ノーベル賞経済学者の、経済コラム集。
いろんな経済ネタが豊富に取り上げられており、その中から多くの示唆を与えてくれる。IMFの役割、資本経済の特性、 自由貿易の幻想、アメリカの独走などなど。
そのほかにも、ロシアと中国の近年の躍進や、スカンジナビア諸国の社会制度・・・。今、思い出しながら書いていても、 これだけネタを取り上げている。この勢いに任せて、思ったことを書いてみる。
資本は経済状況が好調なときに流入し、景気が失速したら流出することは、ずっと前から明白だったはずだ。要するに、資本の移動は景気変動を拡大するのである。
世界全体の変化するスピードは、著しく速くなっているとよく言われる。そういう世界で、各国の中央銀行や政府の役割ってなんだろうか。
やはり、数十年前から言われているように、アダム・スミスの「神の手」は市場だけでは作り出せないのだ。そう考えると、過度に資本の移動を促進させる市場に対し、政府や中央銀行が、適切かつ最大幸福を目指す制御を加えてあげないといけない。変化のスピードが増せば、なおさらその役割の重要性は大きくなる。
昔は自分も、公共分野に人生の方向を合わせたことがあるが、紆余曲折があり、今はITコンサルタントとして仕事をしている。でも、こういう本を読んでしまうと、 転職だって未来の視野に含めているし、まだもう少し続く自分の人生を、社会の中のどういうポジションで生きていこうかな、と 改めて考えこんでしまうのだ。
ひとまず、専門家じゃなくても経済の動向を知らないと、変化のスピードにおいていかれる、と焦る一冊。