GREEとDeNAの業績を見たので、ついでに任天堂もみようと思ったら、結構な売上の下がり具合でびっくりした。
最近の任天堂はWiiのヒットも懐かしく、結構調子悪いようなことは聞いていただけど、ここまで落ち込んでいるとは。2011年度は赤字になっている。2008年には2兆円突破という絶好調っぷりだったのに。ただ、それまでの売上が5,000億円ぐらいだったので元に戻ったという考え方もあるけど。
任天堂 売上高2兆円突破を記念し、数字を色々集めてみました – 中小企業診断士 和田伸午のおもしろビジネス放談
ゲーム業界のトレンドは?
ゲーム業界のトレンドは、オンラインとモバイルに移行しているわけで、ゲーム専用機をプラットフォームとするメーカーは、このトレンドに乗り遅れて、数字に表れているという感じ。つまり、既存のゲーム機を主体としてプラットフォームを作るアプローチは、時代遅れになってしまった感がある。
誰もが持つモバイルやPCに移行した、という見方が優勢なのだろうと思う。それは、ZyngaやGREE、DeNAがすごい勢いで台頭していることからも推測できる。
かつての任天堂はなぜ強かったのか?
任天堂は、MBAのケーススタディで取り扱った。ファミコン時代の任天堂はまさに無双状態。戦略フレームワークで分析しても、抜け目なさすぎる。ファミコンというハードウェアを廉価で発売し、そこで魅力的なコンテンツを自作しつつ、ゲーム開発会社を自社に有利な条件で巻き込んでいく。さらには、年間の発売ゲーム本数も抑制することで、品質を重視するとともに市場の需要すらもコントロールする。
同じようなプラットフォーム戦略は、AppleやGREE、DeNAに引き継がれている。さらに任天堂は、DSやWiiによってゲーム市場を拡大させる。勉強や健康など日常生活の要素を取り込むことで、ライトユーザにまで幅を広げた。
ちなみに、任天堂には「枯れた技術の水平思考」という言葉がある。これは安定した技術を活用することで、廉価にビジネスを展開することを目指している。逆にいえば、先端の技術を取り込んで勝負する企業ではないんだよね。ゲーム機でもあまりグラフィックなどのスペックでは勝負せず、ユーザ体験に重視している。
今後の任天堂はどうなる?
ここからは個人的な予想としては、どれだけソーシャルでモバイルが進んだとしても、任天堂の得意分野は「楽しいユーザ体験を生み出す」ところであり、ゲームの複雑性を下げるソーシャルやモバイルの方向性には進む感じがしない。なので、他社を追随するような方向性には進まないんじゃないかと思う。
Wiiは本当に革命だったのだと思うけれど、その成果がわずか数年で消えてしまうほどビジネスというのはシビアだ。それでも、任天堂はもう一度何かを巻き起こすだろうか。