また自治体クラウドネタから。ITで官民協働できないもんかね?ということも少し考えてみる。財源に余裕がない自治体が多い中で、どうやって民間と協働して、コストを最適化できるか。
ボランティアを募る
箕面市が、脱MSを打ち上げてOpenOfficeを採用したり、中古PCと無償OSのLinuxを導入してシステムを構築しようと取り組んでいる。ここが面白いのは、サポーター企業を募集していることだ。いうなれば、ボランティアみたいな位置づけ。最初このニュースをみてびっくりしたが、「ボランティアだし、続かないだろ」みたいなことを考えていた。
「脱MS」、箕面市が中古PC約500台をLinuxで再生利用 - @IT
でも、よくよく読んでみると、結構よく考えられている。募集要項を見ると、サポーター企業には次のメリットがあるとしている。
・MS依存脱却や中古PCの活用など、前例のない取り組みのノウハウ構築
・自治体側もサポーター企業をPR
・システム構築の取り組み自体を書籍化するため、出版社も募集
企業としてみれば、「他にはない実績をつくる」ことはビジネス上貴重であり重要だったりする。そういう「仕事そのもの」を価値として転換してしまっているのが面白い。あとは、自治体そのものがPR機関となったり、他からPR機能を募ったり。
自分たちの直接的なお金を投資せずに、企業に魅力を打ち出しているのは、発注者としての自治体の考え方を再考する材料になる。
民間の無償提供を受ける
前述のボランティアと似てるけど、微妙に違う。実は、マイクロソフトなんかは、自治体と提供して無償サポートプログラムを提供している。
マイクロソフトは、2009年度から「地域活性化協働プログラム」をスタート。この制度では、「高齢者向けICT活用促進プログラム」「障碍者向け支援プログラム」「NPO活動基盤強化プログラム」「教育分野人材育成プログラム」「ITベンチャー支援プログラム」「セキュリティ自治体連携プログラム」の6つの支援プログラムを用意。これらを組み合わせて、地域活性化に向けて、マイクロソフトが自治体や地域のNPOを支援するものとなる。
マイクロソフトが自治体を対象に、無償でIT利活用支援を続々展開するのはなぜか:大河原克行「マイクロソフト・ウォッチング」
これも、マイクロソフトは自治体に新しい価値を見出している気がする。つまり、地方自治体が地方産業のプラットフォームとして、いろいろなきっかけを作りやすい機関だということ。プログラムをみると、高齢者向けや人材育成など、ITを十分には活用しきれていない人に手を伸ばしたり、産業として高度技術を活用してもらうきっかけを作ったりしている。
企業からすれば、自分たちの製品を使用してもらう機会を増やすことになるし、自治体からすれば、市民の利便性が上がったり産業振興につながるので、Win-Winの関係になっている。
どちらも、お金以外の何かを、自治体の価値として見出している。そこに民間は目をつけて協働するのだろう。こういう事例をみると、自治体の魅力というものは、お金以外にもまだまだある気がしてくる。