「自分を変える」といういかがわしい自己啓発のにおいがするタイトルに、「スタンフォード」という冠がつくだけで期待度が高くなるのはなぜなんでしょう。というわけで、読みました。
内容自体に、すごい驚くものは少ないかもしれない。ただ、「意志力」というものをどうやって増やしたりコントロールしていくか、ということが語られているので、自制したい人はいろいろ刺激を受けて良いだろうと思います。
運動や瞑想を行うことや、呼吸をゆっくりすること、睡眠を十分に取ることなどは、至極当たり前のように言われているけれど、それが科学的にも必要な行為だということがわかります。
継続的な習慣に落としこむ
先延ばしすると、「明日以降の自分」は今の自分よりやる気に満ちていて、きっと自分が先延ばししたタスクを消化してくれるだろう、という希望的観測がどうやら人間には備わっているようです。ですが、何回も挫折する通り、そんなはずはありません。
ラクリンによれば、タバコを吸うなら「毎日同じ本数」を吸うよう喫煙者に指示すると、タバコの量を減らせとは言われていないにもかかわらず、なぜか喫煙量が減っていくといいます。
というわけで、「一時的に先延ばし」する、というのは非常に難しい一方で、「継続的にその状態になる」と想定すると、自分の意思が強く働くようです。当たり前の話ですが、長期的な視点からどうなりたいのか?であったり、日頃の行動を習慣化することを意識するのが有効そうです。
どうやって望ましい行動を継続するか
継続しろといってもそんな簡単ではないことは自分でも良く知っています。本の中ではこう書いてありました。
いちばんいいのは、あなたができるようになりたいと思っていることを習慣にしている人たちに出会うことです。あなたが見習いたくなるような新しい〝仲間〟を見つけましょう。支援活動グループや教室、地元のクラブ活動、オンラインのコミュニティなどに参加するのもよいでしょうし、あなたの目標に役立つような雑誌を購読するのでもかまいません。同じ目標をめざす仲間に囲まれていれば、努力するのがふつうに思えてくるでしょう。
これも言われてみれば当たり前のような話ですが、自分だけではなく他人の目を利用し、刺激を受けたり、「恥」の感覚を取り入れることで目標に近づくということです。
それにしても、ダニエル・カーネマンの「ファスト&スロー」とも内容や事例が一部重複していたりします(切り口は違っていたりしますが)。心理学がいろんな分野に取り入れられているのがトレンドとしてありますね。行動経済学もそうですし、MBAやマーケティングでも論理から感性に軸がシフトしている感じです。心理学というのは、今後も重要性が高い分野になるでしょう。