LINEがここまで流行しているので、使ってないけど一応把握しておこうと思ってこの本を読んだ。最初LINEは電話帳を全部サーバに送ると聞いていたので、「そんな危険なことする人たちの気がしれない」と思っていたのだが、ここまで流行すると、その内容などは知っておく必要があるかな、と思った次第です。
LINEはSNSというよりコミュニケーションツール
タイムライン機能はあるものの、最初は無料通話とメール機能から始まっており、今もそれが主要な位置を占めている。これは、外部環境の変化およびそれに伴うユーザーのニーズがうまく合致した結果と言えるだろう。
まず、今日本ではガラケーからスマートフォンへの移行がすごいスピードで発生している。そこで戸惑うのがメールで、ガラケーと使い勝手がちょっと違う。だから、ショートメールみたいなメール機能にすることで、顧客のニーズをうまく掬った。
アーリーアダプターを越えてアーリー・マジョリティへ
LINEが特徴的なのはこれだろう。プロダクト・ライフサイクルの概念をやや無視していて、いきなり大衆受けしている。特に学生に。マーケティング上のターゲットが学生で、それがIT系サービスのプロダクト・ライフサイクルではマジョリティに属す、という結果論だとは思うけど。
というわけで、この本を読むと、LINEはスマフォへの乗り換えというタイミングの良さと、電話帳で登録する手軽さというサービス設計、スタンプによる収益モデルの構築が優れているのがわかる。
今後LINEはどういう存在になるのか
この本でも書いてある通り、スマフォへの移行予備軍がもう少しいるので、日本国内で数千万までは伸びると思う。それを踏まえてどんな存在になるんだろう。個人的には、コミュニケーションツールの色合いが強く、SNSのような情報の伝播効果はそれほど高くないんじゃないかと勝手に推測している。そもそもLINEはそれを目指していないのかもしれないけど。
そして、そもそもSNS自体には企業がマーケティングに使うも、未だ劇的に顧客を引き寄せるようなものではなく、あくまで顧客とのゆるやかなダイレクトコミュニケーションや、ブランドイメージを形成するための一助、ぐらいだと思っているので、LINEはそれ以上の存在になるのは難しいんじゃなかろうか。あるいは、クーポンによるダイレクト・マーケティング。それ以上の画期的なO2Oの導線を開発できれば、すごいなあ。
コミュニケーションツールは必然性が高いようで低い
LINEでも他のSNSでも同じだけど、コミュニケーションツールとして考えると、必然性はそんなに高くないと思っている。もちろん、人々はコミュニケーションを必要とするし、そのためのツールは必要だけど、世の中にはたくさんの代替手段がある。
なので、様々なSNSが登場しているし、各社特徴のあるコミュニケーションデザインを行っているけど、あまり寿命が長くない気がする。SNSの移り変わりは早い。Facebookも状況がどんどん変わっているし、「飽き」と戦ってずっと変化し続けるか、目的を絞って必然性を強化するかが必要だと思う。
Facebookの動向変化は、このあたりの記事が参考になるかと。
それ見ろ、やっぱ日本のFacebookはオワコン期に突入 | More Access,More Fun!
日本のFacebookユーザー、たった1ヶ月で330万人も大激減!! | More Access,More Fun!
少し前からのトレンドとして、PathやPairなど対象を限定したSNSがアメリカでたくさん登場してきているのも、そういう背景があるのだろう。
というわけで、LINEの今の勢いがどう続いていくのか、スタンプに続き、これまでにないサービスモデルや収益モデルを構築していくのか、というのは注目してます。時代の移り変わりが激しいので、キャッチアップが大変。