【書評】日本の大問題が面白いほど解ける本

この高橋洋一という人は、一見難しいことをわかりやすく説明するのが本当に上手い、と毎回感心する。

政治にはいろいろな課題があるのだけれど、読んでいて改めて地方分権は不可避と感じた。

例えば、

・八ツ場ダムのような、ある特定地域の問題に国が積極的に関与するのは、政治上適さない。レベニュー債などを用いて、適正な損益チェックのもと、関係ある地域行政の範囲で行うべき。

・電波行政で、テレビ局の利用料が全体から見たときに少なく、一方で放送事業に関わる支出はその何倍もある不思議。東京のキー局が全国のローカル放送をコントロールしている状況に、周波数オークションで風穴が開けられれば、地域に密着した情報が増える。

・消費税などの増税は、税の目的や、国税と地方税の区分けを考える必要がある。例えば、消費税は景気に左右されない安定した税収が見込める一方で、誰が払ったかの追跡が難しい。

上記のようなことを考えていくと、自ずと地方自治に至る。

民主党政権の施策には、中央集権的・社会主義的な要素が多く反映されている。グローバルの流れや政治・経済の本質を踏まえた上で、継続してチェックしていく必要がある。

ちなみに蛇足になるけれど、周波数オークションが行われても、すぐにテレビ局に影響が与えられることはないだろう。周波数オークションは新たに周波数帯域が割り当てられる場合に行われるので。ただ、テレビ局に対する電波使用料が安すぎるので、値上げしようという議論はあるようだ。

電波利用料 – Wikipedia