ギブソンの経営破綻から楽器市場の動向を考える

ギターブランドで有名なギブソンが経営破綻したということで、音楽業界、楽器業界厳しいなと思った方も多いでしょう。

ギター老舗ギブソン、破産法申し立てロック音楽の低迷で市場縮小

老舗ギターメーカー、米ギブソンが経営危機債務返済に苦慮 写真3枚 国際ニュース:AFPBB News

ということで、ギブソンの経営状態と楽器市場についてざっと調べたので、簡単にまとめておきます。

そもそもギブソンの経営戦略ミスでは?

最初に元も子もない話ですが、ギブソンはギター以外に音響分野に進出するために、最近は買収を繰り返しており、これがうまくいかなかったようです。

ギター事業は黒字であり、うまくいかなかった事業は売却して経営再建する方向です。

これらの動向は、この記事が詳しいです。

ギブソンが会社更生法なのは、音楽業界うんぬん以前に自業自得と思う件 | DORIAN MODE

ギター事業は黒字であるということは、致命的なインパクトを与えるほど外部環境は衰退していないと思われます。

ロックの低迷は本当か?

ギブソンの経営再建の記事で、1つの要因に挙げられていたのは、ロックの低迷です。

たしかに世界で最大の音楽マーケットであるアメリカでは、ヒップホップがロックを売上で超えています。

米音楽業界はヒップホップが一人勝ち、ロックは衰退傾向史上初!!2017年はヒップホップ/R&Bが、ロックより売れた!コーチェラのヘッドライナーからロック枠が消えた理由か?!|音楽情報サイトrockinon.com(ロッキング・オンドットコム)

ロックの新しいスターがなかなか登場しない状況であり、ロックの現場でも高齢化問題が発生しているようでして。寂しいというかなんとも言えない状況であることを示しています。

洋楽雑誌の高齢化がちょっと笑えないレベルで深刻・・・ – BASEMENT-TIMES

なぜロックが衰退してしまったのか、ということを調べてたら、こういう考察記事を見つけました。

ロックの衰退と現代の電子音楽タイトルどうり何故ロックは衰退し電… – Yahoo!知恵袋

音楽のムーブメントはいろんな背景から生じるものだと思っていますが、音楽の民主化としてより手軽に実現できる電子音楽の存在というのは、ひとつの要素かもしれません。

楽器市場はどうなってるのか?

では、楽器市場自体はどうなってるでしょうか。

日本国内は、人口減少から言わずもがな苦戦してきます。

楽器小売事業者の経営動向調査

教室を併設し、サービス型へシフトしてなんとか維持してる状況です。

一方の世界市場は、日本ほど先行き暗くないようです。少し古い資料になりますが、ヤマハの中期経営計画だと、楽器市場は伸びるとありました。特に中国と新興国が成長市場です。P20に市場規模の推移があります。

ヤマハグループ新中期経営計画 2016-2019

さらに、楽器だけではこれからの先行きが不安なため、楽器メーカーは多角化してきています。

ヤマハ・カワイ・ローランド、世界トップ級でも求められる楽器業界の多角化戦略|ビジネス+IT

結局これは、冒頭のギブソンの話に戻ってくるわけですが、楽器市場はなくならないものの、今後の成長を考えると限界が見えており、多角化路線を目指さざるを得ない状況になっているわけです。

まとめ

  • ギブソンの破綻はギター事業の衰退ではなく音響事業の買収失敗
  • ロックの衰退は本当に起こっている
  • 楽器市場は中国や新興国を中心に伸びる
  • 楽器メーカーが大きく成長するには多角化路線

ということで、なかなか厳しい楽器市場の動向でした。