい流れがあり、総合居酒屋の低価格路線は終わったということでしょう。
まとめ
- 居酒屋業界という市場は、全体的に縮小傾向にある
- コンビニやファーストフードなどの異業種が競合になっており、競争環境は激化している
- 市場のニーズが変わってきており、きめ細かいマーケティングと新しい業態開発が必要
今日はこのへんで。
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