マネーフォワードの業績から、フィンテックの動向を想像する

家計簿アプリのマネーフォワードをずいぶん前から使っていますか、もう便利すぎて手放せなくなっています。

フィンテックと言う言葉もすっかり浸透してきましたが、その代表格の1つであるマネーフォワードの業績を確認してみたいと思います。

マネーフォワードは、主に3つの分野で事業を展開しています。

ただ、実際はPFM(家計簿アプリ)とMFクラウド(クラウド会計)の二つで売上が成り立っている状態です。

売上と利益

全体では売上と営業利益率はこんな感じで推移しています。

売上は29億円ではあるものの、成長はすごいものがありますね。

利益もずっと赤字だったのが徐々に向上しており、広告宣伝費を除くと営業利益は黒字となっています。

これまで赤字で投資フェーズでしたが、収益化の目処は見えているという段階と思われます。ただ、まだまだ成長余地はあるので、広告宣伝費を大きく投入しているということですね。

キャッシュも潤沢にあります。

事業ごとの売上状況

事業ごとの売上の四半期推移をみると、クラウドサービスだけあって、積み上げで増えてきているのがわかりますね。PFMはちょっと動きが異なるところがありますが。

PFMはさらに3つの収益源に分かれています。

プレミアム課金は積み上がっていますが、広告収入やBtoBtoCの売上に波がありますね。BtoBtoCはこういう企業と提携して行うサービスです。

三井不動産 | 「マネーフォワード for 三井のすまいLOOP」提供開始(20171016)

PFM全体としてはストックの要素が大きいものの、多少フローによって変化する構造と言えそうです。

MFクラウド事業は、2つの収益源で構成されています。

大半はストック型になっているので、こちらも売上が積み上げになっています。安定感ありますね。

PFM事業の競争環境

もう一つの家計簿アプリとして有名なところはZaimでしょう。Zaimは公式サイトの情報によると700万ダウンロードとなっています。

日本最大級!無料の家計簿アプリ・レシート家計簿「Zaim」

マネーフォワードが600万ユーザーと言っているので、ダウンロード数とユーザー数では厳密な比較にはならないのかもしれませんが、ほぼ同程度か、Zaimがちょっと多いと言うところでしょうか。

これを見ると、Zaimとマネーフォワードでの競争は激しい状況です。ただ、このジャンル自体が今拡大していると思いますから、これからも拡大が進んでいくんでしょう。

MFクラウドの競争環境

次はMFクラウドの競争環境です。こちらの記事から調査結果をみると、MFクラウドは2016年はfreee、弥生会計オンラインに次ぐ3番手でしたが、2017年には2番手に上がってきています。

クラウド会計ソフトの市場規模・シェアを調査してみた | 法人利用数TOP4徹底機能比較会計ソフト(財務会計) | 【ボクシル】法人向けITサービスの比較・検索・資料請求サイト

freeeは個人事業主と小規模企業のどちらにも強くて、弥生会計オンラインは個人事業主、MFクラウドは小規模企業に強いという特性がありそうです。

正確さは欠けると思いますが、何となく傾向をみるためにGoogleトレンドでも確認してみます。

これをみると、クラウド会計のシェアが全体に伸びており、freeeに次いでMFクラウドが追いかけている、という構図に感じます。

新規事業への投資

それ以外にも、冒頭で紹介したように様々な新規事業を行っています。

仮想通貨の交換業への進出を発表しました。

マネーフォワード、仮想通貨交換業に参入: 日本経済新聞

また、最近MFクラウドのサービス連携が発表されていましたが、このような既存事業の拡張も積極的ですね。クラウドになるとこういうデータ連携も加速していくメリットがあります。

マネーフォワード、クラウド経営分析ソフト『Manageee』を提供するナレッジラボと業務提携|株式会社マネーフォワード

 

電子契約についても、サービス領域に取り込んできました。マネーフォワード子会社のMFケッサイと、電子契約を手掛けるリグシーのとの連携です。会計データを起点にプラットフォームの機能を強化しています。フィンテック代表格として、着々と事業領域を拡大していますね。

海外顧客と手軽に電子契約 リグシーがサービス拡大  :日本経済新聞

 

まとめ

  • 売上の成長は著しく、利益も黒字化が見えてきている
  • 事業の二本柱はどちらも有力な競合がいるが、市場自体が伸びていることもあり、今後も成長が期待できる
  • 仮想通貨など新しいフィンテック領域への投資も意欲的

ということで、家計簿アプリやクラウド会計の分野は成長していきそうだな、と思います。

一方で、株価や時価総額の面では、こういう視点があり、面白いですね。