損保ジャパンがワタミの介護事業を買収する理由

こんばんは。

ワタミが介護事業を売却しました。

生損保介護市場で競う損保ジャパン、ワタミから買収発表:日本経済新聞

そのおかげで、このブログで以前書いたワタミの記事へのアクセスが伸びています。

ワタミの居酒屋戦略が発表。業績の復活なるか

ワタミは飲食事業が不振に陥っており、事業再建するために介護事業を売却し、外食事業と宅食事業に絞り込むことにしたようです。ワタミはこれまで、外食・宅食・介護を事業の三本柱にしており、売上としては一番小さい介護事業を売却した形です。

こちらは、以前ブログでまとめたワタミの事業別売上高です。

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今回疑問だったのが、なぜ損保会社が介護事業を買収するのか?という点です。その点を調べてみました。

介護市場は成長市場

まず大きな前提として、介護市場が成長市場であるということが言えます。

行政が行う介護保険給付額は、年々伸びています。単位は兆円です。2013年には9兆円を超えています。

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(厚生労働省「介護保険制度を取り巻く状況」より)

ちなみに介護保険とは、国が定めた公的な介護保険と、民間で行う介護保険の両方があります。上記の額は公的な方の介護保険の給付額ですね。

日本では公的介護保険と民間介護保険があり、民間介護保険の保障内容には介護一時金や介護年金などがある。介護保険適用対象となる介護サービスについて厚生労働省が定めた報酬が介護報酬である。

介護保険 – Wikiwand

介護保険の給付額が増えているということは、それだけ介護サービスが必要に成っているということです。やはり高齢化に伴い、介護ニーズが高まっているのがわかります。

保険会社としても、社会ニーズがあるところにビジネスチャンスがありますので、ここを強化しようと考えるのは当然かな、と思います。

保険会社による現物支給の規制緩和

2014年に、民間保険における現物給付が、規制緩和によって、認められることになりました。それによって、保険料を払う人たちに、お金以外にも現物支給としてサービスを提供することが可能になっています。

http://hokensc.jp/kaigo/genbutsu.html

これによって、市場で求められているサービスが

「民間保険会社が介護保険を取り扱うようになって8年もたつのに、具体的なサービスが法規制に阻まれて何ひとつできなかった。この分野は高齢化でまだまだ成長する余地があるため、あらゆるメニューを用意して契約者の信頼を高めたい狙いがあります。もちろん、他社との差別化が図れるという意味でも、現物給付が認められる意義は大きいのです」 要介護・支援者の認定者は膨れ上がって約540万人。にもかかわらず、公的介護保険の枠内では賄えない実費サービスも多い。生保がその補完役になろうというのだ。

生保が老人ホーム入居権販売へ 現物支給解禁で介護変わるか  | ガジェット通信

介護サービス市場はまだこれから伸びるところで、資金需要もありますが、サービスそのものが不足しているとみられているのでしょう。保険会社が現物支給として参画することで、お金以外にもサービス自体を発展させることを促すことが期待できます。

介護サービス市場の現状

介護業界のシェアランキングを見てみると、ベネッセやセコムなどの大手も進出していますが、それ以外の独自企業も多く、まだまだ市場全体が成長するでしょうし、これからもっと変動するでしょう。

http://gyokai-search.com/3-kaigo.htm

ワタミの介護事業は業界7位ですが、それほど上位と大差があるわけでもありません。それなりに良いポジションにつけている状態だと見ていいでしょう。これから市場全体が成長していく中で、買収した損保ジャパンとしてはいろんな保険サービスと親和性を生み出すことができるしょうし、ワタミとしても高く売れる今が売り時、ということだったのではないでしょうか。

以上となります。ワタミとしても、損保ジャパンとしても良いディールになったんじゃないでしょうか。まあ、お互いにこれからどうしていくかが重要だとは思いますが。

今日はこのへんで。