名古屋商科大学の公開講座「21世紀型MBAの学び方・活かし方」に参加してきた。考えさせられることがあったので、忘れないうちにまとめておこう。
MBAスキルによる管理の限界
MBAとは、経営のミドル層をターゲットにした、経営に関し必要な知識を体系的に学ぶことを指す。これが、主に人や組織や財務を「管理」すること」が中心となっているが、これが社会情勢にフィットしなくなっているのではないか、という問題提起が主題。これを、会社と個人に分けて考えてみる。
会社におけるMBA的考え方の限界
少し前によく議論に上がった話だが、株式会社に形態として株主の利益を追求すると、株主の短期利益を尊重することになり、短期利益を上げるため人員整理や資産売却等により、一時的に費用対効果を上げる傾向を示す。これが、会社の継続的発展を妨げる要因になっている。また、経営陣と従業員の所得格差も拡大し、会社が経営陣の儲けの手段になってしまうことが問題視された。
これを改めるために、株主が経営陣をちゃんと「管理」することが、対策として挙げられている。また「管理」になっているが、管理することに限界がきているのではないか?という問題提起。これに対する答えとして、企業は長期的利益と持続的発展を目指すべきだ、という話だった。
どうやってこれを実現するべきなのだろう。自分が考える条件は2つだ。
ひとつめ長期的利益、というのはどういう指標で管理されるべきなのだろう。短期の効率性だけではダメなのはわかるんだけど、持続可能性を評価するときの指標が存在しないのが、現状だと思われる。この対応策は、適切な指標を構築することなんだろうか。
もうひとつは、社会的に「長期的利益が重要である」というコンセンサスが醸成される必要もある気がする。どうやったって、株主は利益を追及するのだろうし、人間の思考の性質上、そんなに長期的展望を想定して投資することにも限界がある。だから、「長期的な価値が最重要だよね」という、全体の総意が必要なのではないだろうか。でないと、経営者がその価値を重要視した経営を行いにくい状況を生み出す気もする。
現在上場している株式会社を想定して書いているので、ある意味これは、現在の株式会社の形態に限界が来ているのかもしれないとも思う。広く資金を募り、事業により株主に利益を還元する。利益もリスクも分散することで、高いリスクテイクを可能とする合理的な会社形態だったが、これが社会にフィットしづらくなっているのかな、と。だから、上場廃止する企業も出現するのだろう。ただ、株式会社に優る合理的な会社の仕組みがないのも事実。
個人として学ぶMBA的思考の限界
MBAの知識体系は、先ほど書いたように主に「管理」を主体としているが、これを個人の考え方として広く当てはめようとすると、組織内でいろんな支障をきたす可能性があることがわかっている。責任範囲の明確化による内部思考・官僚主義の醸成。これによるモチベーションの低下。また、様々な事象を管理しようとする傾向から、自分の想定を超える問題への対応の限界。
これに対する答えとして、MBAという知識を学ぶだけでなく、MBAを学ぶ過程を通して「学習能力」を身につけることが重要だとの見解だった。
これは実際働いていてもうなずける。どうやっても、様々な事象を管理することには限界がある。その前提に立ったとき、新しく解決策をブレイクスルーさせる力が必要になる。それは自分個人の力だけでなく、いろんな力を引き出すことも、スキルのひとつとして重要になる。講義の中でも明確なソリューションはなかったものの、「獲得を目指すより、貢献を行う」姿勢が重要になるとの話には、確かに共感できる部分がある。
まずは、自分個人の能力だけでは限界がある、という前提を理解し、いろんな力を引き出しながら、問題を解決に導ける人が必要なのだと思う。
#とりあえずいろいろ勉強しよ。少しモチベーション上がった。
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