英治出版
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「支援学」というアプローチから、人を助けることについて考察されている。コンサルタントという職業に就く最初のときに、こういう本を読んでおけばよかったかもな。長年自分があやふやなまま、おぼろげに輪郭を捉えようとしてきたことが、明確に書かれていて非常にすっきりした。
それは、「信頼がある」とは、どういう状態を指すか、だ。それが端的に表されていた。
1. その人間との関係の中で、自分がどんな価値を主張しても、理解され、受け入れてもらえること
2. 相手が自分を利用したり、打ち明けた情報を自分の不利になるように用いたりしないと思うこと
これを姿勢として示していくことが、信頼の醸成になるんだな。きっと。
他にも、いろいろ気になったことが書いてあったので、メモ。
相手に気を遣わせずに支援するために
支援を求める側は、支援する側に対して相対的に地位が下がる。作業をお願いすることに対し、負い目を感じたりするからだ。これがどういう結果を招く可能性があるかというと、相手のプライドを傷つけることになったり、お願いが続くと、支援を言い出しづらくなったり、逆に依存体質になってしまったりする。
つまり、相手が一方的に支援を求め続けない状況を作ってあげることが、適切な人間関係を保つ上で重要となる。これに対する対処法として、自ら支援を申し出ることで、支援を言い出すことによって相手が受ける心理的なプレッシャーを緩和させることにつながる。もしくは、相手の自立を支援することを目的に据えることも、良い方法かもしれない。
コンサルタントであれ、SEであれ、IT業界はお客さんと長く付き合うことが多い。長期的に円滑に仕事を進めるためには、こういう心理作用も考慮して、適切な人間関係を築きたいもんだ。
成果を上げる良いチームを作るために
より良いチームを作るためにも、支援をする・しないということによって、相対的に地位が上がったり下がったりすることが、重要な意味をなす。
例えば、あるメンバーが周囲から一方的に支援され続けると、その人は萎縮して仕事できなくなるし、周囲もうんざりする。こういう状況から、個人に対する不満なども鬱積しやすい。成果を上げる良いチームを作るためには、「互いに支援し、互いに支援されあう関係」を築くことが重要だ。誰かに助けられると、何かの機会に逆に助けようと思う。支援されることで相対的に下がった地位を、自然に人は取り戻そうとするのだ。
だから、チームをまとめる人は、チームメンバの中で、どこか一方的な支援の流れになっているポイントがないか、注意した方が良い。役割を作ったり、そういう状況を促したり、時には指示したりして、いろんな人がそれぞれの役割で助け合えるチームを作りたいもんだ。