「20円」で世界をつなぐ仕事

マッキンゼーから社会起業家へ転身した、TABLE FOR TWO International 事務局長・小暮さんの転身までの話と、実際にNPOを立ち上げた際の苦労や社会起業に対する考え方をまとめた一冊。
(正確には、マッキンゼー→松竹→TFTだけど。本を売る際にキャッチが良いから、「マッキンゼーから」とだけ書いてんだろうね。)

 

NPOにおける報酬の考え方

生きがいを感じる仕事に就く素晴らしさが良く伝わってくるけど、特に良かったのはNPOに対するスタンス、考え方がちゃんと述べられていること。

いい仕事をして、なおかつ経営能力があって、財政的にも成り立っている団体であれば、一般企業と遜色ない給料を払ったところで、まったく問題ないはずです。

やはり、これは日本人の感覚なのかもしれないけど、公共への利益を追求することについては、完全なる「善」というか、金銭を超越した精神的な潔白さを求められている感じがする。まだ、NPOの歴史が浅く、NPO≒ボランティアの感覚が抜けていないからだろうと思う。

本書でも、そのような周囲の誤理解での苦しみが、ところどころで描かれている。

 

NPOの資金調達手段

NPOの立ち上げ時期における資金調達手段について、問題を提起している。いろいろこの本で知ったのだが、NPOの収益の大部分である寄付について、寄付する先のNPOが「認定NPO法人」でないと、税制優遇が得られない。しかも、その「認定NPO法人」になるための条件に、「設立より1年を超える期間が経過し、少なくとも2つの事業年度を終えていなければならない」というものが含まれている。
(参考:パンフレット「認定NPO法人制度のしくみ」)

この認定制度がおかしいとは言わないけれど、NPO版ベンチャーキャピタルのような、設立直後の資金や戦略を後ろから支えるような、社会的な仕組みがあって良いのではないかと思う。

 

社会起業家の役割

あとがきに書いてあった、社会起業家の役割がわかりやすくてよかった。

だから、「いいことをするべきだ!」と言うのではなく、「こうすればたいした無理をしないでいいことができますよ」「あなたの気持ちをこういう形で届けますよ」、そう言えるだけの仕組みを用意すればいい。そうすれば、みんな喜んでそのしくみを使ってくれるはずです。

なるほどである。こういう人がいると知っただけで、この社会の可能性を感じる。