ヒューレット・パッカードは、10%にあたる3万人 のレイオフを行うと発表しました。
Hewlett-Packard to Cut About 10 Percent of Work Force – The New York Times
先進国のコールセンターなどがレイオフされる
HPは、今後PC・プリンタ部門と企業向け部門で分社化される予定になっています。現在はまだ分社化されていませんが、その状態でHPの業績は以下のようになっています。売上が減少してきていますね。
業績があまり芳しくないので、ダウンサイジングが必要な状況なのでしょう。レイオフの対象は主に先進国のコールセンターやサービスセンターなどで、その機能はオートメーション化されるか、インドやコスタリカに移されるようです。フラット化を地で行くような意思決定ですね。付加価値が高くない作業は、機械に変えてしまうか、単価が低いエリアに移すということですね。
なんでコスタリカ?と不思議に思いましたが、コンピュータ部品が主な輸出品になっているようです。なので、IT系の産業が集まっているんですかね。コンピュータ部品の輸出が盛んになったのは、1990年代にインテルが進出したことの影響とのことです。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B3%E3%82%B9%E3%82%BF%E3%83%AA%E3%82%AB
HPの企業部門はIBMと競うことになる
HPは分社化して、企業向け部門はIBMと同じようなビジネスモデルになると思われます。企業向けサーバー等を提供しつつ、コンサルティングやサービスを提供して、ハイマージンな企業に転化する狙いですね。
ちなみに、今時点でHPとIBMの業績を比較すると、こうなります。
売上高はHPの方が大きいですが、営業利益でみればIBMが勝ってます。分社化して、このあたりの数字がどうなるかは注目です。
Hewlet-Packerd Enterprise(企業向け)とHP Inc.(PC・プリンタ)のそれぞれの割合と売上高は、以下のようになっています。(2014年の決算報告書から抜粋しました。)
ここから推測するに、Hewlet-Packerd Enterpriseの売上高は今HP全体の半分になるので、IBMと比べると、倍とは言わなくても1.5倍以上は差が生じることになります。
それにしても、結果論になるかもしれませんが、IBMは早い段階でコンシューマー向け製品を捨て、企業向けのはいマージンなサービス企業に転身しました。今HPが苦しんでる状況を見ると、IBMが次々と非コア事業として売却し、事業領域をスライドさせてきた戦略には、考えさせられるものがありますね。
ビジネススクールでヒューレット・パッカードのケースを学んだのですが、起業後のヒューレット・パッカードは、オープンで自由なコミュニケーションを生み出す文化を形成していました。経営者が現場を歩きまわり、コミュニケーションを図るという、当時としては先進的な取組を生み出したりしていました。それがヒューレット・パッカードの強みのひとつだったと思いますし、そういう考え方を持った企業は個人的に好きです。「ビジョナリー・カンパニー」にも取り上げられていましたしね。
なので、ヒューレット・パッカードが今後復活して欲しいな、と僕は思っています。