ベンチャーが成長する方法は、リーン・スタートアップなどいくつかありました。
今回読んだ「ブリッツスケーリング」は、急激な成長を実現するための手法であり、特に成長のスピードとスケールに注目した本です。
GoogleやFacebookなど、急成長した企業が、それ以外の企業とどう違い、急激な成長を実現できたのかを紐解いています。著者はリンクトインの創業者で、ベンチャーの成長を実現してきた人です。
ちなみに、「ブリッツスケーリング」という言葉は、ドイツ軍でブリッツクリークという電撃的な速攻を行う軍事用語があり、そこから著者が採用したそうです。
驚異的に成長する企業はなぜブリッツスケーリングを行うのか?
本書のテーマは「電撃的な成長」の手法です。取り上げられている事例としての企業は、Amazon、Google、Facebook、LinkedIn、AirBnBなどで、まさに驚異的なスピードで成長してきた企業です。
こういう成長はどうやったら実現できるのか、というのをまとめているんですよね。「こういう企業はそんなにたくさんいるわけじゃないし、いろいろ偶然の要素もあるんだろう」という感じを持ってたりしたのですが、それでも本書のようにエッセンスがまとめられると、ビジネスを大きくする要素のヒントをたくさん感じました。
特に重要なのは、「不確実性が高い時代」に合ったアプローチである、ということです。言わずもがなですが、今は非常に速いスピードで変化しており、先読みが難しくなっていたり、ビジネスが陳腐化してしまうリスクが常につきまとう時代です。
そうなると、スピードが非常に重要になってきて、競合に負けず優位的な立場を作るのが「ブリッツスケーリング」というわけです。
ブリッツスケーリングって何?
驚異的なスピードを実現するためには、大きなリスクが伴います。市場環境にフィットさせていくこと、尋常じゃない速度で増える人たちを管理していく組織設計など、様々なひずみを持ちながら、その中で成長を実現していく必要があるわけです。
会社がブリッツスケーリングしているとき、リーダーはたとえ確信の度合いが100パーセントにはるかに届かない場合でも、とにかく決断を下し、断固としてその決断を守りぬくべきだ。ライバルに先駆けて動くためなら、間違った決断をして、その結果、大損害を被るリスクを受け入れねばならない。性急な決断が失敗となり、直接、間接に大きなコストが生じるリスクがあっても、決断が遅れることによるリスクのほうがはるかに大きい。
そのため、本書のテーマを大きく分けるとすれば、「ビジネスモデル」と「組織戦略」です。驚異的な成長を実現するためには、マーケットを創造する素晴らしいビジネスモデルが必要であると同時に、膨大に膨れ上がる人的リソースを、組織をたくみに変化させながらコントロールしていくことが要点です。
組織の変化という意味では、この記述をみると大変さが少しイメージできるのではないでしょうか。
ブリッツスケーリングを実行する企業がまず直面するのは、人材獲得という課題だ。社員数が毎年3倍になることは珍しくない。このため普通の成長企業とは根本的に異なるアプローチが必要になる。成長が年間 15 パーセントなら完璧にフィットする人材を発見し、企業文化を確立する余裕があるだろう。この後に詳しく説明したいが、ブリッツスケーリング中の企業は数々の常識外れな経験をすることになる。急速な成長により組織は一変する。「そこそこ」の人材で我慢しなければならない。まだ不完全でアラが目立つプロダクトをリリースしなければならない。顧客は怒り狂い、会社は炎上するかもしれない。
それぞれに対して具体的なポイントが書かれているので、新規事業などを考える人にはヒント満載だと思います。
事例として出てくるAirBnBの例は、とても考えさせられるものでした。同じような立場に置かれたときに、どういう判断をするだろうかと。同じ状況に置かれたグルーポンの決断も出てくるのですが、その対比も、うなってしまう内容でした。
驚異的なスケーリングを実現する要素がいくつか書かれているので、具体的な項目はぜひご一読を。