ゲリラ豪雨はなぜ増えた?ゲリラ豪雨に対する原因・対策・予測の現状

最近ゲリラ豪雨と言う言葉が当たり前のように聞かれるようになりましたが、実際に統計的にはどうなっているのか知りたくてちょっと調べてみました。

ゲリラ豪雨の定義

そもそも、「ゲリラ豪雨」というのはどういう状態ととらえればよいのでしょうか。まずWikipediaをみてみると、
ゲリラ豪雨(ゲリラごうう)は、集中豪雨の一種。正式な気象用語ではなく、突発的で天気予報による正確な予測が困難な局地的大雨[1]を、軍事のゲリラ(奇襲を多用する非正規部隊)にたとえたもの。従来から使用されていた驟雨(にわか雨)や集中豪雨、夕立といった言葉をマスメディアなどが代用した表現で、2008年には新語・流行語大賞トップ10に選出されている。局地豪雨、ゲリラ雨、ゲリラ雷雨などの呼び方もある。 
ゲリラ豪雨 – Wikipediaから引用
ということで、正式な気象用語ではないそうです。 コトバンクのブリタニカ国際大百科事典によると、短時間に50mmをこえる豪雨という表現が出てきます。
約 10~数十km2範囲の狭い地域に,時間雨量が 50mmをこえるような豪雨が短時間に降る現象。集中豪雨の一形態。予測が難しく,局地的で突発的に襲うためゲリラという名がつけられ,2008年夏頃からよく使われるようになった。 
ゲリラ豪雨(ゲリラごうう)とは – コトバンクから引用
なので、短時間に局所的に多く降る雨を「ゲリラ豪雨」と呼ぶんだということは理解できました。  

実際にゲリラ豪雨は増えているのか

総務省のワーキンググループに、まさに該当するレポートがありました。 総務省|情報通信審議会|情報通信審議会 情報通信技術分科会 陸上無線通信委員会 気象レーダー作業班 X帯サブ・ワーキング・グループ(第2回)   ウェザーニューズが出しているレポートです。
http://www.soumu.go.jp/main_content/000526164.pdf   「時間降水量50㎜以上の「非常に激しい雨」はここ30年で約1.3倍に増加」とあります。
(出所:株式会社ウェザーニューズ「最近の気象現象の変化について」)   「時間降水量80㎜以上の「猛烈な雨」もここ30年で約1.7倍に増加」だそうです。
(出所:株式会社ウェザーニューズ「最近の気象現象の変化について」)   ということで、統計的にみれば短時間の大雨が増えているようです。レポートをもう少し読むと、エリアによっても異なると書いてあります。
(出所:株式会社ウェザーニューズ「最近の気象現象の変化について」)   全国一律で増加しているわけでなく、地理的な差異もあるようです。  

ゲリラ豪雨が増える要因は?

先ほどのレポートをみても、なぜ増えているのかという根本原因は触れられていませんでした。毎年、台風の発生状況によっても変動するようです。 気象予報士の方が書いたこちらの記事を読むと、ヒートアイランド現象などの温暖化が原因のひとつであると書かれています。
なぜ、大雨が増えているのでしょうか。 その理由は、気候変動やヒートアイランド現象など、複数の原因が重なって、日本の気温が上昇傾向にあることと関係があります。 そもそも、雨というのは、空気中に含まれる水が落下したものです。空気中の水蒸気が上空で冷やされて水や氷の粒になったものが雲で、雲の粒が大きくなって落下すると雨になります(雲の粒が氷の場合は、落下する途中で溶けると雨に、溶けない場合は雪になります)。 ここで、気温が高くなると、空気中に含むことのできる水蒸気の量が増えます。だから、以前よりも気温が高くなれば、ひとつの雲からより大量の雨を降らすことが可能になるのです。これが、年々大雨がひどくなっている理由だと考えられています。 
「ゲリラ豪雨」が増えているのは、なぜなのか | 天気・天候 | 東洋経済オンライン | 経済ニュースの新基準から引用
  こちらの記事を読んでも、大雨が増えた原因のひとつに地球温暖化が挙げられています。 豪雨の原因は「線状降水帯」/積乱雲が発生、滞留して同じ場所に大量の雨 | ハフポスト   さらに、将来的には雨の回数が減り、一回あたりの量が増えるようになる、と予測されています。
大雨に関しては、「1時間降水量が50mm以上(滝のように降る雨)の発生回数が全国平均で2倍以上になる」とした。逆に「雨の降らない日数は全国的に増える」ことになりそうだ。雨の回数は減り、降る時は一度に大量の「ドカ降り」になるということだ。 
豪雨の原因は「線状降水帯」/積乱雲が発生、滞留して同じ場所に大量の雨 | ハフポストから引用

対策を進める国や自治体

雨が局所的に多く降ることと、都市化が進展してきたことで、被害も大きくなっています。特に、河川が氾濫して浸水するような被害に加えて、「内水氾濫」と呼ばれる被害が増えているということです。
そもそも内水氾濫とは何かをひとことで言うと、市街地などに降った雨が排水路や下水管の雨水処理能力を超えた際や、雨で川の水位が上昇して市街地などの水を川に排出することができなくなった際に、市街地などに水が溢れてしまう浸水害のことです。 
外水氾濫と内水氾濫とは?それぞれの違いと水害について | 防災テックから引用
  この場合、河川の近くでなくても被害が発生します。実際、2018年7月の西日本豪雨では、内水被害が多く発生していることがレポートされています。   平成30年7月豪雨と浸水対策について
http://www.zenken.com/kensyuu/kousyuukai/H30/645/645_nakata.pdf     国土交通省でも、「100mm/h安心プラン」というものを設け、1時間100mmの降雨でも耐えられるための対策を推進しています。 河川:100mm/h安心プラン – 国土交通省水管理・国土保全局   河川だけでなく、下水・調整池など、内水対策も含め幅広い内容になっているようです。 ゲリラ豪雨・高潮等による水害・土砂災害への緊急的対応の強化
https://www.mlit.go.jp/common/000049305.pdf それだけ対策が必要・重要になっているということでしょう。  

ゲリラ豪雨を予測するAI

では、ゲリラ豪雨の予測はどうなっているかといえば、AIを活用するなど進んでいるところもあるようです。 ゲリラ豪雨の予測サービスの今に迫る【ゲリラ豪雨について調べてみた(2)】 | Park blog   最初に紹介されている「MP-PAWR」については、こちらの記事にも詳しいです。 もうゲリラ豪雨も怖くない メールで「豪雨の直前」通知が来た(坪井 淳子) | ブルーバックス | 講談社(1/3)   ウェザーニューズは、1万人のユーザーがアップする画像、雨雲レーダーの画像解析、物理方程式の組み合わせによって、きめ細かい予測を行っています。 ゲリラ豪雨を9割捕捉、精度支えるデータの源は“人” 予測技術やサービスも進歩しているので、もっと当たり前のように使われていくのかもしれません。  

まとめ

  • 短時間の大雨は増えている
  • 原因は複合的ではあるが、温暖化・ヒートアイランド現象もひとつの要因
  • 河川の氾濫だけでなく内水氾濫も増えており、行政も対策を打ち出している
  • 最新の観測装置やAI技術等によって予測精度も向上中