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TPPと政府調達

TPPは、「経済成長」と「農業保護」の対立だと思ってたけど、TPPの対象に政府調達が含まれているのを知ったので、これはもう少し情報収集しなきゃいかんかもなーと思い、読んだ。本の最後に、TPPの政府調達部分の和訳も掲載されている。

廣宮 孝信¥ 777

 

TPPの特徴は、関税の撤廃だけではなく、自国と加盟国の差別を撤廃することが目的。だから、政府調達に関してもこういうことになる。

 

地方自治体にも直接的、間接的なデメリットが生じます。直接的な影響としては、「TPPに定められた海外企業の競争入札参加環境をつくる」ためのコストが考えられます。あらゆる非関税障壁という観点から見ると「言語」も立派な非関税障壁です。非関税障壁は原則すべて排除することになっているために、地方自治体も言葉の壁をなくす努力を強いられるのです。P.52

 

調達仕様書も英語だったり、他の加盟国の母国語のバージョンも作ることになるのだろうか。そして、現在適用されているWTOよりも、対象となる案件の金額は引き下げられる。地方自治体の例だと、以下の感じになる。

 

物品調達:20SDR(3,000万円)→5万SDR(630万円)
建設サービス:1500万SDR(230,000万円)→500万SDR(63,000万円)

参考:政府公共調達概要 – 政府公共調達データベース – ジェトロ

 

これ以上の金額については、全てTPP用の対応が求められることになる。翻訳サービス業者とか、仕事増えるのかなー。

 

あと、電子入札システムの窓口も、各国用に用意しないといけないらしい。

 

外国語対応の問題を含め、各地方自治体が独自に導入している電子入札システムを流用することは難しく、これらを廃止したうえで新規にシステムを導入する必要がありそうです。これらのコストはすべて地方自治体の税金によって賄われます。P.53

 

確かに今のシステムでは対応難しいだろうなあ。コアシステムの刷新が図られるか、民間がパッケージ開発したりするかな。

 

地方行政では、「地元企業を育成する」とか「公共事業によって地元にお金を還流させる」という発想もあるので、TPPは完全にそういう考えに反する内容が含まれている。TPPをたてに訴訟されたり、というような法的リスクも考えないといけないのかもなあ。こういう場合は、日本国内の場合は長期的に良い関係を継続することを優先するから簡単に訴訟まで踏み切ったりはしないけど、海外企業では違うだろうし。

 

というわけで、いろいろ政府調達のルールが変わる。新しいビジネスチャンスも生まれるかもしれないし、これまでとは違うスタンスでのぞまないといけない企業もあるだろう。

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