「限界集落株式会社」は地域活性化本ではなくビジネス小説

 

「限界集落」というとネガティブな響きがありますが、「限界集落株式会社」という本はとても前向きな気持ちにさせてくれる一冊でした。

これを読んだ感想は、「これ「地方創生」とかではなく、企業経営の本だよね?」でした。

 

「限界集落株式会社」はドラマ化もされましたが、過疎化と高齢化が進んだ、小規模農家が集まる集落で、行政からも見放されてしまいます(市町村合併の影響もあり、集落は都市部から離れてしまい、行政からみると効率が悪い)。

そこにやってきた企業コンサルタントが、集落をひとつの株式会社化して村を復興させていく、というストーリーです。

 

(以下、少しネタバレになるので注意してください。)

「限界集落株式会社」でやっているのは、主に以下のようなことです。

  • コスト削減による「止血」。無駄をそぎ落として、新しいサービス提供の余力を生み出す。
  • 市場調査に基づくマーケティング戦略の立案。新規顧客の開拓。
  • 設備投資による生産性の向上。組織のモチベーション向上。

これらがリアリティある内容で描かれています。これって、「地域活性化」として捉えられていますが、実際やっているのは企業経営と同じです。

こういうやり取りが作品中に出てくるのですが、考えさせられますね。

「不貞腐れてなんかいない。あんたの考えには、やっぱり納得がいかないから。世の中、効率や収益だけで物事が決まるの?米は日本人の主食だよ。それをばっさり切り捨ててしまうのは絶対おかしいよ。世の中儲からないけど、存在しているものって一杯あるじゃない。例えば伝統文化とか。文化は絶やしちゃいけないんだよ。稲作だって、日本の伝統文化なんだよ」

(中略)

「そういうことは、儲けて、余裕ができてから言え」

 

これを読むと、地域振興というのは「企業経営の高度化」なのでは?と思います。実際、儲かってくると業務の幅が増えて、いろんな人が集まるようになります。そういう経営を担える人材を確保することが、地域の活性化につながるんだと思います。

 

本書は読んでいてテンションが高まりますし、リアリティある内容なので、できる気になるから不思議です。ひとつのストーリーとしてもよくできていると思います。

僕からみれば、これは農業をテーマにしたビジネス小説ですね。農業や経営、地域振興などに関心がある人にはおすすめです。

あと、僕は読んでいないですが、続編もあるようです。

 

全然関係ないですが、今このカメラケースが欲しい。。。。遠出して写真をたくさん撮りたいときに良さそう。

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