「事業仕分け」が始まって、報道でもネットの世界でも盛り上がりを見せてる。(前から思ってたけど、「ネットの世界で盛り上がっている」という表現は、何を指すんだろうね?自分でもイメージで使ってみるけど。)
細かい内容は専門家でもないので任せるとして、気になった点を書き留めておく。
「全体像」はどこか
報道を見て、「事業仕分けをしています」ということは分かるが、どれを対象に行っているのだろうか。
まず問題なのは、仕分けの対象になったのは概算要求に出ている約3000の国の事業のうち15%足らずの447事業にすぎないということだ。
事業仕分けという人民裁判 – 池田信夫 blog
これを理解した上で、この「事業仕分け」という作業を見なければいけない。
「ゴール」とは何か
今までの自民党政治の無駄に切り込む、という謳い文句もあり、実際に切り込みを始めた「事業仕分け」。1時間程度の議論で、廃止・予算削減・民間への委譲など、バサバサと結論が出ていく。劇場型で、見ている側としては面白いが、切られていく方がつらいこともあると思う。
さて、Twitter上で議論が出ているもののひとつに、基礎研究などの短期的には結果が出づらい分野をどう評価するか、ということがある。
これが混迷する理由は、この事業仕分けの目的や、そもそも国が打ち出すビジョンが不明確だからだ。いろんな角度で見れば、いろんな結論が導き出せるのは当然である。企業戦略でも、長期的な視点でどこに投資するかは常につきまとう課題だが、科学的根拠や論理的思考だけでは明確な答えは導き出せないので、経営者が企業の今後のビジョンと照らし合わせて、必要な分野への投資を決断するのだ。
事業仕分けの目的は、報道を見る限り自分は知らない。それが事前に、はっきりと出るのがよかったかな、とは思う。
「財源不足は国家喫緊の課題であるため、全体の事業から●●%の削減を目指すことが、目的。長期的視点など今回は優先しない」とか。PDCAサイクルを回すためにも、「事業仕分けの目的」も、「一定の役割を果たせた」という抽象的な概念ではなく、「何%達成だから十分」というような定量的かつ客観的な評価を後々してもらいたい。
それでも前進している
今回の事業仕分けにはいろんな意見も出ているし、進め方や評価の仕方に課題も多く見つかっているだろうと思う。ただ、これだけ透明な場で、国家事業について議論され、結論が出されていく状況が作り出されたことは、国民にとっても大きな前進だと思う。
今まで情報が見えないことが、結果的に国民の無関心を招いていたかもしれないし、何を始めるにしても、最初から完璧な仕組みというものはないのだから。
そして透明な場が作られたことによって、新しい動きが出ていることも興味深い。@ksorano が、Ustreamで事業仕分けをリアルタイム配信したことで、Twitter上で議論が進み、まとめサイトみたいなものも作られた。メディアはこの速報性という面では勝てなかったし、新しい情報伝達の形が見えた気がする。
評価をするのは誰でもできるが、新しい何かを始め、作り上げていくことの方がよっぽど難しい。今回の新しい一歩を喜びつつ、次につなげて欲しいと願う。
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