農業生産法人 トップリバー。その本を読んで面白く、改めて考えさせられたので、メモ。
①誰を相手に、何を目的に仕事をしているのか
トップリバーは契約栽培を行っている。農協に収めるのではなく、直接企業などと契約して、予め決められた数量を決められた値段で契約するのだ。てっきり、農家が農協に決められた基準や方法に従い農作物を作り、農協に収めるのが普通だと思っていたが、トップリバーは違うらしい。
これは重要なことを示していて、自分の仕事は「最終的に誰のため」であるかをはっきり認識することだ。農協に任せれば、流通機能や販路開拓は不要になるから、分業として楽になる。しかし、あまりにも一括で取り扱うから、農作物を収める立場としては、「誰のための作物か」がわからなくなってしまう。
余談だが、親戚に農家の人がいて、米を作っても、農協でいろんな農家の米が混ぜられるから、やりがいも何もないと言っていた。そりゃそうだろう。
マーケティングの鉄則ではあるが、「誰をターゲットに何をするか」を考える。これは、ITシステムベンダーの立場でも同じこと。
情報システム部の人ばかりを伺う思考に陥りがちだが、その先のシステムユーザの考えこそ、一番察しなければならないことである。
②人材を育てることが社会貢献になる
人材育成はどこの組織でも課題になったりするが、これも改めてトップリバーに感心させられた。
今までの農業スタイルとは異なる考えを持ったトップリバーで育った人材が独立してゆくことで、農業界全体が変わっていく。そういう考えがすばらしい。
少し時間がかかるかもしれないが、どんどん人から人へ知識や考え方が伝わっていくことは、大きなインパクトを持っているはずだ。それが社会を形成し、変化・発展させていくはずだ。人材を育成する、ということは会社内で役立つ人間にとどまるのではなく、その先の先の先の未来にも、影響を与えるものだと考えると、人を育てる責任に少し身震いを覚える。
③「大局的な流れ」を考える
「あとがき」で、農業ブームや農業の自由化の流れが出ている今、その中で農業生産法人を経営している自分を、「僥倖」だと表現されていた。極端な話、30年前なら流通や小売の形態、政治情勢や農業を取り巻くカルチャーが違うと思うので、トップリバーのようなビジネスは成立する環境になかったのかもしれない。そう考えると、やはり大局的な流れというのは、重要なのだと考えさせられる。
大きな流れの中で、自分や自分の所属する会社は、どういう方向に舵を切ろうとしているのだろうか。
IT業界は、社会インフラの重要な地位になりつつあると思うが、技術動向の切り替わりが早く、知識や技術は、新しく出ては消えてゆく。そういう中で、自分がどういうスタンスでスキルアップしてゆくのか。会社は何を資産として、経営してゆくのか。
自分は、極力時代の流れに左右されにくい、コミュニケーション、マネジメントを軸としながら、経営知識やIT知識を習得していこうと思うのだ。